表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

マイナ保険証を巡る諸問題から

作者: xoo

みやむーの声で;「あんたバカァ?」

 高齢者施設関係者からマイナ保険証の強制化反対の声が上がっている、と幾つかの報道がされるようになった。入院入所者がマイナンバー(個人番号)カードを持っていない、本人が申請できない・委任状に署名できない、法定代理人がいない(成年後見人制度における成年後見人・補佐人・補助人が選定されていない)、家族が協力的でない、申請規格に沿った写真撮影が難しい、などでマイナンバーカードの新規取得及び更新がされないケースが多発すると見込まれるためである。

 さらに問題は、保険証は所持認証で済むものの、マイナ保険証は所持認証に加えて窓口で知識認証(4桁の利用者証明用暗証番号)または生体認証(顔認証)を用いてサーバに保険証情報を毎回読みに行く形になっており、そのためには高齢者施設等が入所者のマイナカード本体と利用者証明用暗証番号を保管する必要がある。入所者がマイナンバーカードと暗証番号を適切に管理できる例は少数であると推測できるし、昨日まで管理できても病気などで今日は管理できない暗証番号を入力できない分からなくなった、なんてのも容易に推測できる。施設にとっては、どこに誰が保管管理するか、必要時の持ち出し返却はどうするか、など管理の手順が増える事が容易に推測できる。


 私が通院している歯科医院ではマイナ保険証対応であるが、マイナンバーカード+診察券だけでなく紙またはプラスチックの保険証提示も求められている。多分は、保険証情報の誤登録が多発しているためにマイナンバーカードの信頼性が失われているためだと思うが、一部報道によれば「資格があるにもかかわらず『無効・該当なし』と表示された。特に国家公務員に多い」(東京新聞2023年6月13日朝刊)とあり、呆れ果てる他ない。

 一方、現在導入されているマイナ保険証の読み取り端末における顔認証には、マイナカードのICチップに格納されている顔写真のデータが利用されることになっている。が、端末においてはカードを所定の位置・向きでセットする事が求められている。非接触読み取りであれば向きは関係ない筈だが、資格証読み取り機能を持たないマイナンバーカード専用機においてもカメラで券面を撮影している。実はICチップにアクセスできないのだろうか?何かの誤魔化しがされているのだろうか。


 最初の高齢者施設等に話を戻すと、懸念されることは「施設が暗証番号を管理せざるを得なくなる」ことである。生死を彷徨う状態で医療機関に搬入されてきた人の顔認証は、無謀というか無理であろう。現実的な運用としては、施設が暗証番号を保持する事が求められる。その際に、この暗証番号がマイナンバーカード専用で他のキャッシュカードなどと必ず別番号であるとは、考えにくい。そのため暗証番号が一旦漏洩した場合、他のキャッシュカード・クレジットカード等のセキュリティーを毀損することは容易に考えられる。

 もしくは高齢者施設等の入所にあたって、マイナンバーカードの暗証番号を施設指定の番号に変更しておくよう求める運用も、可能性としてはあり得る。ただこの場合、市区町村の窓口でなければ変更を行えないため、新規取得・更新と同様の問題が起こり得る。

 更には、施設職員の過失または故意で入力を複数回失敗して暗証番号が使えなくなった場合、これも同様の問題が起こり得る。いやこの場合は、施設の責任なのに本人家族または代理人に手続きを強いることになり、経費負担を含めてトラブルになると容易に推測される。

 いくらなんでも、マイナンバーカードの裏面にマジックで暗証番号を書き込む、なんて運用だけはあり得ないと思うが(銀行のキャッシュカードに暗証番号を書いておく、という話は読んだ事がある)。



 マイナ保険証を巡る諸問題は、理念は良かったが制度設計がマヌケだったために起きた事象である。これならば最初から複数名併記の紙の保険証(主に市町村国保)を廃して個々人ごとの保険証を作成するとか、健保組合は複数あってもいいが統一形式で付番された保険証を使い回す形(前世紀中に行われた公的年金制度の番号体系統合をイメージしている)を行うべきだったのではないか。

 少なくともマイナンバーカードに保険証機能を持たせるならカードのICチップに保険証情報を格納し、普段は医療機関の職権で保険証情報を読み取れるようにし(所有者の認証を必要としない)、医療機関でのオンライン時にサーバ情報との齟齬があった際のみICチップ内の情報を書き換えられるように設計されていれば、推測される様々な問題は回避できたのではないだろうか。



 余談であるが当初、マイナンバーカードは行政手続きの際のみ使われ、普段の持ち歩きは想定されていなかった筈である。しかし現在は持ち歩き、提示するよう求められるのものとなっている。多分近い未来には券面にフリガナ表示がされる事だろうが(意味がない)、その際には個人番号の記載は削除すべきと考える。端末で個人番号が読み取りできる、そもそも行政機関以外では読み取る必要がない個人番号を人目に晒す必要はない。確認するだけなら、最近流行のナンバーレスクレジットカードのようにアプリ読み取りのみにすべきだと考える(実は住民票を請求する際に個人番号を記載するように希望する事ができるため、就職時の提出書類が整理できる筈である)。

スマホ保険証だって2024年度にならないと使えないし、医療機関に入っている現行の読み取り端末はNFC対応じゃないから読めない、という為体。何のために2022年度に「マイナ保険証を使ったら余計にお金がかかるように診療報酬に手を入れた(その分医療機関の収入になり、端末導入の原資になった)」のか。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