2話
――――…
…うーん此処は何処だろうか。
暗くて今自分が何処に居るのか分からない状況だ。
たしか横断歩道で信号待ってる間にスマホで小説読んでいたなぁ…。
なのにその後の記憶が曖昧だ。只誰かの悲鳴と大きな音や騒音、多分クラクションの音が聞こえて、何故か私、飛ばされたような…あぁ思い出した。
「私…死んだんだ」
そう思った瞬間急に体が重くなってストンと崩れるように座った。
あぁ、何と呆気ない死に方なのだろうか…。
「うぅ…まだ読んでない小説がたんまりあるのに…漫画の次の巻も読めないじゃん!!」
アニメやスマホでやってたゲームやらまだ途中なものがいっぱいある…。
「うぅ…こんな死に方は無いだろう…せめておばあちゃんの時に孫や家族に見守れながら幸せな死に方が良かったよぉ…」
あぁ…こんな若いときに死ぬなんて…。
そう口に出したら急に悲しくなって目から涙を流していた。友達や親、私が死んで悲しんでいるだろうか。そう言えば朝、弟と喧嘩したまま家に出て行ったなぁ。弟に申し訳ないなぁ。ふと思い出したらきゅうっと胸が締め付けるような感覚に自分の体を抱くように誰にも聞こえない一人の空間で泣き続けた。
「…ッお父さん…お…お母さん…こんな…親不孝な私でごめんね…樹…朝喧嘩して…謝れなくてごめんねッ…本当にごめんなさいごめんなさい…ごめんなさい」
そして私は体を丸めながら深い眠りについた。
――――…
あぁ、暗いなぁ。本当に此処は何処なんだろう…。
久しぶりに泣いたのか体がすっきりし、自分の状況に理解し落ち着いた所で立ち上がって辺りを見回す。
「出口は…無いのかなぁ…」
此処が何処なのか分からない謎の空間。何も見えず此処が地獄なのか天国なのか分からない。不思議で静かな空間。
「とりあえず、歩こう」もう“過去”の事を思うのは諦めよう…もしかしたら新しい人生が待ってるかもしれない。
「…何時までもグズグズしないでポジティブに考えよう!!…ほら、小説であるような転生トリップ出来るかもしれないし!!」
そう独り言を呟きながら歩き続ければ、急に体が石のように重くなり思わず座ってしまった。
「うおっ!!おもっ!!何で??何でこんなに私の体重いの!!!??」何とか歩こうとした結果、四つん這いで歩く事にしたが、やはり慣れてない体制に疲れがくる。しかしこの重さはいったい何なのだろうか?
なんとか暗い空間を彷徨えば一筋の光が見えた。
「あぁ…やっと出られる…はぁ…此処まで四つん這いで歩くなんて…もう懲り懲りだ…」
そして私は光に向かって行こうと一歩進もうとした瞬間、何故か深い海?沼?に沈んでまた私の意識は遠のいた…
そして、その時の私は「てめぇ落とし穴とか…出口に落とし穴とか…私を怒らせたいのか??こんにゃろー!!喧嘩売ってんのか!!」と叫びながら怒る私に誰かが驚いた顔して、面白そうな顔で妖艶に笑う“奴”が居たとは、その時の私は知らなかった。