祈る貴方の幸福
零一→ヤンデレ予備軍
氷柱→微ヤンデレと言う設定で、今後物語を書き進めていこうと思っています。
そのため、依存度数が高くなってます。
BLだと勘違いされてしまう表現があるかもしれませんが、あくまでも依存系の友情です。
「……あれは逃げられないねぇ〜。あの“目”を向けられたら……、その人は逃げられない。じわじわと“魅了”と言う毒が回り……その“目”の持ち主から、絶対に逃げようとは思わなくなる……」
と、同性とは思えない程のソプラノ声が奏でるその色香。……やはり、氷柱は生まれてくる性別を間違えたのではないか? と常々そう思う。
氷柱は“声”は檻。俺の“友愛”は鎖。
俺は氷柱から、君のその“声”から逃げられない、……依存しているから。
氷柱は望めば逃げられる、……鍵を持っているのは彼だから。
でもね、氷柱。
君はもう逃げられないんだろう? ……俺は涼と同類だから……。
君こそ、友愛と言う“毒”に逃げようと思えば逃げれるはずだったのに、……“毒”から逃げなかった強かな青年。
「氷柱の場合は……“友愛”だったけど、経験者は言葉の重さが違うね」
と、俺は氷柱をからかうようにそう言うと……彼は妖しく微笑んだ。
「……何言ってんのぉ。僕が貰ったのは“毒”じゃなくて、“猛毒”だよ?
依存性の高〜い、一度手に入れたら……“逃げる”なんて選択肢を選べられなくなるほど、麻痺してしまう猛毒」
まるで花魁ような艶やかで妖しい微笑みに俺はクスリと笑い、こう言った。
俺に依存して良いのは、もはや……他人では氷柱だけ、と考えながら。
「……駄目だよ、その君の微笑みは魅力的すぎる。俺だったから良かったものの……君は無防備すぎるよ、氷柱」
この瞬間から見た人からは、同性カップルに間違われそうな言葉を並べて会話をする俺達だが……お互いに“親友”として依存し合っているだけなのだ、この気持ちに“恋愛感情”など混ざってはいない。
この友愛感情は依存性が高かった……、それだけの話なのだ。
俺はそれを受け入れた、……望んでな。
「……いらない、れーくん以上の友愛感情なんて。僕は君にだけ、依存して生きていく……。恋愛なんて最初からいらなかった、ただ欲しかったのは……僕の強すぎる依存性を受け入れてくれる、誰か。……でも、誰でも良かった訳じゃない、温かさのある微笑みを浮かべる人の側に居たかったの……」
と、氷柱は言う。そんな言葉が俺は嬉しくて、口元を緩ませるように微笑んだ。
そんな俺の頬を、自分自身の手よりも二回り小さく、……細い手で氷柱は包み込むように添え、まるで親に甘える子猫のように額を合わせる。
そんな氷柱に俺は、
「俺も……恋愛なんていらない。……友人は多くはいらないから、何よりも心地好い居場所が欲しい。それ以外は……何も欲しいとは思わない」
いつもよりも穏やかな声でそう言った。
◇◆◇◆
私はとある人物から“彼”が居ると言う、……その人がお気に入りの場所を教えて貰い、私はその場所へ気配を消して来ていた。
絶対に自ら話しかけないと――、その情報を教えてくれた人物と約束して。
私は許されることが、許されない。自身の罪を意識して死んで行かなければならない、――それほど大きな罪を私は犯した。
幸せそうに笑う“彼”。……良かった、幸せそうで。今度こそは幸せな人生を生きていって欲しい。
そのためだったらなんだってやるわ、“彼”の望む幸せのためなら……!
私がどんなことをしてでも守り通す。
“彼”は一生独身でいるようね、……それが“彼”の幸せならそれで構わない。
……あの女の好きなようにはさせないわ、“彼”の大切な者を……全て奪わせたりなんかしない。
……今度は“彼”を犠牲を選ばせるような運命を辿らせたりはしない。
それが私の望み。
◇◆◇◆
クシュン、と音を立て俺はくしゃみをした。……寒くもないのにおかしいなぁ、誰かに噂されたか? と考えながら。
「え、何? れーくん、花粉症になっちゃったの? 耳鼻科行く……?」
と、心配そうな顔で、俺に上目遣いをする氷柱の頭をポンポンと撫でた後、安心させるために目を細めるように微笑み、穏やかな声でこう言う。
「大丈夫、誰かに噂されたんじゃないかな? 至って健康体だよ、氷柱」
そんな俺の言葉に氷柱は、じゃれつくように片腕に抱きつき怖い顔をする。
氷柱のそんな表情を緩和させるために、頬を撫でると……俺の方へ向いてにこぉと笑う。その笑顔の後にはもう、怖い表情なんて浮かべてなくて。
俺は氷柱の笑みにつられ、微笑んだ。




