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(沈黙の扉)
水に沈むように進んだ先で見つけたのは
錆びつき埃をかぶった重厚な扉だった
表面は湿気で濡れており冷たさが手に伝わる
息を整え覚悟を決めて扉を押すと
軋む音を立ててゆっくり開いた
中は闇に包まれた広い空間だった
足元に広がる水は深く澄み切り
時折微かな泡が水面を揺らしている
奥の壁にはぼんやりと浮かぶ文字があった
読み取ろうと目を凝らすが不確かで
まるで水に揺らぐ幻のようだった
その瞬間背後で扉が勢いよく閉まり
俺は深い闇と水に閉じ込められたことを知った