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Rev.ノブナカ  作者: わたぼうし
【2章】幻の獣王国
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【6話】カーテの裏切り

「ワシらはカーテに騙されたようじゃ…」

アネッサはノブナガの言葉を理解できなかった。


「ど… どういう意味?」


「そのままじゃ。 カーテはワシらを騙し、ティアを奪って逃げたんじゃ」

ノブナガは燃え尽きた薪を、ぼんやりと見ながらつぶやいていた。


「そ… そんな…」

アネッサは膝から崩れ落ち、両手をついて体を支えていた。


「ミツヒデ! ノブナガ!ミツヒデはどうしたの? まさか… 殺された…?」

アネッサは青褪めた顔でノブナガを見ると


「ミツヒデにはカーテを追わせている。 とりあえずワシらも追うぞ。 話しは追いながらじゃ」

ノブナガはゆらりと立ち上がると刀を腰に携え、すでに纏めてあった荷物を担いだ。


「わかった…」

もともと荷物がほとんどないアネッサは、ティアの荷物を手早く纏めると背中に背負う。


「アネッサよ、これだけは言っておく。 安心しろ。ティアは必ず助ける」

ノブナガが鋭い目でアネッサを見る。


「当然よ。 わたしの娘に手を出したカーテは許さない」

アネッサはふと、ノブナガが座っていた場所が目に入った。

「? アレは?」

ノブナガは焚き火近くの石に座っていたが、その石が赤黒く変色していたのだ。アネッサはもう一度ノブナガを注意深く見てみる。

ノブナガの顔色は青白く、動きにキレがない。ふとした時に腹を庇っているように見えた。


「ノブナガ、ちょっと見せてみなさい」

アネッサは半信半疑のままノブナガを呼び止め、着流しを剥ぐとノブナガの腹にはサラシがキツく巻かれ、血が滲んでいた。


「ちょっと! あんた! コレどうしたの!?」


「む、少しばかり腹を()()()だけじゃ」


「はぁ? ()()()()じゃなくて()()()? とにかく見せなさい!」

アネッサは無理矢理サラシを取るとノブナガの脇腹に深い斬り傷があり、サラシを外した途端に血が噴き出す。


「な!! とにかく治療が先!!」

アネッサはノブナガの脇腹に手をかざし呪文を唱える。アネッサの手が淡く光り、ノブナガの傷をみるみる治してしまった。


「お? おぉ! 痛くない! なんとも摩訶不思議な!」

ノブナガの顔色は戻り、腹の傷もキレイに消えて痛みも無くなったようでぴょんぴょん跳ねている。


「あんた、いったい何があったの? どうしてこんなケガをしてるのよ?」


「アネッサよ、とにかく追うぞ。話しは追いながらじゃ!」

急に元気になったノブナガは荷物を軽々と担ぎ、走り出そうとしていた。


「ちょ! もう!ノブナガ! とにかく待って!」


「何じゃ? お主はとろいのぉ。早くせんか!」


「はぁ? あんた、ホント勝手よね… とにかく待って! オオカミを出すから! その方が走るより速いでしょ?」

アネッサはため息混じりに説明する。


「おお! あのオオカミか! なるほど、アレは良い。ほれ、早くオオカミを出さんか!」

ノブナガはポンっと手を叩き、アネッサがオオカミゾンビを出すのを急かせる。


「……ホント、ムカつく」

アネッサはコメカミに青筋を浮かばせながら、オオカミゾンビを2体出現させた。


「アネッサよ、付いてまいれ!」

ノブナガはオオカミゾンビに跨り、カーテを追って走り出した。


「ちょ! あんたホント、ムカつくわね! ノブナガ! カーテがどこに向かってるのかわかってるの?」


「無論じゃ! ミツヒデが目印を残しておる!」

よく見ると街道沿いの草が一定方向に折られていたり、矢印のような跡があった。


「なるほど… それじゃ、行くわよ!」

「うむ! ティアよ!しばしの辛抱じゃ! すぐに助けてやる!」

オオカミゾンビに乗ったノブナガとアネッサは風のような速さで街道を走り出していた。



