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アイダシャフト  作者: 文士M
第1章『陽炎稲妻水の月 夢幻の蝶とは俺のこと』
6/125

1-5 楽しい! ナゾナ・ゾロアスターとラノベチックなやり取り!

 そして翌日である。

 金曜日の昼休み、結局、俺はまた来てしまった。来てはいけない、来てはいけないと思いつつも、弁当を食い終わって、なんとなく暇になり、っていうか本当に昼休みも活動しているのか気になって、ふらっとやってきてしまった。


 旧校舎は四階の端、廊下の突き当りにやはり暖簾はかかっていた。近づくと暖簾の中に脚も見えるし、ゾロアスターはいる。

 すぐにゾロアスターに声をかけようかと思ったが、ちょうど暖簾の手前にある掲示板に、気になる掲示物を見つけた。足を止めてその掲示物をよく見てみると。


『なぞなぞクラブ。本日のなぞなぞ。解ったらそこの暖簾に答えを。(外れたら入部)』


 ははーん。面白いな。特にカッコ書きの中身が。

 ゾロアスターに話しかけるのはこのなぞなぞを解いてからにしよう。して、本日のなぞなぞとは如何に。



 ・加藤さん

 ・武藤さん

 ・佐藤さん

 この中で最も物事に厳しいのは誰?



 ふむ、なるほど。この前の世紀の良問とは打って変わって、シンプルな問題である。そしてシンプルであるだけに、答えはすぐに分かった。

 『物事に厳しい』ということは、物事に対して『甘くない』人のことだろう。すると、三人の選択肢の中から『最も甘くない人』を見つければいい。


「よーう。ゾロアスター、本日のなぞなぞ、解ったぞー」


 俺は軽い感じで暖簾に向かって話しかけた。


「やや、もぐもぐ、この声、もぐもぐ、この匂い、もぐもぐ、もしや、もぐもぐ」

「飲み込んでから話せよ! てか飯食ってたのかよ!」


 くそ、相変わらず一々面白い奴である。


「もぐもぐ、ごっくん……やや、この声この匂い、もしやお主の正体は、よもや世紀の良問を、解いたはいいが二人目で、その才能が凡百と、気が付き息つき消沈中。洲屋忍者トキマス主人公殿、ではありませんかな」


 今日もゾロアスターはゾロアスター節全開。俺も合わせるとする。


「むむ、そういう貴殿の変わらぬ調子、凡夫のオイラが知るところ、おそらく貴殿の正体は、暖簾暮らしの謎づくり、ゾロアスターにて違いなし。して、何故貴殿が、オイラの正体を洲屋忍者と知っているのか非常に気になるところ。まずはその委細、詳しくお聞かせ願いたい」


「いや何細かいことはさておいて、袖振り合うも他生の縁と言うが、三度も会えばもはやこれ運命。どうかなここは一つ、この運命を祝して再開の挨拶をしておくのも悪くはない選択肢だと思うのだがー。せーの」


 暖簾からひょっこり出てくる黒仮面。合わせる挨拶はミトシ先生直伝のアレ。


「「これはしたりー」」


 ふぅ、癖になるなーこの挨拶。で仮面は暖簾の内側へと戻り、答えを聞いてくる。


「で、凡百主人公殿。本日のなぞなぞの答えは如何に」

「おいおーい。呼び方呼び方」

「失敬、男時舛殿、して答えは如何に」


 なぜ男と付けたのかは不明である。まあいい、とりあえず答えよう。


「武藤さんだ。理由は『無糖』だから、全く甘くない。つまり物事に厳しい。ほかの二人は『加糖』さんと、『砂糖』さんだから、甘いんだ」 

「ふむ。正解である。なぞなぞ大好きの男時舛殿には簡単であったか?」

「まあ簡単だった。でも、なぞなぞって本来こういう物だろ。ちょっと頭を捻るだけで解けるから面白いんだ」

「ではそういう君に第二問」

「お、おう」


 暖簾の隙間から腕が伸びてきて次の問題用紙を受け取る。



 ディフェンス → DF  

 のように、次に挙げる単語を二文字で表してください。 

・テレビ

・トイレ

・パソコン

・テレフォン

 


「制限時間三十秒。解けなければ入部。はいよーい」

「いきなりっ! ちょまて! その勝負受けるが、こっちの要求も聞いてもらう!」

「なにっ。解けたら入部させろと言うのか!」

「違うわい! 解けたら、何故俺のことを洲屋忍者と知っているのか教えてくれ!」

「いいだろう。三十秒で解けたらな! よーいドン!」

「はいゾロアスターさーん。男トキマス、もう解けましたー」

「え、い、いや、早くない?」

「テレビは『TV』、トイレは『WC』、パソコンは『PC』、でテレフォンは『Tel』になっちゃうから表現不可能と思わせておいて、二文字で表せばいいだけだから『電話』だろ?」

「うっ、せ、正解」

「よっし。じゃあ約束の」

「もう一問! もう一問だけ! これが解けたら教えるから!」

「はっはーん。いいだろう来い」


 で、暖簾から出てくる更なる一枚。



 自身について当てはまるものを選んでください

①性別:男 女

②生年年号:明治 大正 昭和 平成 令和

③年齢:0~9 10~19 20~29 30~39 40~49 50~59 

    60以上

 このアンケートに答えた人のうち、①②③の全てで○を付けなかった人がいたとすれば、それはどんな人?



「はい制限時間十秒! 解けなければ入部! よーいドン!」

「はいゾロアスター先生。答え解りましたー」

「うっ、は、早すぎる」

「このアンケート文では、『当てはまるものを選んでください』、というだけなので、選ぶ方法は自由です。よってー、例えばレ点チェックなど、〇を付ける以外の方法でチェックした人だと思いますー」

「せ、正解である」


 はっ、俺が本気を出せばこの程度余裕だぜ。

 さてこの勝負の勝利が確定したことだし、俺はゾロアスターを煽り返すとする。


「いやしかし、凡百の男トキマスと言えども、誰しも一つくらいは才能があるものだしー、ゾロアスター君が悔しいのも解るけどー、どうかなここは一つ、袖振り合うも他生の縁と言うしー、そろそろ俺を洲屋忍者と知っている理由を、教えてくれるのも悪くはない選択肢だと思うのだがー」

「ぐぬぬ……」


 ふふふ。効いている効いている。

 暖簾の向こうのゾロアスターはしばらく沈黙していたが、俺が根気よく待っていると、ぽつりと漏らした。


「……まあ、アレだよ。君も美男なんだから、色々と察したまえよ。聞かないでおくれよ」


 なんだか初めてゾロアスターの素の声を聴いた気がした。


「そうする」

「う、うん」

「じゃ、袖振り合うも他生の縁と言うし、ここは一つ、俺は帰るから」

「くっ……この種の屈辱は生まれて初めてだ」


 俺は曖昧な返事だけして、暖簾に背を向けて歩き出す。

 廊下を歩いている途中、視線を感じたので振り返った。

 暖簾から顔を出す黒の舞踏仮面と目が合った。仮面は慌てて暖簾の中にすっこむ。

 ナゾナ・ゾロアスター。奴がどんな目をしているのかは、まだ見えなかった。


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