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ヤオヨロズシリーズ

ヤオヨロズの軌跡~廃墟の建国編~

作者: ハテナ・ディン

時は戦国、幾多の英雄が国を作り、戦いによって繁栄しまた戦いによって滅びたその時代に一人の女性が荒地を歩いていた。


「・・・・・・」


その女性は何も話さず、ただ無言で歩く。ふと女性の足が止まった。女性の目の前には荒廃した都市が映っていた。つい先日滅びた国でそこにいた民もバラバラになり静けさを保つ、いわばゴーストタウンである。


「ようやくこの日がきました。」


そこで初めて女性が言葉を発した。それは淡々と…しかし強い口調だった。その言葉の後に後ろから気配を感じた。

女性は素早く自分の愛刀である村正を抜くと同時に振り向きざま、後ろを斬る。


「ちょっ!?あぶなっ!!」


その気配はギリギリでその攻撃をジャンプで避けた。その後ろにある崩れた柱が斬撃によって真っ二つになる。


「怖いですね~いきなり攻撃は無しでしょう。」

「・・・何者です。」


女性はソイツを睨み付けたままいまだ剣を構えていた。その瞳から見せる紅の瞳が何か行動を起こせばすぐにでも斬ると訴えている。


「私はただの旅人ですよ。」

「ただの旅人さんが私に気配を悟らせず後ろまでこれるわけが無いですよ。」


ソイツは茶色の民服を身に纏った男性だった。すこし痩せた顔に筋肉の無さそうな体つき、街にいればそこらへんの国民とたいして変わりないだろう。・・・その背中に羽が生えていなければ。しかし女性は羽が生えていることに関しては大して気にしなかった。たくさんの種族がいるこの大陸ではさほど珍しいものでもない。センカは初めて見たが、羽の生えている種族もいるのだろう・・・


「まぁいいですよ。ですがおかしな行動をとればすぐに斬ります。」

「了解です。しかしまた派手に滅んでますね~」


男性が周りを見渡す。つい数年前まではここには大きな国があったがつい最近の戦争で滅ぼされた。国とは意外と簡単に滅ぶものだ・・・

女性はついついそう思ってしまう。


「で、美しい嬢さんはこんな廃墟に何をするつもりで?」

「あなたには関係ないです。」


男性の言葉を女性は一言であっさりと切り捨てる。男性はやれやれと手のひらを上に向けながらも反論しようとはしなかった。


「ん…何でしょう?」


その時、壁の影で何かが動いた。女性がそれに気づいて走り出す。壁の隙間にいたのは小さな男の子だった。


「どうしたの?お父さんとお母さんは?」


男の子は何も喋らない。男性が女性のそばに寄ってくる。


「戦争孤児ですね。大方親が戦争の犠牲になって他の人に置いていかれたといった所でしょうか。」


男の子はいまだ何も返事を返そうとはしない。女性はその男の子の手に小さな丸い球をあげた。


「?」

「アメというものですよ。美味しいから食べてみなさい。」


男の子はアメを受け取るも最初は口にしようとはせず警戒しているようだったが空腹には勝てなかったようでその手に持ったアメを食べた。


「・・・甘い・・・」


男の子がアメを食べるとその顔から笑顔が零れた。女性は初めてその男の子の笑顔見て、少し驚いたものの次の瞬間には自分も笑顔になってアメを口の中で転がす男の子を見つめる。そばにいた男性がホゥッ・・・?と目を見開いた。


