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Rev.ノブナカ  作者: わたぼうし
【2章】幻の獣王国
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【7話】追跡

お待たせしました。

いろいろと仕事やプライベートが忙しくなり、毎日投稿が難しくなってきました…

この回より、毎週火曜と金曜に投稿させて頂きます。今後とも、よろしくお願いします。

「ノブナガさま!」

街道の脇でミツヒデは待っていた。


「ミツヒデ! 首尾は?」


「はっ カーテはこの先の森にある集落へ向かいました。 場所はすでに把握しております」

ミツヒデは膝をつき報告する。


「うむ、ここからは目立たぬように向かうぞ」

ノブナガはオオカミゾンビから降りると、小声で指示する。


「ノブナガさま、お体は大丈夫でございますか?」


「うむ。アネッサの治癒の魔法には驚かされてばかりじゃ。 手をかざすだけで傷は癒え、たちどころに痛みも消えてしまった」

ノブナガは脇腹を撫でながら笑っていると


「当然でしょ。 わたしが治癒したのよ? 例え死にかけていても、命さえあれば完璧に治してみせるわ」

アネッサは、フンッと鼻から息を吐いて威張っていた。


「アネッサ殿。 誠に感謝致す…」

ミツヒデはアネッサの前で膝をつき、深く頭を下げていた。


「あ… いや、うん。 ミツヒデ、それよりもティアさんを早く助けなきゃ」

ミツヒデの予想もしなかった態度に、アネッサはどう答えればいいのか分からずオドオドしていた。


「左様でございますな!」


「して、ミツヒデ。 カーテの目的はわかるか?」


「申し訳ございません。カーテは誰かと話しているようでしたが、内容は聞き取れずティア殿を攫った目的はわかりませんでした」


「そうか、致し方あるまい。身を隠しての追跡じゃったからの。 ただ、あんなに人身売買を目の敵にしていたカーテが、なぜティアを攫うのか皆目検討もつかん。 他に目的があるのか? それとも誰かの指示か?」

ノブナガはあまりにもカーテの言葉と行動に乖離がある事に疑問を感じていた。


「左様でございますな。 カーテは誰かと話しているようでした。もしかすると黒幕がいるのやもしれませんな…」

ミツヒデもまた、ノブナガと同じ疑問を感じているようだった。


「とにかく、その集落へ向かうぞ」

ノブナガの指示で、ミツヒデは街道から外れ森に向かって歩き出した。


街道を外れた草原は腰高の草が生い茂っているが、カーテが通った場所だけは馬車が通ったため草が倒れ、獣道のようになっていた。

一行はなるべく目立たないように身を屈め、辺りに注意しながら進む。


しばらく進むと鬱蒼とした森が目の前に広がっていた。


「この奥に集落があります。ここからはよりご注意ください」

ミツヒデはそう言って森に入って行く。ノブナガとアネッサもミツヒデについて森に足を踏み入れた。

森を少し中に入った場所にカーテの馬車の荷台が隠してあった。カーテはここから馬を引いて森に入っていったようだった。


鬱蒼とした森の中を少し進むと夕方のように暗くなり、湿った足下からは毒蛇や毒蜘蛛などが現れても不思議ではないような場所だった。


「こんな場所に集落を作っているのか… これはますます怪しいのぉ」

明らかに人が入りたくなくなるような場所。そんな場所に()()()集落を作るという事は、誰かから逃げているのか、隠れて何かを企んでいるのか…


足下が悪い中しばらく進むと、また獣道が現れた。

獣道はまだ新しく先程までの湿った足下よりか、幾分かマシな道だった。


「この先に集落があります。 集落は小さく、女子供を入れて20名ほど。我々であれば容易に攻め落とせるかと存じます。ノブナガさま、いかがなさいますか?」

ミツヒデはノブナガの命令であれば、容赦なく集落の人間を皆殺しにするだろう。


「いや、まずは集落の近くで様子を伺おう。撫で斬りにするのはいつでもできる。まずはカーテの目的と、この集落を調べるのじゃ」

ノブナガはどうしてもカーテの言葉と、今回の行動が結び付かない事が気になり考えているようだった。



ノブナガ達は周囲に注意しながら集落に近づくと、木に登り全体を確認した。

どうやらこの集落は森の中にあった泉の近くに作られたようで、泉を中心に木が伐採されログハウスのような住居が建てられていた。集落には太陽の光が降り注ぎ、先程までの森の中とは思えないほど快適な空間になっていた。


泉の周りには数人の女性が水を汲んだり、おしゃべりしたりしている。その周りには子供が走り回り、とても穏やかな時間が流れていた。

住人達は肌の艶もよく、着ている服も町でよく見る普通の服だった。ただ、全員が半獣人のようで小さめのツノが生えている者や、手足だけが獣人の者などがいた。


しばらくすると集落の奥からカーテと複数の男たちが現れた。

その中に一際屈強な男がひとりいた。おそらくリーダー格であろうその男は、全員に指示し泉の前で整列させていた。泉の前でおしゃべりしていた女や子供達も男達の後ろに整列し、リーダーであろう男の言葉を待っているようだった。


男は整列した住人達の前を2、3回往復すると、よく通る声で話し出した。

「諸君! 今日は新たな仲間を迎える事になった。 ところで、諸君らは知っているだろうか? 月女族という戦闘部族を…」


男は住人達の前を往復しながら話し続けていた。


「この国には昔、最強の戦闘部族『月女族』がいた。月女族は徐々に力を失い、その名も聞かなくなり滅びたという噂もあった。 しかし! 先日のギゴール盗賊団によるメルギド襲撃事件で戦闘部族『月女族』が突然現れ、その力をもってギゴール盗賊団を殲滅したのだ!!」


男は興奮したように月女族を紹介すると、「来たまえ!」と叫んだ。

すると建物の影からひとりの女性が現れた。その女性の頭にはウサギの耳があり、黒いアンダーシャツとスパッツの上にビキニタイプの革鎧を装備していた。


「今日、我々の仲間となった月女族のティアだ!」

男が声高らかにティアを紹介すると


「月女族 族長の娘ティア・ウル・ステラリアです。この身尽きるまで、ザスサールさまの為に戦います」

ティアは片膝をつき、リーダーであろう男『ザスサール』に頭を下げていた。

ザスサールに忠誠を誓うティアは、ノブナガ達を敵として襲いかかる。


次回 逃走


ぜひご覧ください。

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