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生きてるあいつと死んでる俺  作者: ミルクルミ
出会いと始まり
1/9

プロローグ

 この気持ちを、何て言うのだろう。


 特定の人に対して感じる、この気持ち。


 あいつが笑うと自分も嬉しくなったり、泣くと泣かせた奴を恨めしく思ったり、照れているとかわいいな、と思ってしまうこの感情。


 表情豊かなあいつをただ見るだけで、とても愛しく感じ、目が離せなくなる幸せな日々。


 世間一般的に言えば、それは「恋」というやつなのだろう。


 毎日一緒にいたい、触れ合いたい、言葉を交わしたい。


 確かにそれは、俺が日々思っていることだ。


 そして、切望していること。


 だが、その願いが果たされることは決してない。


 俺は存在も知られず、喋れず、触れ合うことすらできないものだ。


 それは一生変わらない。


だからこそ、俺は――隠そう、と思った。


 叶うことのない気持ちを、いつまでも引きずっていても無駄だ。


 それよりは、ただあいつの幸せを祈っている方がいい。


 恋的な「好き」から、それ以外の友達に向ける「好き」で、あいつを見よう。




――そう、思っていたのに。




 目に映るのは、俺をじっと見つめている、あいつの姿。


 口を開き、言葉を発する。


「だ、だれ?」


 頬をつたる熱い何かは、涙だろうか。


 抑えていた感情が溢れ出しそうになるのは、止めたほうがいいのだろうか。


 何もかもがわからなくなる、そんな中で。


 俺はただただ、あいつに手を伸ばす。


 この感情の矛先を求めて。


 抑えきれぬ思いを、ぶつけたくて。


 それしか、今の俺には、できなくて――。

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