表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Rev.ノブナカ  作者: わたぼうし
【3章】ノブナガと王都騎士団
154/171

【64話】アクロチェア国王

「さあ、勝負といこうか」

ラーヴワスはニヤリと笑いながら赤い棍をミナスリートに向けた。


「わたしは王国の剣。あなた方にはここで死んでいただきます」

ミナスリートも大剣をラーヴワスに向け、軽く腰を落とした。


『ギンっ』

次の瞬間、ラーヴワスとミナスリートは武器を交えていた。

ラーヴワスは赤い棍を自在に操り、上下左右から攻撃を繰り出す。

対するミナスリートはラーヴワスの棍を捌きながら、強烈な一撃を放っていた。


「ほお、なかなかやるじゃねぇか」

ラーヴワスは攻撃の手を休める事無く、楽しそうに笑う。


ミナスリートは大剣をまるでロングソードでも扱っているかのように軽々と振り回す。


「ラーヴワス・リナワルス。 あなたが本人だとしても、ニセモノだとしても結局は『極悪人』であることは変わりません。 極悪人は我が剣の前に倒れる運命なのです」

ミナスリートの大剣の威力は絶大だった。

その一撃で玉座の間の壁は破壊され、床は抉れていく。


(さすがに、あの一撃はやべぇな)

ラーヴワスは正面から大剣を受けず、回避するか棍で大剣の剣筋をズラすことで攻撃を躱していた。



その頃、ミツヒデは玉座に座る国王を狙い、一気に距離を詰めようと飛び出していた。

だが、ミツヒデの目の前にはまるで蛇のように鎌首を持ち上げたチェーンが待ち構えていた。

そのチェーンの先には『クナイ』のような刃が付いており、そのクナイがまるで蛇の頭のように見えるのだ。


「こ… ここは通し… ませ… ん」

モニカはチェーンを操りミツヒデの動きを制していた。


「ふむ。 不思議な動きをする鎖ですね。 これも魔法なのでしょうか?」

ミツヒデは刀を正中に構え、モニカとモニカの武器『チェーン』を観察していた。


「わ… わたしは… ロ… ロイヤルナイツ… の… モニカ。あ… あなたを… 倒し… ます」

モニカは小さな声でミツヒデに宣言する。


「わたしはノブナガさまの一の家臣ミツヒデ。 ノブナガさまの命により国王の首を頂きに参りました」

ミツヒデはそう言うとモニカに突進し、モニカの首を狙って振り抜かれた。


『ギャリっ』


チェーンはモニカの首の前で折り重なるように壁を作り、ミツヒデの刀を止めていた。


「これは… 摩訶不思議な鎖です」

「わ… わたしに… こ… 攻撃は… と… 届かない」

「なるほど。ですが、わたしの剣は『雷の剣』。イカヅチよりも早い刀に追いつけますか?」


ミツヒデは一度、後方に飛び間合いを取ると、物凄いスピードで上下左右から攻撃を開始した。

そのスピードは人間の出せるスピードを上回り、常人では目で追うことすら難しいであろう速さだった。


だが、モニカのチェーンはそのスピードに対応し、ことごとくミツヒデの攻撃を防御していた。

それはまるでモニカの意思ではなく、チェーンによる『自動防御』のような動きだった。


ミツヒデはいったん後方に飛び、距離をおく。

(これはなかなか厄介ですね。 恐らく彼女が防御に徹すれば、わたしの刀は届かないでしょう…)


ミツヒデはモニカとの交戦で、そう判断した。

その時、ラーヴワスがミツヒデの横に並びミナスリートとの距離を取る。


「さすがロイヤルナイツだな。 結構やるじゃねぇか」

ラーヴワスが軽口をたたく。


ミナスリートとモニカも並び、武器を構えていた。


「あなたたちの攻撃は、わたし達には届きません。 大人しく降伏してください」

ミナスリートはミツヒデ達に降伏を勧告する。


「ところでミナスリート。お前たちはどうしてここにいるんだ? ここに帰ってくるまで、あと数日かかるはずじゃなかったのか?」

ラーヴワスはずっと疑問だったことを尋ねた。


「リダですね…」

ミナスリートはリダをギロリを睨む。


「そ! そうよ! あんたたちはまだ戦場にいたんじゃないの?」

フレカが叫ぶと、ミナスリートはため息を吐いて答えた。


「確かにわたし達は戦場にいました。 そして、帰還するまで数日かかる予定でした。ですが、それは騎士団全員で帰還する場合です。 わたしとモニカ、そして少数の精鋭達だけなら3日で帰還できるのです。 まぁ、愛馬は潰れてしまいましたが…」

