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僕らの日常。  作者: 琉嘉
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1:日常

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「真理ートランプやろー」授業終了のチャイムが鳴り、いつものように璃緒の僕を呼ぶ声。その声に振り向けば璃緒、陸、淳、卓真が璃緒の机を取り囲んで僕の到着を待っているところだ。「はいはい」と僕は軽く返して、同じく璃緒の机を取り囲む。璃緒から左に陸、淳、卓真、僕。そして暗黙の了解――璃緒がカードを配り、僕らの定番、大富豪が始まる。「ダイ3誰?」と、陸。ダイ3というのはダイヤの3のことだ。大富豪を始める時は必ずダイ3から、と僕らの中では決まっている。僕らの中のルールは他とは少し違うのだ。陸の言葉に自分の手札に目を落とす。(3が4枚ある……最初から革命いくかな)そして僕は「ダイ3僕だよ」と言って、「早く出せよ」と言う卓真の言葉に耳を傾けてからカード4枚をを晒した。

「革命っ!」

「うっわ、3で革命とか真理ヒドー」と璃緒。「最悪……一気に弱くなった」と陸。「ウケるー、さっすが」と淳。「あぁ、うん……え、マジで?」と卓真。誰も革命返しはできないようなので、その革命と言う偉業を成し遂げた3の4枚組みは流される。「じゃあもう……僕上がっちゃうね」と豪語して次のカードを晒す。「八切りトリプル、ジョーカーダブル、最後――2」と、最後にスペードの2をパラ、と机に落とす。最強のカードの後、最弱のカードで上がると言う意外さが僕は大好きだ。璃緒と陸のあからさまに呆然として落胆とした顔を一瞥し、淳と卓真に目を向けた。淳は笑いをを堪え切れなかったのか、腹を抱えて笑う。卓真はこちらを見てくす、と微笑んだ。

「じゃあ次私ー」と、革命中の今最弱のカード、ハートの2を出した。そして陸がハートのQを出し「しばりー」と笑う。次に淳がハートの10を出し――次は卓真だ。「八切り」と、一言呟いてハートの8を出す。それからニヤリと笑った卓真は次に4のトリプルを出す。3もジョーカーも全て僕が出したため、今は4が最強だ。当然、それはすぐに流される。「4トリとか……どんだけぇ」と、陸が最近流行りの言葉を言う。卓真はそれに踵を返すと、次のカードを晒した。「はい、六段階革命ー。で、上がり」にこ、と嘘臭い笑みを浮かべて卓真は両手をひらひらと振る。スペードの9からスペードのA――六段階革命、五段階革命などと言うのも僕らだけのルール。僕と卓真は軽くハイタッチをした。「俺らの完全勝利ってか?」「そうなるね」と、僕らは残った3人に向けて言う。「大体、まだ私達1回しかカード出してないし」「2人共最高ー、ウケるー」「何お前ら……頭イッてるだろ」璃緒、淳、陸の順で口を開いた。淳は最近「ウケるー」が口癖のようだ。そして頭がイッているのは陸、お前だと誰も突っ込みたくても突っ込まなかった。

 それから――激闘が続き、3位は当たり前のように淳。4位は璃緒。そして最下位が陸だった。「じゃあ罰ゲームだっけ?」璃緒の言葉にそういえばそんなものがあったな、と頷く。罰ゲームは1位と2位の人が最下位に可笑しな仇名(あだな)を付けるという――至極簡単なものだ。

「じゃあどうする? 卓真」と、僕は卓真に呼びかけた。「そうだな……ガリ勉眼鏡」と卓真が呟き、僕はそれに即座に対応した。「ん、じゃあ略してガリメガ。けってー」と、陸の仇名はガリメガで決定のようだ。ただしこれは次のゲームのときに挽回すれば解除されるのでまだマシだ。「おーい、ガリメガー」「ガリメガー?」淳、璃緒が陸にからかうようにガリメガと呼びかける。陸はあはは、と笑っていた。

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