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Rev.ノブナカ  作者: わたぼうし
【1章】呪われた者達
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【20話】襲撃

ミツヒデから『策』の説明を受けた村人たちは、各々決められた役割を訓練する日が続いていた。


そして、その日は突然やってきた。


早朝、村の入口にはホニードを先頭に15人の屈強な男達が武装して集まっていた。

村人達は『ホニードが来た』とすぐに連絡しあい、入口の両開きの門を挟んで額を地面に擦り付けて震えていた。

ノブナガとミツヒデはそれを家の中から伺い、様子をみていた。


知らせを受けたイルージュが慌てて走ってくると村人たちの前に出て、砦を挟んで地面に額を擦り付け、ガタガタと震えながら対応していた。

「ホニードさま、こんな朝早くに、何か御用でしょうか?」


「ウサギどもー! お前たちがメルギドの町を混乱に落とし入れようとしている事は分かっている! 素直に罪を認め、首を差し出せ!そうすれば楽に殺してやる!」

ホニードは一歩前に出て村の入口から大声で叫んだ。


「ホ… ホニードさま! 私達はそんな事しておりません!! 何かの間違いでございます!」

イルージュは慌てて顔を上げ、反論するが


「では、この杭はなんだ! コレはお前達が我らに歯向かう意思の証拠ではないか! 少し優しい顔をすればすぐにつけあがる!」

ホニードは更に大声で叫ぶ。


いつ『優しい顔』をしたんだよ?

村人達は小声でブツブツと言いながら、ただ頭を下げていた。

そこに様子をみていたノブナガとミツヒデが現れた。


「ホニード、お主、何を言っておる? この村の者がいつお主らに歯向かった? お主に歯向かったのはワシだけじゃ。 そんな事も忘れたのか? やはりお主の頭はニワトリだったか」

ノブナガは、はぁとため息をつきながら頭をポリポリと掻いていた。


「き… 貴様! ノブナガ!」

ホニードは苦虫を潰したような顔でノブナガを睨むと、仲間の方に振り向き叫ぶ。


「コヤツがメルキドの町を混乱に落とし入れようとしている首謀者だ! 必ず殺すのだ!!」


すると、ホニードの両脇で控えていた男2人が

「承知致しました」

と、頭を下げノブナガを睨む。


「あ… あれはユソルベ副団長とバハカイ副団長!」

ティアは体を震わせながら2人を見ていた。


「ふむ、アレが副団長ですか… と、言うことはあの15人で自警団全員… と、いう事ですね」

ミツヒデは腕を組んだまま、自警団を見ていた。


「なるほど、この戦。 我らの勝利ですね」

ミツヒデがニヤリと笑い


「ふむ。 しかし、油断はならん」

ノブナガはキッと自警団を睨んでいた。


「え? そうなの?」

ティアは驚いてミツヒデとノブナガを見ていた。


「はい、やはりヤツらはわたし達を見下しています。相手ははハーゼ村の方達。例え、ノブナガさまという強者が1人増えたところで、自警団の一方的な殺戮でおわる… と、考えているでしょう。 あの武装を見ても明確です。全員が剣を持ち、鎧も動きやすい軽いものです。 自分達が負けるとは、これっぽっちも考えていません」

ミツヒデは人差し指の爪先をピンっと弾きながらティアに説明した。


ノブナガは砦の杭の上に飛び乗り叫んだ。

「ホニード! 我らはメルギドの町を混乱に落とすようなマネはせん。 だが、お主らの獣人に対する所業は目に余るものがある。 お互い矛を納め話し合いをしようではないか」


ホニードは剣先をノブナガに向けて叫ぶ。

「話し合いだと? この犯罪者集団が何を言っている! 全員死刑確定なんだよ!」


「話しにならんな…」

ノブナガが、ふぅとため息をつくと


「皆殺しにしろ!」

ホニードは剣を村に向け叫んだ。


「致し方あるまい。 ミツヒデ、戦じゃ!」

ノブナガは杭から飛び降りると村人の前に立つ。



「みなさん! 訓練した通り落ち着いて行動してください!」

ミツヒデが叫ぶと


「はいっ!!」

村人たちは自分の役目を果たすため、訓練通りに持ち場についた。


まずキーノ達、年配組は盾を準備しチカム達、子供を隠す。

チカム達は盾の裏から、集めてきた石を投げる。

「みなさん、この石は相手に当てる事が目的ではありません。 空から石が降ってくる事でホニード達の足を鈍らせるのです」

子供達はミツヒデに言われた事を思い出し、『当てる』事よりも『足止め』する事を意識して石を投げ続けていた。


盾を自立させたキーノ達も子供達に加わり石を投げる。


「いた!」

「うわっ!」

「ちっ!鬱陶しい!」

自警団は飛んでくる石を払いながら村の門に向かって走っていた。


「長槍隊!構え!!」

ミツヒデが叫ぶと、ティア達若者組は5mの竹槍を構え、杭と杭の間から自警団を狙う。


「突け!!」

自警団が門に近づき、長槍の射程範囲に入ったタイミングでミツヒデが叫ぶ。


「やーー!!」

ティア達、長槍隊の槍は門に集まる自警団に襲いかかり深傷とはいかないものの、自警団を怯ませる効果を発揮した。


「ぬぉぉ!しゃらくさい!」

バハカム副団長は長槍の竹部分を切り飛ばし、突撃を再開する。


「槍隊、構え!!」


ミツヒデの号令が飛ぶと、ティア達『長槍隊』とキーノ達『盾隊』は2mの槍を構えて門に集まる。

門の前には腰高の柵が用意されており、一気に突入出来ないようにしていた。

同時に子供達は村の奥に避難を開始する。


自警団が両開きの門に体当たりすると、片側の門が外れ村の入口が開いた。

「行けーー!」

バハカム副団長の号令により自警団員が突撃を開始した。しかし、片側しか開いていない門からは1人ずつしか入れなかった。

更に、門を潜ると目の前には腰高のバリケードがあり足止めをくらう。


そこへ

「槍隊! 突けーーー!!」

ミツヒデの号令で、一番最初に突入した団員は10本の槍に突き殺されてしまった。


慌てた自警団員は入口で止まり、足踏みをしている。


「そこまでじゃ!!」

不意にノブナガの声が響き、ハーゼ村の村人も自警団員たちも動きを止めてノブナガに注目すると


「ホニード!! この戦、我らの勝利じゃ。 これ以上は無益な殺し合いでしかない。 ここで手を引け。もし、まだ続けると言うなら、後はワシが相手じゃ! お主ら、生きて帰れると思うなよ」


「くっ…」

ホニードが自警団員を見ると、1名死亡。他にも重傷者が複数。対してハーゼ村の村人は全員が無傷。しかも入念な準備もしており、無理に突撃すれば自警団に更なる被害が出るのは目に見えていた。

そして、()()ノブナガ。一度、手合わせしたから分かる尋常でない強さ。

ホニードは少しだけ逡巡し、ノブナガを睨むと


「自警団員、退却しろ!」

ホニードはそう叫び、自警団はハーゼ村から引き上げていった。

ホニード達、自警団との戦いの勝利に沸き上がるハーゼ村。そんな中、ティアだけは違っていた。


次回、勝利


ぜひご覧ください!

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