11話
「おい、何で笑うんだよ」とすこし怒った顔をするアルド。
「だって、真面目な顔で友達になりましょうの言い方が可笑しいから」
「なら、どんな言い方がいいんだよ」
「普通に友達になろうぜ…的な感じで良いんじゃないの??あ、でも貴族同士ならその言い方だと駄目なのかな?」
未だに"貴族"についてよく分かってない。自分の立ち位置も分からない"幼子"なのだから。転生して前の私と縁のない生活をしている。まぁ、これから知ることになるから深く考えないように気楽に楽しもうかと思っているけど、貴族生まれの私が気楽に暮らせるのだろうか?少し不安になってきた。
私の言い方にアルドは、難しそうな顔をしている。
「まぁ、ユーリンはまだ3歳だから良いが、その言い方は俺たちの様な貴族相手に無意味な言い方だから気を付けろよ」
待ってください。アルドくんお前も3歳だからね。
「無意味なの??ならどうやって友人関係を作るの??」
「家関係なく"良い関係"を作るにはまずは、腹の探り合いだ。後はその人の能力や才能と交流関係を知ってから、友人として"使えるか"、"使えないか"で決まる。」
ねぇ、アルドくん本当に3歳なの??と言いたいくらい考え方が大人だ。それにそれは"友人"と言えない。貴族とは、そこまでして友人を作るのだろうか?お父様とカインバルト様の関係を見てると、カインバルト様は、お父様を見て嫌な顔しているが、喋り方や雰囲気からして柔らかい。アルドくんは、"騎士"としてのマナーから学んでいたのだろうが、それはあまりにも子供らしくない。親だって貴族としての礼儀も必要だと思うが、子供らしい姿だってみたいはずだ。私の家だとどうなのだろうか?うーん、貴族って難しい。
「アルド、それは友人とは呼べないわ。そう言うのは、"駒"みたいな言い方よ。」
「…そうだな、俺の言い方だとまるで"駒"だ」
「ならさっき、貴方が"自分を見てくれる、気楽に話せる友人"は、"駒"なの??」
「それは違う、お前なら…ユーリなら貴族関係なく良い関係になってくれるかと思ったから。お前の表情とか目を見ると…お前なら…」
アルドは、頬を染めながら、最後ボソボソ言って聞き取れなかった。
「てか、お前に言っただろ!!お前は貴族なのにらしくないからって!!それが俺にとって気が楽になるから!!お前は俺にとって特別なんだよ!!」
おっと、3歳の可愛い男の子から告白紛いな事言われてしまった。思わず私も吃驚して赤面状態だ。でも最初は余計だ。
アルドは自分の言ったことにまた赤面する。頭をガシガシしながら溜息を吐く。
「はぁ、なんかお前相手だと調子狂うな…。友人作る時ってこんな感じなのか??」
「…さ、さぁ??」
「…まぁ、お前は特別でもう良いだろ。それにお前だと家同士とか階級無しで仲良くできそうだな」
「…はぁ」
「なんだその間抜けヅラ。女ならそんな顔しないからな。」
「間抜けヅラで悪かったわね」
今の私はキャパオーバーだ。とりあえず、私は友人として特別なのか??私はそこまで良い友人じゃないと思うが…凄い告白されたが、恋愛では無いのは分かっている。だが"男"にそんな台詞言われた事ないからドキマキする。はぁ、絶対将来イケメンに成長するだろうな。イケメンアルドか…それはそれで見たいな。
「でも、"特別な友人"は多い方がいいわよ。"駒"より信頼があった方が気が楽になるわ」
「…あぁ、うん。そうだな。」
「それにアルドは、まだ子供なんだから子供らしくないしなさいよ!!」
「お前に言われたくないな」
「…え?」
「普通の子供と言うのが俺にも分からないが、俺と普通に話してる時点で可笑しいだろ?」
「…そ、そんなに可笑しいかしら??」
「…まぁ、俺が思っただけだから別に大丈夫だろ。」
もう、その話は終わりにしようと言うアルドに戸惑う。私は普通に話していたのだが、アルドから見たら私は可笑しいのか??ぐっ、3歳難しい。もう可笑しいと言われたら今度から言い訳しよう。アレよ、本に夢中になり過ぎて賢くなっただけと。
「そうだ、ユーリに紹介したいのがいるんだ」
「…紹介??」
なんかデジャヴを感じる。
二人共まだ3歳。