「嬢さんも笑顔がでるんですね。さっきまで仏頂面だったので驚きましたよ。」

「・・・気のせいですよ。」


女性は男性に背を向ける。だがその頬には微かな朱がかかっているのを男性は見逃さなかった。


「アナタ・・・」

「?、なぁに?」


女性は男の子に話しかける。それは男性と話していた堅苦しい話し方とは違い、緩やかに穏やかに・・・そして何よりその顔は優しさに満ち溢れていた。


「私と一緒に来ない?」

「お姉ちゃんと一緒に?」


子供は何で?と言った風に首を傾げる。それは年相応の行動だったのだが女性が一瞬抱きしめたい衝動にかられたのは内緒だ。


「うん。住むところもあるしご飯も美味しいとはいえないけどたくさんあるよ。」

「じゃあ行く!!」


そして男の子は私の服を引っ張ってついて来た。


「私もついていきますよ。嬢さんと一緒に行くとおもしろいものが見れそうですしね。」

「勝手にしてください。」


女性はドンドン歩いていく。そこに前から5人ほどの人影が瓦礫から降りてきた。体には汚れた鎧、手には剣を握っている。


「へへへ・・・そこのニィちゃん。そこの女とガキと有り金を全部置いてどっか行ってもらおうか。」

「・・・国の敗残兵ですか。なるほど、見るからに腐っていますね。」

「ていうか私はどっか行っていいんですねぇ~」


二人はそんな敗残兵を無視して話す。男の子は怯えて喋れないようだった。無視された方の兵士は怒りを露わにする。


「テメェらふざけてんじゃねぇぞ!?さっさと置いてけって言ってんだよ!」

「そうだ!殺すぞ!?」


ピクッ・・・っと女性の体が動く。そして顔をゆっくりと兵士達の方に向けた。それはまるで何かが乗り移っていたかのような動きだった。


「殺す?貴方達が、私を、ですか?」

「そ、そうだよ!まぁお前は楽しんでからだけどな。」


女性の変化に戸惑いながらも強気の返事を返す兵士の一人の体が二つに分かれたのはそれから数秒も経たずの事だった。女性の手には先ほど男性に切りかかるときにも使った村正が握ってある。


「て、テメェ!!」

「殺してやる!!」


やっと何が起きたか分かった兵士達は一斉に女性へと襲い掛かった。だが兵士達は女性に襲い掛かる前にその命を散らす事となった。兵士達はいきなり額から血を流して倒れる。男の子は何が起こったか分からず目をパチパチさせていた。


「女性相手に男数人とは・・・モラルに欠けますね。」


男性は拳についた血を近くの草で拭く。


「10発か・・・よくあの速さで動けるものですね。」

「お褒めの言葉、光栄です。それにしても本当にあなたはこんな所まで何をしにきたのですか?こんな危険な所まで来て・・・甚だ疑問です。」


男性はわけが分からないといった風に首を振るう。それに対し女性はただ黙ったままジッと刀を持ったまま立ち尽くしていた。


「・・・を作りたいんですよ。」

「ん?何て言ったんです?」


やがて女性が言った小さな声で呟くような言葉に男性は聞こえず、もう一度聞き返すと次は叫ぶように声を張り上げた。


「私は国を作りたいんですよ!!」

「国・・・あなた正気ですか?こんな群雄割拠した争いの時代に・・・そもそもこんな荒地に人が集まると思いです?権力目的ならやめておいた方がいいですよ。」


やっと聞こえた女性の言葉を男性は冷静に返す。確かにそれは正論だ。ユグドラシル連邦に海武国、スター連合・・・といわれた強国に加えてその中で最強といわれた軍事大国ソウル帝國もいる。今や世界は国と国との勢力争いとなっている。その中で国を作るのはバカとしかいいようがない。もし権力目的に国を作ったとしても人が集まらずすぐに潰されて死ぬだけだ。


「それでも・・・」


女性は男の子を見る。男の子はまだ口にアメが入っているらしく口をモゴモゴとさせていた。


「私はこんな悲しい子供がいない国、誰もが幸せになれる自由な国を作りたいんです!!」

「・・・・」


女性の目はまさに真剣そのものだった。その目を見た男性はふと笑う。世の中にこんなバカな人がいてもいいかもしれないな。とその時男性は思った。そして決意する。


「なら、私はそばで見させてもらいますよ。あなたの目指す国と・・・その結末を。」

「お姉ちゃん王様なの?」


男の子は無邪気な顔で聞き、男性は女性の国を見る決意を言葉に出す。


「・・・ありがとう。」

「それで国の名前は何にするんです?」

「もう決めていますよ。」


女性は目を閉じる。それは何かを思い出すような・・・そんな顔だった。


「ヤオヨロズ国です。」

「ヤオヨロズ国…良い名です。ではヤオヨロズ国王様、よろしければお名前を聞きたいと思います。」

「名前を聞くときはまず自分から・・・ですよ。」


男性はこれはしまった!という顔した。その顔はなぜだか憎めない顔だと女性は思った。


「これは失礼しました。私の名はジョン・ペーパーと申します。」

「私はセンカ・ゴールドです。これから忙しくなりますよ?あ・・・」


男の子がジッとこちらを見つめる。それは何かを待っているかのように。


「アナタの名前はなんていうの?」

「僕はコウキ!コウキ・ドーモって言うんだ!」


センカが優しく問いかけると最初の警戒心はどこへやら、待ってましたと言わんばかりに名前を答えた。


「私、センカ・ゴールドは今ここにヤオヨロズ国の建国を宣言します。」

「王の仰せのままに。」


ジョンがひざまずく。そしてこのヤオヨロズ国が後に素晴らしき防衛戦を見せ、強国と言われたスター連合の攻撃を退けたのはまた別の話、かくしてヤオヨロズ国の歴史はここから始まった・・・・



さてさて、これは自分がしているオンラインゲームを題材にした小説なんですが楽しめて頂けましたでしょうか?ちなみに同じオンラインをしている人がこれを呼んでどんな思いを抱くのか、正直怖いです。


イメージと違うと思われた方はこれはオレの想像ですのでご容赦ください。この作品に出ている登場人物には実際のモデルがいるのですがその方に一言言いたいです。


・・・・申し訳ありませんでしたあぁあ!!!!! 終

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