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仮面ノ騎士  作者: marvin
幻界ノ魔神
112/125

第11話

「どうやら此方の訳知りらしいな」

 ファルカは言って眺め遣る。

 圧搾銃を抱えた一人は大柄、槍を手にしたもう一人は細身。

 怪訝に睨む彼女らの顔は、やはり遠くに見覚えがある。

 聖都で幾つか依頼を受けた。確かデボラとクロエと云う名だ。

 七、八年は経つ筈だが、容姿が殆ど変わらない。少女の頃のそのままだ。

 その二人が庇う碧い眼の少女はファルカも初見だ。

 初見の筈だが眼が気に掛かる。

 聖都で会ったデボラとクロエは代理人だった。

 『止事無い御方』の使いと名乗った。

 ならば少女がその『御方』か。

 ただし見目は十四、五。当時の事と鑑みて、本人ではなく身内だろうか。

 三五号、と少女は呼んだ。

 加えてガフ・ヴォークトの名を挙げたが、此方は詮索に道筋がある。

 そもファルカを人獣の拠点に導いた調査は彼女らの依頼だ。

 ただ、その先は。

 後のガフ・ヴォークトの所業とファルカの境涯を何故少女が知っている。

「ふむ、訳知りか」

 少女の口調は見目不相応に大人びていた。

「確かにそうだ、ある程度はな」

 気が付いた。

 皮肉に細めた碧い眼がガフ・ヴォークトのそれに似て居心地悪い。

「私も彼方にいた側だ、おまえの仕組みも馴染みが深い」

 よもや、あの男の身内か。

 反射的な警戒を、ファルカは理性で圧し留めた。

 身内にしては容姿の造りが余りに違う。共通しているのは碧い眼だけだ。

 ファルカは悶々と巡らせる。脳裏を擽る記憶は何だ。

 とは云え問いと状況の整理の間が惜しい。

 鬼獣の増援はなさそうだが此処での長居は得策ではない。

 それに辺りは斃れた鬼獣。毒の血肉に溢れている。

 ファルカは兎も角、生身で近くに居るのは宜しくはない。

 委細を諦め、ファルカは少女に問うた。

「正直に訊こう、敵か味方か」

 面倒だ、というのが正直なところだ。

「敵に敵だと名乗る者がいるか」

 睨み合いの末にそれか、と少女は呆れてファルカに返した。

 それもそうだが、とファルカは唸る。

 訊きたい事は山ほどある。それこそ、ようやく掴んだ深淵の糸口だ。

 おまえたちは何者だ。

 その大きな問いを堪えている。

「まあ、いい」

 少女もファルカの煩悶を覚って頷いた。

「おまえを敵に回すほど愚かでもない」

 少女は肩を竦めると、碧い目線をファルカの肩越しに見遣った。

「だが、交渉は対等が好みだ」

 恐ろしいほど場違いな調子外れの音が鳴った。

 不意を突かれて振り返る。ファルカは少女の言葉を背中で聞いた。

「抗せる手段もなくはないからな」

 朱い六弦琴を爪弾く少年が其処にいた。

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