表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
仮面ノ騎士  作者: marvin
幻界ノ魔神
102/123

第1話

 再臨歴一九八〇年、大陸北部

 リチル=アスガード公国スーラージュ領、ヌヴィル大山


 見渡す限りの黒と白。

 ぽつりぽつりとくすんだ緑。

 砂礫に這え立つ大岩の隙間は延々と空を向いている。

 オベロンは自称、都会派だ。

 氷の鑢にささくれ立った、尖った隘路は馴染みがない。

 凍った雪の坂道は、うっかり踏むめば空回る。黒く鋭い小石を撒いた。

 これが只の人の身ならば骨まで摺り下ろされている。

 しかも数歩の横手には、すっぽり地面が抜けていた。

 遥かに切り立つ断崖は、覗き見だけで吸い落とされそうだ。

 子供の話を真に受けたのは、やはり早計だっただろうか。

 もっと平易な路もあったのでは、とオベロンは滅入る。

 否、むしろどこにも路がない。

 隣に誰かいたならば、これ見よがしに溜息めいた擬音を吹いているところだ。

 勿論オベロンに身体的な疲弊はない。

 疲れも痛みは縁遠く、筋肉痛などない身の上だ。

 とは云え多少の面倒もあった。

 声袋が凍れば無口になるし、関節が詰まれば棒立ちにもなる。

 いっそ義体を置いて来れたら。

 物理に頼る予感がなければ、きっとそうしていただろう。

 轟々と鳴る風に身を屈め、オベロンは岩壁を這い進む。

 道なき隘路を延々と登る。

 空を突き刺す尖岳を見上げ、大岩の縁を回り込んだ。

 視界が開けた。

 崩れた庇と幾本もの柱。先に半ば崩れた遺構の入口が窺える。

 手前に迎えが、ひとりいた。

「やれ、ようやく来やったか」

 佇む人影に目を遣って、オベロンは小さく溜息めいた音を鳴らした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