同棲相手はお姉ちゃん⁉
超短編。期待はしないようあしからず
俺、橋田瑠依にはみんなには言えない秘密が有る…
私立石田学園高等部、それが俺の通う学校。俺は高等部二年A組の窓際で友人と話していた。
「葵先輩可愛いよなぁ…なぁ瑠依、お前確か葵先輩と幼馴染だったよな?」
「あぁ…"ただの"な」
「露骨に強調すんのな、確かマンションで同棲してるんだっけ?」
「同棲じゃない、居候だ」
窓の外にはその俺の幼馴染、高等部三年の相原葵が居る。彼女は学園のマドンナ的存在であり、容姿端麗成績優秀と漫画の中の存在みたいな感じだ。彼女は俺を見つけたのか微笑みながらこちらに手を振る。
「おっ⁉おい瑠依!先輩がこっちに向かって手を振ったぞ!」
「はいはい、いいから帰ろうぜ…あまり残ってると先生に怒られちまう」
そう言って俺達は帰路につく。
そして帰宅する、ここからが秘密な事なんだが…
「ただいまー」
「おかえりールーイくーん!」
「おっと、ただいま姉ちゃん」
甘い声を出しながら俺に抱きついてくる姉ちゃん。学校じゃ決して見られない姿だ。
秘密というのは…まず、俺と姉ちゃんは"ただの"幼馴染ではない、付き合って居る。そしてもう一つ、居候ではなく同棲だ。秘密にして居る理由としては、この事が学校に広まったら俺の身が危険だから。姉ちゃんにはファンクラブがあるレベルで日夜デートの誘いが絶えないらしい。携帯の方も知らないアドレスからはメールが来ないように設定しておかないとおそらく鳴りっぱなしだ。
「ルーイ君ルーイ君!お姉ちゃんが手振ったの見えた⁉」
「あぁ、見えたよ。可愛かった、うん」
「いやだルーイ君ったら!」
多分、いや確実に俺達は世に言うバカップルだろう。しかし、それは家の中だけだ。
「ねぇルーイ君…やっぱりお姉ちゃんはルーイ君と一緒に登下校したりお昼ご飯食べたりしたいなぁ…」
「それは…俺もそうしたいのはやまやまなんだけどな…」
「にゃはは…ごめんね、わがまま言って。そんな事したらルーイ君が大変な事になっちゃうもんね…お姉ちゃん我慢する…」
「ごめんな姉ちゃん…」
俺はおもむろに姉ちゃんの頭を撫でた。
その日の夜
「はぁ…」
俺は風呂に入っていた。
「俺がもっと、強かったらな…」
腕っぷしに自信が無いわけではない。昔は姉ちゃんを守りたい一心で格闘技をしていたが膝を大怪我して断念。いらい、運動は必要最低限しかしていない。
「俺が守らないと…」
「姉ちゃん、風呂出たよ」
俺は風呂から上がり姉ちゃんに知らせる。
しかし
「すぅ…」
寝息を立てていた。
「やれやれ、無防備だな…はは…」
この可愛い寝顔を、可愛い笑顔を、ささやかな幸せを守りたい。俺が望むのは、ただそれだけだ…
「全く…風邪ひくぞ姉ちゃん…」
俺は毛布をかけてやる。
「ん…るーいく……」
「夢の中でも俺と居るのか、俺は幸せ者だ。ありがとう姉ちゃん…」
すると携帯に電話がくる。
「はい橋田です」
『よぉ瑠依』
放課後一緒に話してた奴だ。
「おう、どうした?」
『明日の放課後商店街行かね?欲しい雑誌が有るんだよなぁ』
「明日ぁ?ったく、わぁったよ」
『おうっ!サンキュー。んじゃまた明日学校でなー』
「あぁ、おやすみ」
電話をきる。
「商店街が、買い出しに行った姉ちゃんと鉢合わせしないと良いんだけど…」
そして、翌日の放課後
「いやぁ悪いな瑠依、付き合わせちまって」
「気にするな、借りとしてつけとく」
「ちゃっかりしやがって…」
俺は友人と商店街に来ていた。しかしまぁ、欲しい雑誌って…
「写真集じゃねぇか」
「まぁな!」
こいつは変わらない…
「………ん…?」
「どうしたよ瑠依」
今、路地裏に男女の二人組が入って行った。男の方はわからない…だが、女性の方は紛れもなく…
「姉ちゃん!」
「は⁉おい!待てよ瑠依!」
俺は反射的に走り出していた。
俺は姉ちゃん達が入って行った路地裏に入った。
「んー!」
「大人しくしてもらうぜ…」
男が姉ちゃんの手と口を押さえ迫っていた。
「その汚らしい手をどけろ!」
俺は声を荒げる。そして
「あぁ?なんだよおめぇ」
「俺は橋田瑠依…その人の幼馴染で……その人は…俺の女だ!!!」
言い放った。この男だけは許さない。
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「よう姉ちゃん、ちょっといいか?」
「…………」
さっきから私をナンパしている人。多分、うちの学校の大学部の方だと思います。ですが私をお姉ちゃんと呼んで良いのはルーイ君だけです。
「ちっ…こうなったら…!」
「えっ…⁉」
私はその人に腕を強く引っ張られ、無理矢理路地裏に連れ込まれました…
「い、いきなり何するんですか!警察呼びまむぐっ…⁉」
両手と口を押さえられ、非力な私が抵抗したところで到底抜けられない…!
「んー!」
「大人しくしてもらうぜ…」
(助けて…ルーイ君…!)
私が、そう思った瞬間だった…
「その汚らしい手をどけろ!」
ルーイ君が、助けに来てくれた…!
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「くそ!覚えてろクソガキ!」
なんとか傷だらけになりながらも男を撃退した。体中が痛い。
「ルーイ君!ルーイ君⁉大丈夫⁉あ…血が出てる…可愛い顔もんなに腫れちゃって…」
「姉ちゃんこそ、大丈夫…?」
「私は大丈夫…!」
姉ちゃんは俺を抱きしめる。
「いやぁ驚いた、先輩と瑠依はやっぱりデキてたのか」
友人が近づいて来た。
「すまんな黙ってて…」
「なに、気にすんな。だが、さっきの借りはコレでチャラな」
「あぁ、サンキュー」
俺は苦笑しながら答えた。
その日の夜
「みんなきばれちゃったね…」
「まぁね…いてっ」
「あ、ごめん…!」
俺は姉ちゃんに傷を消毒してもらっている。
「でも、コレで家でも学校でも一緒。そうだろ姉ちゃん?」
「うん!そうだねルーイ君!大好き!」
姉ちゃんはまた抱きついてくる。
「俺も大好きだよ姉ちゃん」
俺達は軽い口付けをする。
明日からの学校生活、気を引き締め無いと俺殺られるな…
はい終わり。ね?短いでしょ?
まぁ、ね、こういう経験していたいもんさ。