ミナスリートは愛馬との別れを寂しそうに話した。


「でも! どうして? なぜそんなにしてまで、帰還を急いだのよ?」

フレカの問いにモニカが答える。


「そ… そんな… 気が… しただけ」

「はぁ? なんの根拠もなく?」

「えぇ、それだけですよ。 モニカの予感は当たるのです」

「あ… ありえないわ…」

「ですが、現に予感は当たっていたでしょう?」

ミナスリートはニヤリと笑っていた。


「なるほどな。 フレカ、お前はオレたちを騙していなかったのか」

ラーヴワスの言葉にフレカは、ぱぁっと顔を輝かせ振り向いた。


「でしょ! わたしは貴方達を騙してない! わかってくれた?」

「あぁ、よくわかった」

ラーヴワスの答えに、フレカはホッとしたように胸を撫でおろしていた。


「ところでよ、ミナスリートとモニカ。 お前たちが使っている武器は、神から授かったモノではないって知っているか?」

ラーヴワスはニヤニヤしながら尋ねる。

ロイヤルナイツのメンバーは『神から授かった武器』を使っていると信じていた。


ラーヴワスは楽しかったのだ。

ロイヤルナイツのメンバーが真実を知ったときの反応を見ることが。


嬉しそうにミナスリート達の反応を見るラーヴワス。


「そんな言葉で、我々が動揺するとでも?」

だが、ミナスリート達は全く信じてなかった。


「ちっ」

期待外れとなったラーヴワスは、不機嫌そうにミナスリート達を見るだけだった。



その時、玉座から国王が叫んだ。

「リダ! わたしのリダ! どうしてわたしを裏切るのだ!」


フレカは顔をしかめ、不機嫌そうな顔で国王を見ると弓を国王に向けた。

()()()()() キモイのよ! いつわたしがあんたの女になったのよ! ほんと、勘弁してほしいわ…」


「リダ! どうしてだ? どうしてわたしの愛が分からない? お前は特別だった。できれば戦場にも行かせたくなかった。だが、お前は戦場へ行ってしまう。 どれだけわたしが心を痛めたと…」

国王は玉座から立ち上がり、ふらふらとリダの元へ歩き出そうとしていた。


「国王さま!」

ミナスリートが叫び、国王の足を止める。


「アクロチェア国王! あんたのやり方は間違っている! ヒトも獣人も亜人もみんな同じ『人間』なのよ! 昔は『人間』みんなが協力して生きてきたわ。 それが本来の『王国の姿』だったのよ!」


(まぁ、ギルエの受け売りだけどね)

フレカは内心、舌を出しておどけてみせる。


「リダ… お前もギルエと同じ事をいうのか…」

国王はふらふらした足取りで、ドカっと玉座に座った。


「わたしはノブナガさまに付くわ。 さよなら」

フレカはそういった瞬間、国王に向かって弓を放った。


フレカの光の矢は32本に増え、玉座に座る国王に襲い掛かる。


「国王さま!!!」

ミナスリートが叫び、モニカは光の矢を落とそうとチェーンを走らせる。

だがチェーンは間に合わず、光の矢が国王を強襲した。


が、光の矢は国王の前で消えてしまった。


「え?」

フレカは驚き国王を見る。

同じようにミナスリートやモニカ、ラーヴワスやミツヒデも国王を見ていた。


その時、国王を包み込むように青紫の霧が発生した。

やがて青紫の霧は国王に吸い込まれるように消え、そこには白い髭を蓄えた老人が座っていた。

だが、その老人は壮健な顔立ちで、背筋がピンと伸びており若々しく見えた。


その老人を見たラーヴワスは一瞬驚いたが、不敵な笑みを浮かべこう言った。


「よう、久しぶりだな。()()()()()()()()()()


と。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