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へっぽこチキンの魔界生活   作者: 中里 木冬
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アスベルちゃんのおはなし!

今回はタイトル通り、アスベルちゃんと将貴のおはなしがメインです。

「おーーきーーろーー!!」


「ぐぼぇっ!!」

突如腹部に走る衝撃によって、穏やかな眠りを妨げられる。起きて早々朦朧とする意識の中で、薄っすらと目を開けると、見慣れた少女が自分の上で踏ん反り返っていた。

長く伸びた金髪をツインテールに結び、その紫色の瞳はまるでアメジストのような煌めきを宿している。いわゆるゴスロリという服装なのだろうか、フランス人形がそのまま飛び出してきたような、美しく整った容姿だ。

しかし、特に目を引くのはその背中に生えた、漆黒の羽根である。 蝙蝠のようなその羽根は、小さな少女の体を覆うほどの大きさである。そしてその羽根の下から伸びる細長い尻尾が、寝起きの俺の顔をペチペチと叩いてくる…………




激しく鬱陶しい。


「んー、もうなんなんですか局長。こんなに早くに夜這いかなんかですか? 幼女みたいな見た目して、案外大胆ですね」


「んなわけあるか! このたわけ‼︎‼︎ 上司に向かってなんなんだその言い草は⁉︎ それに私のことはアスベルさんと呼べとあれほど言っただろう!!? ……

全く、これだからお前は…」


顔を真っ赤にしながら抗議してくる幼女、もとい俺の上司のアスベル。 別にコスプレが好きなロリガキではない、彼女は正真正銘、"悪魔" なのだ。


「先週から言っておっただろう、今日から遠征調査だと。…はぁ、さっさと準備せい。すぐに出発するぞ!」


「はいはい、アスベル様の仰せのままに。」


"魔界"に来て一ヶ月。今ではこの生活に慣れたが、つい先日まで俺はただのフリーターだった。あの頃は毎日が平穏そのものだった………………







…………一ヶ月前…………


「永住権? なんだそれ、別にいらねぇよそんなもん。色々聞きたいことはあるが、第一なんでその局長様が俺みたいな稼ぎのないフリーターの家に来たんだ? まずはそこから聞こうか。」


急に言われてもなにがなんだかさっぱりだ。物事には順序というものがある。それを無視して突然押しかけて来たロリっ娘に向けて、俺は疑念の視線を注ぎつつ、質問を投げかける。


「はぁ、これだから人間は。なんでもかんでも教えてもらえると思っているとは……まぁいい。確かに今回は説明も無しに突然本題に入ってしまったからな。答えれる質問ならば、全て答えよう。 まずは改めて自己紹介からだ。我輩は魔界人口管理局局長、アスベル・ノース・デビルという。以後お見知りおきを。」


まるで中学生男子が即興で考えたような自己紹介をしてきたアスベルとかいうロリっ娘。デビルというからには、やはり悪魔かなんかなのだろうか?


「俺は山田将貴、フリーターをやっている」

お互い軽く自己紹介を交わし、いよいよ本題に入る。


「で、なんで俺の家に来たんだ?」

俺の問いかけになぜか首を傾げるアスベル。一体なにがわからないのだろうか?


「え? ただ単に暇そうだったからだが?」


…………は?

思わず絶句してしまったが、こいつ今なんて言った? ひ、暇そうだからとか言っていたか? そんなので押しかけられては、こっちからしたらたまったもんではない。


「……暇そうだったから……?」

「うん、そうだよ?」

やたらとハキハキとした声で即答され、豆鉄砲を食らった鳩みたいな気分になった。

(お、落ち着け俺。とりあえず永住権のことについて聞こうじゃないか)


「じゃ…じゃあ永住権っつうのは一体なんなんだ? それに魔界とか言ってるけど、それはなんなの?」


「えー、そんなこともわからないの? こんなの普通常識でしょ?」


…………とてつもなく殴りたい…。


「まぁ良い、教えてやろう。まずは魔界のことから話そうか。 魔界というのは、此処とは違う次元に位置する陰の世界。 向こうにも一応人間界はあるが、文明レベルはせいぜい中世ヨーロッパ並みだな」


