夕日の差し込む教室で
学校の授業が終わり夕日が差し込む教室での話だった。
「あ……のう。 一条君」
たどたどしい口調で話しかけてきた女の子は三島司さん。
三つ編み、メガネ、読書好きと3つの属性を持つクラスメイトの子だった。
「知ってるよ。 クラスメイトだから」
と僕、一条悟は答えた。
「悟君のこと私好きなんです」
精一杯勇気を振り絞って女の子が告白してきたのだ。
「俺の何が好きなの?三島さん」
「ドエスなところです。 この前不良に絡まれたとき容赦なくボコボコにして、
唾を吐いて見下したあの目が好きなんです」
「えっ……?」
「あと、その不良の仲間にお前らは価値のないカスだ。 お前の口にはタバコを吸う権利おろか俺と同じ空気を吸う権利もないだろう。 頭の出来も毎回赤点で、下半身しか価値がない男たちだからオカマバーで一生暮らしていろ! っていう口調で罵ったところを聞いて、私もあのように罵られたいのです」
僕の中で三島さんのイメージである文学少女の像が、音を立てて崩れていくのがどこかで聞こえた気がしたのだ……。
「えーっと。 三島さん俺には君はムリです」
「もっと言ってください」
俺は無理そうだったので、放置して帰ったのだが、
「放置も最高」と聞こえたのは聞こえなかったふりをしたのでした。
何度振ってもしつこく付きまとう三島さんに俺の心は折れてしまった。
ドエムである少女とドエスである少年の恋物語であった。