《沈むビル》

ホラー小説《濡れたボタン》
都市に埋もれた、封印された階がある。
老朽化したビルで見つかった、
動くはずのないエレベーター。
無人のはずの建物で、誰も押していないボタンが濡れている。
上昇でも下降でもない、不気味な移動が始まったとき、
日常の構造が音を立てて崩れはじめる。

静かに、確実に、あなたの記憶の底へ侵食してくる、密閉型・知覚ホラー。
扉が開くたび、見たくなかったものに、ひとつずつ触れていく。

そのボタン、押したのは誰ですか？