――――――――


アネッサは街道を並列で走りながら、ノブナガに何があったのか聞いていた。



ワシはミツヒデと夜番をしていた。

何事もなく時間は過ぎ、交代の時間になったんじゃ…


「おはよう。 交代の時間だよ」

カーテは眠い目を擦りながらやってきた。


「ああ、お主、1人で大丈夫なのか?」

ワシの問いにカーテは


「大丈夫、大丈夫。 オレはいつも1人で旅をしてるんだぜ? それにもう少しで朝だ。何にも問題はないさ」

カーテは、ははははと朗らかに笑い焚き火に薪をくべていた。


「そうか。それならば後は任せるとするか」

ワシとミツヒデは夜番をカーテに任せると、寝床についた。


しばらくすると、なにやらボソボソと話す声が聞こえてきたのじゃ。

何を言っているのかは聞き取れなんだが、どうやらカーテは誰かと話しているようじゃった。


ワシは眠ったフリをしながら薄目を開けて様子を見るが、カーテ以外には誰もいる気配は無かった。


(あやつ、いったい誰と話しているのじゃ?)


不審に思いながら様子を伺っていると、カーテは呻き声のような声で何かを呟き出したんじゃ。


(コレは!?)

ワシは思い出した。この呻き声はハーゼ村でアネッサが発していたものと同じじゃと。


見るとカーテはワシらに向かって手を向け、なにやら呪文を唱えていたのじゃ。

その途端、ワシは強烈な眠気に襲われた。少しでも気を緩めると一瞬で意識が刈り取られてしまいそうじゃった。


ワシは手元の脇差を引き寄せ、腹を切ったのじゃ。

その激痛で強烈な眠気は無くなったが、血を流し過ぎて動けなくなってしまった。


そうしているうちに、カーテはティアを縛ると荷台に乗せ馬車を走らせたのじゃ。


「ミツヒデ! ミツヒデ!!」

ワシの声にミツヒデは目を覚ました。


「はっ! わたしとしたことが! 面目次第もござらん!」

ミツヒデは飛び起きると、ワシの元にやってきて頭を下げると同時にワシの腹に気がついた。


「ノブナガさま! まさか陰腹を!?」


「そんな大した事ではない。妖の術から覚める為に切っただけじゃ」


「しかし、その傷では…」

ミツヒデはバックパックからサラシを取り出すと、ワシの腹をキツく縛る。


「それよりミツヒデ、ティアが攫われた。 お主はすぐに追うのじゃ」


「はっ」

ミツヒデは刀を携えると、目を凝らして馬車を確認し走り出し闇の中へ消えていった。



ミツヒデが走り出したのを確認し、ワシはアネッサを起こしミツヒデを追おうと思ったのじゃが、何度声をかけてもお主は起きんかった。


そのうちに立ち上がる気力も無くなってしまい、焚き火の近くに座っていたのじゃ…



アネッサはノブナガの話しを聞き終わると黙り込んでしまった…


(やばい… わたし… 普通に寝てた…)

リッチのアネッサにはスリープの呪文は効果がない。今回のカーテの呪文も無意識にレジストしていた。


だが、300年も自堕落な生活を続けていたアネッサ。

さらに、リッチである事から万が一襲われても死なないという安心感。

そして、昼間の黒大蜘蛛騒動で魔力を消費していた事もあり、アネッサは自宅で寝ているかのように熟睡していたのだ。


若干、引き攣っているアネッサにノブナガが心配して声をかける。

「大丈夫じゃ。 ミツヒデが追っておる。すぐにワシらも追いつけるじゃろう」


(い…言えない… 普通に寝てましたなんて、絶対に言えないわ!)


「ノブナガ!急ぐわよ!」

アネッサは自分の焦りを誤魔化すように、オオカミゾンビのスピードを上げていた。

ティアを助けるために走りだしたノブナガとアネッサ。

先行しているミツヒデと合流しカーテを追跡する。


次回 追跡


ぜひご覧ください… と、いうところですが、いろいろと立て込んでしまい、次回の投稿が少し遅れます。

来週半ばくらいには投稿します!!

少しだけお待ちください!

よろしくお願いします。

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