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Rev.ノブナカ  作者: わたぼうし
【2章】幻の獣王国
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【15話】激突

「ザスサールさま、予定通りノグロイたち獣人解放軍とアクロチェア王国騎士団の戦いになりました」

カーテは紫水晶のカケラを握り、ザスサールへ報告していた。


ティアとカーテは先程まで獣人解放軍がいた丘の上で身を潜めていた。

丘の上からは獣人解放軍と騎士団が睨み合っているのがよく見える。


「…はい、承知しました」

カーテはそう言うと、紫水晶のカケラから手を離した。


「ザスサールさまは、なんと?」


「今、こちらへ向かっているところだそうです。ザスサールさまが到着するまで、ここから戦況を随時報告しろ  との事です」


「そうか。わかった」

ティアは意識を獣人解放軍の戦いに向けると、音を拾おうと耳をピクピクさせていた。



――(獣人解放軍)―――――


その頃、ノグロイは混乱していた。


(なぜ、騎士団がいるのだ?)


チトナプの町にいる自警団は50人程度。町のヒトが加勢したところで獣人解放軍500人の敵ではない。

この戦いは我ら獣人の一方的な殺戮で終わる…

ハズだった。

だが、目の前にはアクロチェア王国騎士団、それに戦士団に魔法使い達もいる。

こんなハズではなかったのだが…


(だが、数はこちらの方が倍程いる。 それに、いつかはアイツらとも戦うつもりだったんだ。それが、今になった… ただ、それだけのこと)

ノグロイは不敵に笑うと声をあげる。


「野郎ども!! 相手は王国騎士団だ!簡単には勝てないだろう! だが! これまでオレたちが生きてきた世界を思い出せ! オレたちはどんな過酷な世界でも、戦い生き残ってきた! 生ぬるい世界で生きてきたヒト種族などに負けるはずがねぇ! オレたちは強い! オレたちが最強だ! オレたちが正義だ!!」

ノグロイはバトルアックスを振りかざし叫ぶ。


「「おおおー!!」」

獣人解放軍は雄叫びをあげ、大地を踏み鳴らし、手に持つ武器で盾や鎧を叩く。まるで地響きのような大音量で騎士団を威嚇し、自分たちを鼓舞していた。





――(辺境防衛騎士団)―――――


獣人解放軍が発する音と気迫で騎士団の馬達が怯えそうになるが、騎士たちは馬の首を叩き落ち着かせていた。

横にいる戦士たちも一瞬怯みそうになっていたが、そこは歴戦の戦士たち。すぐに気持ちを立て直し、戦う体制を整えると獣人解放軍を睨む。



辺境防衛騎士団 団長ヤールガ・イナルックは馬を前に出し、自軍の方を振り向くと騎士剣を高く掲げ叫ぶ。


「辺境防衛騎士団! アクロチェア王国 国王の下に集まった精鋭達よ! 我ら、一度生を受けた者はいずれ死ぬ。 志半ばで死ぬかもしれない。 愛する者を残して死ぬかもしれない。 強大な敵に心を打ち砕かれるかもしれない。 だが! それは今では無い! 我々は王国の剣! 王国に害為す敵を打ち砕く剣となり、目の前の敵を討ち滅ぼすのだ!」

ヤールガが叫ぶと、騎士や、戦士、魔法使い達が各々の武器を掲げる。

ヤールガは仲間達が掲げた剣や杖に、自分の騎士剣を当てながら隊列の端から馬を走らせた。

ヤールガの騎士剣と仲間達の剣や杖が織りなす音色が、辺境防衛騎士団の士気を上げていく。


ヤールガは隊列の中央に戻ると、獣人解放軍に向き直り騎士剣の切先をノグロイの喉元に向けて叫んだ。


「王国の精鋭達よ! 突撃!!」


「「ううぉぉぉぉおおおお!!!」」

ヤールガの号令に弾かれるように騎士団が突撃を開始する。



「獣人解放軍! オレたちの力を見せてやれ! 突撃だ!!」

同時刻、ノグロイの号令に獣人解放軍も突撃を開始した。



辺境防衛騎士団は、ヤールガを先頭に騎士団が突撃し、それに追従するように戦士団と自衛団、一番後ろに魔法使いの半分がひとつの槍のように突進する。


対する獣人解放軍は横に広がり、一枚の壁のように突撃していた。

獣人解放軍の後ろにも魔法使いの約半分がついてきており、両軍の残り半分の魔法使いは、その場からファイヤーボールを相手軍へ撃ち込み続ける。


お互いのファイヤーボールのいくつかは衝突し、空中で爆ぜる。

衝突しなかったファイヤーボールは地面に落下し爆ぜるモノ、戦士達に命中しいくらかのダメージを与えるモノがあった。

しかし両軍は爆炎の中、隊列を崩す事なく突き進む。

隊列の背後にいる魔法使い達は、自軍の戦士達に防御魔法や、攻撃力向上の補助魔法をかけていく。


そして両軍は激突した。

まるで一枚の壁に巨大な槍が突き刺さるように、獣人解放軍の中央を撃ち破ろうとする騎士団。

その騎士団を覆い尽さんとするかのように、両脇から攻撃する獣人解放軍。


魔法使い達はファイヤーボールからマジックアローに切り替え、隊列の後ろから補助魔法をかける魔法使いを狙い撃ちし、更に攻撃してくる魔法使いにも範囲魔法を撃ち込む。


いかに相手の補助魔法を妨害できるかが、勝敗に大きな影響を与えるのだ。



中央では騎士や戦士、獣人達が近接武器で戦い火花を散らす。

その上空や背後では、さまざまな魔法合戦が繰り広げられていた。




町の入口から少し奥に入り高い場所からノブナガ達は、この戦いを見ていた。


「これが、この世界の戦か…」

ノブナガは初めて見る魔法を使った戦いに言葉を失っていた。

もし、この戦いを見ることなくノブナガが戦を始めていれば、間違いなくノブナガは敗北していただろう。


「ミツヒデ… この世界の戦とは、我らが知っている戦とは違うの」


「左様でございますね。 此度の戦、我らにとってはよい経験となりました」


「そうじゃな。 のう、ミツヒデよ」


「はっ」


「ワシはこの世界で天下を取れると思うか?」

ノブナガは目の前で繰り広げられている戦いを睨みながら、つぶやくように聞いていた。


「お戯れを… ノブナガさまに出来ぬ事などありません」

ミツヒデはノブナガの前で膝をつき、頭を下げて応える。


「ふっ。 当然じゃ。ワシは織田信長。第六天魔王 ノブナガじゃ」

ノブナガは不敵な笑みを浮かべ、騎士団達の戦いを見ていた。

ノグロイの思惑が外れ、騎士団との戦いは激戦となった。その時、ノグロイ率いる獣人解放軍に変化が現れる。


次回  狂戦


ぜひ、ご覧ください。

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