表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/15

(闇に沈む扉)

 階の虚無から逃れたと思った瞬間、背後で重い扉がゆっくりと閉まる音が響いた。

 振り返る余裕はなかった。

 俺の足元には再び冷たい水が満ちてきていた。

 まるでこの場所が、俺を離さないと決めたかのように。


 闇は厚く深く、呼吸が重くなる。

 水面に映るかすかな光が揺れ、俺の影を揺らす。

 気配が近づく。足音も声もないただの気配。

 だが確かにそこに、誰かがいる。


 前に進むと、そこにはもう一つの扉があった。

 手を伸ばすと、扉の表面はひんやりと濡れていて、まるで生きているかのように微かに脈動していた。

 指先が触れた瞬間、冷たい液体がじわりと滴り落ち、体温を奪っていく。


 扉を押し開けると、暗闇の向こうから水の流れる音が響いた。

 その音は心臓の鼓動のように、一定のリズムで迫ってくる。

 俺は息を呑みながら、一歩一歩、深淵へと踏み出していった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