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Rev.ノブナカ  作者: わたぼうし
【1章】呪われた者達
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【17話】月女と巫女とヒト

誤字を修正しました。

巫女の舞が終わり、村人たちは畑仕事などに戻っていった。


「ティア殿、もう少し教えて頂きたいのですが…」

ミツヒデが声をかけると、ノブナガとミツヒデ、イルージュ、ティアの4人は村長の家に戻り話しの続きをする事になった。


村長の家に戻ると、イルージュはお湯を沸かしお茶を4人分用意してくれた。

ミツヒデは会釈しお茶を受け取ると、一口飲んでから口火をきった。

「まずは巫女さまについて教えて頂きたい」


「巫女さま?」

ティアは思わぬ質問にキョトンとしてミツヒデを見ていた。


「はい。たしかティア殿の話しでは巫女さまがこの村に来たのは300年前でしたね? それからずっとあの姿のまま、この村で舞っているのですか?」


「うん。そうだよね?母さま」

ティアがイルージュを見ると


「はい。わたしの母、祖父母からそう聞いております。 巫女さまは代替わりする事もなく、300年ここで舞続けています」


「巫女さまは、ヒトのようでしたが… ヒトとは300年以上も生きる事ができるのでしょうか?」


「いいえ、普通のヒト種族の寿命は50年〜70年。長生きする者でも100年くらいです。巫女さまはロア・マナフさまの加護を受けておられるそうで、ものすごく長寿なんだそうです」


「なるほど。では、巫女さま以外でロア・マナフさまの加護を受けた者はご存知ですか?」

ミツヒデはイルージュの表情を観察しながら質問を続ける。


「んー。 いいえ、わたしは聞いたことがありませんね…」

イルージュは少しだけ左上見て考えると、ミツヒデの目を見て答えていた。


「あたしも聞いた事ないなぁ…」

ティアも同じ反応をしていた。


「そうですか… では、メルギドの町の自警団について教えてください。 自警団は何人くらいいますか? あとアクロチェア王国騎士団との繋がりはありますか?」


「自警団はホニードを団長として、15人くらいです。ホニードがいつも連れている団員が3名いて、ユソルペ副団長とバハカイ副団長がいて、各々5名の団員を連れています。 自警団は元々流れの傭兵団だったそうで、王国との繋がりはないみたいですね… 昔は戦争の度に、褒賞が多い国についていたそうですが、今はメルギドの自警団しかしていないみたいです」

イルージュが説明すると


「よくわかりました。ありがとうございました。」

ミツヒデはイルージュとティアに丁寧頭を下げ、礼を述べると、ノブナガの方に向き直り

「ノブナガさま、いかが致しましょうか?」

と、ノブナガの考えを待っていた。


「うむ。 まずはホニードを迎え撃つ準備をする。イルージュ、何人か村人を… できれば男衆をお借りしてよいか?」

ノブナガがイルージュを見ると


「ノブナガさま、この村… いえ、月女族(つきめぞく)に男は産まれません。 ですので、わたし達がお手伝いさせて頂きます」


「なに? 男が産まれないじゃと?」


「え? ノブナガは知らないの?」

ティアはキョトンとしてノブナガを見ていた。


「ティア殿、では、どうやって子を産むのですか?」

ミツヒデが真剣な目でティアを見ると、ティアは真っ赤な顔になり「ど… どうやってって…」と、モジモジしながら俯いてしまった。


「ミツヒデさま、まだティアは子供ですから…」

イルージュがクスクスと笑うと、ティアは「もう!」とだけ言って部屋を出て行ってしまった。


「あ… 申し訳ない。不躾な事を聞いてしまいました…」

ミツヒデは頭を下げていると


「いえいえ、あの子が子供過ぎただけです。 わたし達、月女族(つきめぞく)は満月の夜になると誰かが男になるのです。それは誰がなるのか? 何人なるのか? その時にならないと誰も分かりません。 わたし達はその男になった者と交わり子を作るのです」

イルージュは少し控えめな声で説明してくれた。


「ほほぉ。 摩訶不思議な…」

ミツヒデが感心していると


「種族が変われば、いろいろ変わるものじゃ。 誰もが同じではない。だから世は面白いのじゃ」

ノブナガは、はっはっはっはっと高らかに笑っていた。


「さて、イルージュ。女しかいない事はわかった。しかしホニードを迎え撃つ準備はしなくてはならん。ワシとミツヒデだけでは限界もある。 何人か村人を貸してはくれんか?」

ノブナガがもう一度、真剣な顔でイルージュに依頼すると


「もちろんでございます。 わたし達に出来ることがあるなら、なんでもお申し付けください」

イルージュはニコリと笑って快諾した。


「かたじけない。 では、さっそくじゃが、村を囲む砦を作る。 ミツヒデ、村人と共に砦を築くのじゃ」


「はっ!」


「それとイルージュ、村の入口近くに空いている家はあるか?」


「え? あー… あります」


「ならば万が一に備えて、ワシらはその家で寝泊まりしようと思うが、よいか?」


「はい、もちろんです」


この後、イルージュを筆頭に村人全員で砦を築く作業を開始した。




その日の夜。

ノブナガとミツヒデは村の入口近くの家にいた。


ノブナガはお湯を飲みながら、辺りに人影が無いことを確認すると小声で話しだした。

「ミツヒデ、あの巫女、どう思う」


「何かおかしいですね。ロア殿の加護を受けたのが本当だとしても、あまりにも人間離れし過ぎていると感じました」


「お主もか。 うーむ… 直接聞いてみるか…」

ノブナガはすっくと立ち上がり、もう一度辺りに人影がない事を確認すると


「ロア! ロア! 見ているのであろう? 聞きたい事がある。出て参れ!」

ノブナガが空中に向かって叫んでしばらくすると


ノブナガとミツヒデの間の空間がグニャリと歪み、そこから黒いゴスロリのワンピースを着たロア・マナフが出てきた。


「ノブナガさぁん。 ボクはこれでもこの世界では神さまなんだよ? あまり気軽に呼んで欲しくないなぁ」

ロアはブツブツ言いながら、ゴスロリのスカートをふわりと広げてその場に座り、ノブナガ達を見上げていた。

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