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美女と酒を飲むおっさん

1日の冒険の終わりを祝し杯をかわす木製のジョッキ同士がぶつかる音、地図を広げながらまだみぬ冒険の計画を立てる若い冒険者パーティ、金貨を見せながら交渉をしている狡猾そうな男性冒険者、女性冒険者に声をかける身なりを整えたエルフとおぼしき男性、冒険者たちが織りなす光景は多種多様でそのどれもが活気に満ち溢れている。


今日もオルニアは1日の終わりを祝す喧騒に包まれ、富や名誉などあらゆる欲望を包み込み冒険者が好む“自由”都市オルニアの名に恥じない姿を俺に魅せつける。


俺は本格的なモンスター退治のクエストを終え、異世界にきて初めてこの冒険者の街に恥じない1日を終えた達成感を味わっている。


更にとなりを歩くのは、一緒にクエストをクリアした天然爆乳美少女のエリスである。


今も凶悪なまでに膨らんだ胸をばゆんばゆんと揺らし、獣の皮をなめしたショートパンツからは桃尻の割れ目部分や肉付きの良い果実部分も大きくはみ出させながらストリートを闊歩する。


男性冒険者の視線を大いに集めているが、本人は全く気付かずに夜の街の雰囲気を心から楽しんでいる。


外見はもちろん魅力に溢れすぎているほどに素敵なのだが、人の為に本気で怒れる優しさや、自分の信念を貫き通す強さ、人への感謝の気持ちも持ち合わせているという真っすぐで純粋な彼女の性格に、社畜生活を通し歪んでしまった性格の俺は何度も心を洗われている。


そんな彼女とのデートじみた時間に否が応でも気持ちが華やぐ。


俺が向かう先は元女山賊が経営する【山賊の隠れ家亭】だ。リーズナブルな値段で美味しい酒や料理を提供するというのがこの店の店長であるヒルダの方針である。


エリスが一緒なので荒くれものの冒険者によるちょっかいや野次も気になるが、俺はこの店の専属おつかい士として働いていて店員たちも目を光らせてくれるので大丈夫だろうと判断した上での店のチョイスだ。


思えば異世界に来てから、ちゃんとした飲食店でお金を払って食事を楽しむという事は今日が初めてだ。なんせ先立つものが無かった。


しかし、クエストクリアによる有り余る報酬をもらい懐にも余裕がある今怖いものは何もない。


「ヒルダさん!今日はお客さんとしてきました!2人なんですけど良いですか?」


「おぉ坊や!クエストお疲れ様!その子が一緒にクエストをクリアしたっていう子かい?」


「あっ!そうです。彼女と一緒にクエストに行ってきました。」


ヒルダの質問をうけエリスも口を開く。


「初めまして!ナツヒ君のお友達のエリスです。ナツヒ君からとっても素敵なお店があると聞いて一緒にお邪魔しちゃいました。」


エリスは意外というかなんというか、冒険者たちのかもしだす野蛮な宴会の雰囲気や、ヒルダにも怖気づくことなく、持ち前の明るさを存分に発揮するように太陽のような笑顔を弾けさせながら挨拶をする。


「へぇ。坊やも隅におけないねぇ。あんたら今日は良い仕事をしたんだ!たーんと食べて飲んでいきな!腕によりをかけて料理するよ!!」


エリスの顔から足までを一瞥したあとに意味深な言葉をのたまうヒルダ。


そして、制服から豪快にはみ出した褐色の艶やかな胸に負けないセリフをもって、快く俺とエリスを客として迎えいれてくれた。


あぁ!久しぶりだこの感じ!


社畜ではあったが仕事終わりに仲間と飲むビールは最高だった。


それなりに幸せだったサラリーマン生活に想いを馳せる。


「おつかい士さんにエリスさん!ようこそ【山賊の隠れ家亭】へ!今日はお疲れ様でしたー!何を飲みますか?」


俺が久しぶりの感覚を味わっているとイセラが注文をとりにきてくれた。


昼間着ていた戦闘用のハイレグボディスーツでは無く、山賊をモチーフにした制服に着替えている。


そのいで立ちは形の良い胸を毛皮つきのなめし革で覆い、腰には獣の皮をまきつけていてミニスカートのような恰好だ。・・・下着はTバックなのか履いていないのかはわからないが、時おりひるがえる腰巻きの下からぶりんとしたお尻が目に入り幸せバフをブーストする。


「それではとりあえずエールをひとつと・・・。エリスは何にする?」


メニュー表をもらいエールを頼む。―この世界ではビールでは無くエールというのが一般的らしい―


「ん?エールっておつかい士さんお酒飲めるんですか?」


あっ!しまった!つい勢いでエールを頼んでしまった。イセラに尋ねられ我に返る。


「えっと・・・。あぁ何歳からでしたっけ?」


「一応法律では16歳からOKですけどおつかい士さんお酒を飲めるようには見えなかったので。」


16歳から飲酒可なのか、フランスやイギリスと同じだな。やはり冒険者の国は酒にも寛容だった。


「いや。こう見えても意外とお酒は飲めるので大丈夫です!」


「ナツヒ君お酒飲めるんだ!なんか意外だなぁ。じゃあせっかくだから私も飲んでみよっかな。」


「・・・いや!飲んでみよっかなってエリスは飲んだことないのか?」


「うん、ないよー。」


「いきなりエールで大丈夫?」


「うん?多分大丈夫!大人の冒険者は“とりあえずエール”なんでしょ?何事も経験!経験!」


本当に恐れ知らずというか無防備というか心配の種がつきない子だ。初めてお酒を飲むのが俺で良かった。

仮にエリスがお酒に対して極端に弱かった時、こんな爆裂ボディの美少女が何をされるかわかったものではない。


「じゃあエールふたつですね!その間に食べる物決めておいて下さいねっ!」



ほどなくして、エールが注がれた木製のジョッキが置かれる。


「ご注文のエールとお通しのエイダ豆だにゃ!食べ物はどうするにゃ?おつかい士さん!」


しなやかに引き締まったその肢体を惜しげも無くみせつけながらエールを持ってきたのは、猫の獣人であるシャウネだ。


エイダ豆と言って置かれたものは見紛うことなき枝豆であった。


「悩んでいるならここら辺が今日のおすすめだにゃ!」


と尻尾を器用に使いメニュー表を指し示す。


コニリエットの香草蒸し、生オストリカのレモン添え、オチャーダのカルパッチョ。


・・・うん。言語魔法のお陰で文字は読めるのだが、肝心の食材の名前がわからない。


エリスに聞こうと思ったのだが、「オチャーダって何?」と聞いても「オチャーダはオチーダだよ。」という問答になりそうだし、変にこの世界のことを知らなさすぎるのが露見するのを嫌い、とりあえずおすすめを全て頼んでみた。


「じゃとりあえずおすすめ全部お願いします!」


「わかったにゃ!エールでも飲んでまっててにゃー!」


尻尾で俺の頭をぽんぽんと触りながらキッチンの方に戻るシャウネ。


尻尾で頭ぽんぽんとは一体どんな意味があるのだろうと一瞬興味が湧いたが、それよりも今は目の前にあるエールだ。


久しぶりの酒に心が躍る。しかもお相手はエリスという奇跡。


リアルラックを使い果たしてしまいそうで怖いが今日は楽しむと心に決める。


「乾杯!」


「かんぱーい!」


俺とエリスのジョッキが心地よい音をたて、二人だけのささやかな宴が幕を上げた。



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