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計画通り

元凶の女子2人を調べるため、キャンパスライフ♪

https://hatuyuki-ku.com/?p=707

 ――円卓会議


 上座に座っている、アドラステア・リーディ・シェラフィール王女。


 ニコニコしながら、マイクを握った。


『重遠が強いことは、お判(わか)りいただけましたか?』


「正騎士の待遇にふさわしいと、思いました」

「……むろん、王女殿下の騎士は別の問題ですぞ?」


「そうですな!」


「ところで、重遠卿(きょう)は別の誓約(オルコス)を持っているとか?」


 誰かの発言によって、円卓の空気が張り詰めた。


 言い出した騎士は、話を続ける。


「ウィットブレッド公爵家は、確かに誓約(オルコス)の管理者……。ですが、実際に命を懸けている我々を差し置き、飾っておくだけの芸術品にするのは、感心しません」


『円卓(ラウンズ)の正騎士である重遠が使っていますよ?』


 アドラステアの突っ込みで、その誓約(オルコス)を取り上げたい騎士が渋い顔になった。


 彼女は、先手を打つ。


『それを見ていないので、よく知りません。ですが、正騎士から誓約(オルコス)を奪うとなれば、決闘を避けられないでしょう。重遠を私の騎士と公認するなら、私が言いますけど?』


 あざとい表情のアドラステアに、誰も答えない。


 それを認めれば、第二王女の傍に室矢重遠がいる状態へ。


 ちょっと目を離した隙に、愛し合う恐れがある。


 重遠のそちらの実績は、あまりに豊富だ……。


 別の騎士が、腕組みしたまま、呟く。


「ひとまず、正騎士と認めては? 従騎士だが、エドワードと互角だったわけだし」


「騎士の決闘を申し込み、勝利と言える結果だからな……」


 エドワードが弟子である正騎士はムッとするも、アドラステアの介入がなければ彼の腕は切り飛ばされていた。


 その雰囲気を察したアドラステアが、話題を変える。


『エドワードとそのマスターの誓約(オルコス)は、今回の対戦を引き受けてくれた謝礼として、修繕するそうです』


 我関せずだった面々もびっくりして、王女を見つめた。


 視線を集めたアドラステアが、尋ねる。


『どうしますか?』


「は、はいっ! ぜひ、お願いいたします! いったい、どなたが?」


『カレナです……。ウィットブレッド公爵家で他に修繕できる人はいませんよ? やっぱり、止めておきます?』


 騎士は顔に縦線が入るも、王女への発言を撤回するわけにはいかない。


「壊さないよう、お願い……。いえ、公爵家の長い歴史を信じます!」


 微妙に震えている彼に、他の面々は同情する。


 彼らの主観では、原形をとどめないポテチのような物体が山となったまま返却されても、おかしくない。


 楽しそうにハンマーで砕いていくカレナしか、想像できず。



 ――男女共用のサロン


 気づかれないように覗いたアドラステアは、同年代の従騎士の男子たちと楽しそうに話している室矢重遠を見つけた。


 満足そうに頷いた後で、こっそり離れる。


 背中の羽で飛んでいる小さな妖精は、不思議そうに聞く。


「いいの? せっかくの機会なのに……」


 女性エリアとは違い、今なら堂々と話せる。


 そのチャンスを捨てた親友に、忠告した。


 首を振ったアドラステアが、人差し指を動かす。


「ニナ? 重遠は、男友達に飢えています……。円卓の騎士でいることが自分の居場所と思わせれば、残ってくれる!」


「おお~! アド、頭いい!」


 空中でホバリングしながら、パチパチと手を叩く妖精。


 得意げなアドラステアが、胸を張る。


「そうでしょう! そうでしょう! 重遠にバージンを捧げる日も近い! ウフフフ♪ キスは、どのシチュエーションがいいかな?」


 ちなみに、侍女も付き添っている。


 全員がしずしずと歩みつつ、微笑んだまま。


 新人のゼフィ・デ・メイソンだけ、驚いた表情で上に伸びては固まることの連続。


 他の侍女が手をたたくと、その音で我に返る。


 これぐらいで動揺する者に、王女殿下の侍女は務まらぬ!



 アドラステアの従騎士であるクリスタは、呆れたように首を振る。


 いっぽう、アドラステアが悪い顔で呟く。


「計画通り……」


「悪い顔というか、微妙な顔!」


 ニナが指摘したように、育ちがいいアドラステアは無理した表情に過ぎない。


「酷いです!」


 アドラステアが楽しそうにしている間も、侍女たちが分担して警戒。


 第二王女であろうと、使用人たちの派閥争いや評判がある。

 今の会話も、聞かれるわけにはいかない。


 クリスタは幼馴染を兼ねた護衛で、侍女とは全く別だ。


 自由のないアドラステアに、ゆっくりしてもらう。


 玉座が回ってくる王女は、窮屈な生活。

 高貴なる血筋にも、そちらの苦労があるのだ。


 ゼフィにその機微は分からず、短期教育で教えられたフリーズとスイッチを条件反射で繰り返す。


 民間であれば、無能という烙印(らくいん)になるが……。


 他の侍女からは、歩き方や姿勢などの最低限のマナーができて、余計なことをしないことで高い評価。


 ところ変われば、常識も変わる!


 アドラステアが重遠に体を許せば、侍女たちは命懸けで止める。

 しかし、こういった気晴らしをする程度なら、スルー。


 第二王女にプライバシーはなく、誰かいることが日常だ。

 侍女に求められるのは信用で、漏洩したら許されない。


 庶民のゼフィがそれを破り、ピーターヘッドの沖合に帰ることにならなければ、良いが……。


 優雅に見えても、一歩間違えれば、比喩ではなく消される世界だ。


 重遠とカレナが規格外すぎるだけで、庶民が足を踏み入れるのは危険。


 逆に言えば、重遠も1周目から特別な育ちではある。

 ちょっと、人より死亡フラグが多いだけで……。

過去作は、こちらです!

https://hatuyuki-ku.com/?page_id=31

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