「ほう、つまりは異世界とかそんなものか?」


「そうだ、ちなみに我輩はあちらの次元と此方の次元を行き来することができる、唯一の悪魔であるぞ! どうじゃ?すごいじゃろ!」


うん、別にそこはどうでもいい。俺は自慢話をやたらしてくる奴は滅べばいいと思っている。


「そうですかすごいですね。 じゃあ永住権とかいうのについて教えてくれ」


「うむ、永住権というのはな、魔界に住むための権利の中で、もっとも取得しづらい権利である。

魔界には 滞在権、定住権、そして永住権の3つがある。 滞在権とは、主に旅人向けの権だ。その国の役所で簡単な手続きをしたら、最大一ヶ月間の滞在が許される。滞在権を持たぬ者は、3日以上その国にい続けると、国の結界によって消滅させられる」


消滅とか厳しすぎないか? まぁ魔界では常識なのだろう。


「それでは次に定住権について説明してやろう。定住権とは、滞在権を持つ者の中から、その国にある程度の貢献をした者に与えられるのだ。滞在権が一ヶ月に対し、定住権は10年間その国にい続けることが可能になる。10年間が終われば、あとは権利を持たぬ無権利者となる。まぁ普通ならそこで滞在権を取得して、また定住権を得るのだがな」


なるほど、定住権といっても10年しか持たないのか、それに切れたら無権利になると……… それは面倒だな。面倒は極力避けたい。


「じゃあ次は、お主に与えられる永住権についてじゃな、定住権のさらに上、その国にとって大きな貢献をした者に与えられる。具体的には、戦争での大きな活躍、厄災級の事態での活躍、まぁ簡単に言えば英雄になればいいということじゃな。 それを今回お前に無償でやるということじゃ、感謝せい」


「いや、なんでだよ、別に俺はなんもしてねえだろ」

そう、俺は何もしてない、むしろ魔界なんてゲームやアニメなんなの中にしかないと思っていたからな。意味がわからない。


「それは簡単じゃ、人口の減少により、国家存亡の危機なのじゃ。故に、お前のような暇人に声をかけ、了承してくれたら楽な生活を提供しようという政府の方針なのじゃ」


「へぇ、そうなのか、だが楽な生活って言っても、具体的にはどんなことなんだ?」

別に今の生活には満足してはいるが、条件によっては考えなくもない。それに、ゲーム好きとしては魔界に行けるなんて夢のような話じゃないか。


「うーん……」

アスベルは暫く考えると、にやりと口を歪ませ、文字通り悪魔そのもののような微笑を浮かべ


「強いて言うなら……何もかもやりたい放題どいうことじゃな、食事も外出も、仕事や娯楽。それに…………これ以上はやめておこう、あまり気分のいいことではないからな」


なるほど、本当にやりたい放題のようだ。おそらく最後に言わなかったことは、おおよその予想はついたが、これはすごい条件だ。法的機関が全く機能してないのではと思うほどだ。


「よし、わかった。いいぜ、魔界とやらに引っ越してやる! あと、後から角のことも話せよ?」

相手も驚いたのだろう、ここまであっさり了承するとは思ってなかったらしい。目を見開き固まっている。だが直ぐに笑みを浮かべる。それは先ほどのような恐ろしい笑顔ではなく、まさしく喜びや期待からくる笑顔だ。


「ふふっ、そう言ってくれると思ったぞ‼︎ これからよろしくな! そうと決まれば、我輩も貴様のサポートを少しばかりしよう。うん、それがいい!」


そう言いながら、魔法陣のようなものを、なれた手つきで構築していく。鈍く光る紫色の光から作られるその陣は、完成するとは同時に渦の様に空間を歪め、大きな穴をあけた。


「さぁ、行こうショウキ! 我らの都……」


ここから俺の新しい生活が始まる、これがそれの第一歩だ。この世界に未練はない、更に次のステージに赴けば、新しい何かもあるだろう……さぁ、行こう!!」


「"イル・グランツ"へ!!」

ご覧いただきありがとうございます! 書いてるときは長く感じたんですが、後から読むとすごい短いですね。まぁこれから徐々に長くしてくんで、よろしくお願いします!

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