波乱の修学旅行2
三人称→海視点
類都は精霊としては上級クラスの位置にいるため、昼間の星蘭高等学校でも存在することは可能だ。が、彼は面倒見が良くオカン気質なため、人一倍苦労していることが多い。
特にそんな類都が世話を焼いているのが千秋で、どうにか学校に来させようとしてもタイミングが合わず、努力が空振っている状態にある。
そんな彼を零一は同情はしているものの、千秋が絶対に起きている時間を教えるつもりは毛頭ない。
そしたら、千秋の前世の正体が……類都には絶対にバレてしまうからだ。
いや、零一はいつ類都に千秋の正体がバレてしまうか、心配でならない。
それほど、類都と言う精霊は優秀で、頭も良く尚且つ持っている精霊としての力が強いと言うことなのである。
確かに類都は協力者だ、だが彼には一つだけ弱点がある。……それは面倒見が良いがための弱点だ、生徒や信頼する人からの泣きの人押しに弱いところだ。
だから、例え信頼しているとは言え、一度しかないチャンスだ。確実にこの作戦を成功させたいと思っているからこそ、確実性を求めてあえて零一は類都に詳しくは話していない。
類都も類都で、自分の弱点を自覚しているものの、人柄からくる弱点なため、そのことには納得しているらしく、彼は教師として傍観者であって貰わなければならない。
――決着をつけなければいけないよね。と、零一は考えながら腕にじゃれついてくるように、抱きついてくる氷柱の髪をとかすかのように撫でるのであった。
◇◆◇◆◇◆
……私は多分、涼平くんのことを好きになると思います。その上で、いつも側にいることの出来る氷柱くんに嫉妬してしまっています。……氷柱くんは男の子だと言うのに、何故私は嫉妬を抱いてしまうのでしょうか?
氷柱くんが零一くんだけに依存していることはわかっています。
ですが、涼平くんは恐らく私よりも彼ら二人を優先することでしょう。
ああ、認めたくない。認めたくはありません、もう涼平くんしか見えなくなりそうになっていることを……私は認めたくないのです。
失恋してから一ヶ月だと言うのに、私は他の人にすぐに恋をしてしまいました。
……そんな自分自身が怖いのです、涼平くんにもし振られたら……すぐに違う人に恋をしてしまうのかと思うと、私は自分が怖くて怖くてたまりません。
私が抱いていた零一くんへの想いは……、本当に恋だったのか? と言うことすら、私にはわからなくなっています。
「海」
と、混乱している私に対してプリンスの役目をしている紫月騎月は珍しく、特徴的な柔らかな口調を潜め、静かな声で言ったその言葉に私は衝撃を受けました。
――そうですね。騎月の言う通りです、気づかせてくれてありがとうございます。と、私はそう考えながらも言葉では伝えず、満面の笑みを浮かべるのでした。
「涼平くんのこと好きなんだろ、だったら言わなきゃ何も始まらないよ。もしかしたら告白して初めて、実感するのかもしれないじゃないか。だからね、海。好きになった期間なんて関係ない、好きになったんだもんしょうがないだろ?
好きだって涼平くんに言いたいならそう言えば良い、きっと彼は海の気持ちをちゃんと受け入れてくれるよ。……だからね、海。ちゃんと涼平くんを幸せにしてあげるんだよ?」
と、騎月はそう私に言ってくれました。だから、勇気を出してこの気持ちを涼平くんに伝えようと思いました。
本当は私、宣戦布告をされた時から自分の気持ちに嘘をついていたのかもしれません。多分、私の零一くんへの気持ちは……憧れと勘違いしていたと言う可能性もあることも、涼平くんに告白してわかるのだと思います。
「どうしたの、海さんから呼び出すなんて珍しいね……」
と、色気のある優しい涼平くんの声を聞いた瞬間、私は胸が高鳴った。
「あのね、涼平くん」
と、私は緊張しているせいか何時もより高めの声で話を切り出した。その後、私は伝えたかった言葉を口に出したと同時に、騎月の言う通り自分の納得出来る答えが、私自身の中で見つかりました。
私は涼平くんが恋愛対象として、彼が好きだと言うことが私の答えです。




