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Rev.ノブナカ  作者: わたぼうし
【3章】ノブナガと王都騎士団
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【59話】王宮前での攻防

誤字を修正しました。

王宮前ではノブナガ軍と、王宮を守る騎士団が対峙していた。


騎士団の先頭は白い鎧を装備した男と女がひとりずづ立っていた。

男はその身長ほどある盾を持ち、女は美しく装飾された弓を持っていた。


背後に待機する騎士団は約300人。


一方、ノブナガ軍には1000を超える兵士達がいた。


「ノブナガさま、ロイヤルナイツが二人しかいないようですな」

ミツヒデがノブナガの横に来て話しかけた。


「あの男が『大楯』のリーク・ポケストオで、女が『熾天使』リダ・ニイキルで間違いないじゃろう」


「左様でごさいますな。あとの二人はどうしたのでしょう?」


「王宮の中にいるのか、他国との戦に出陣しておるのか…」


「ここにギルエ殿がいれば、あの二人を懐柔できたやもしれませんが…」

ミツヒデは軽くため息をつく。


「致し方あるまい。あやつはあやつの道を選んだ。それだけの事じゃ」

あの時、燃え盛る王都でノブナガはもう一度ギルエに仲間になれと手を差し出した。

だが、ギルエの答えはNoだった。



「わたしはロイヤルナイツのギルエ。王都の民を守る者だ。確かに王政は間違っていたと思う。わたしが守るべき民は『ヒト』だけではないことも分かっている。そして、ノブナガ。お前の言っていることは正しいと思う… だが!やり方は間違っている! ノブナガ!わたしはお前の『やり方』には賛同できない!」

あの時、ギルエはそう言ってノブナガの手を弾いたのだ。

ノブナガは「致し方あるまい」とだけ言い残し王宮へ軍を進めたのだった。



「いずれにしても、全員揃う前に討つしかあるまい」


「えぇ、今が好機ですな」


「うむ」

二人は言葉を交わし終えるとミツヒデは魔道銃部隊のもとへ、ノブナガはノブナガ軍の中央辺りから少し前へ移動した。


騎士団はノブナガが出てきたのを見ると緊張が走ったように身構え、ノブナガ軍の攻撃に備えていた。


「ワシはノブナガ! メルギドの町、安土城 城主のノブナガじゃ! アクロチェア王国 国王は私欲のため獣人を虐げ、果てはワシの娘キシュリを殺害した! ワシらは国王へ誠意を持った対応を求めたが、その返答は先日のメルギドへの攻撃じゃった! ならば、ワシらは義のチカラを持ってこれに応えるためここに参上した! 国王をここに連れてくるならばよし! そうでなければ、お主らも我らのチカラに相まみえることになるじゃろう!」


すると、大楯を持った男が一歩前に出て答えた。


「わたしはロイヤルナイツ『大楯』リーク・ポケストオ。 我らは王国の剣!王国ため、そして王国民を守るために存在する。 ノブナガ!お前は王都に火を放ち、多くの王国民を殺害した! その罪はお前の死をもって償わせる!」

騎士団はリークを中心に横に並び盾を構える。


リダは盾を持ったリークの騎士団の背後に回り、リダが率いる騎士団を配置した。

これにより先頭は盾を持った重厚騎士団、その背後に騎士剣を主武器とする騎士団。

さらに背後に弓矢を装備した騎士団という鉄壁の守りを誇る陣営となった。

これはリークとリダが誇る最強の布陣だった。


一方、ノブナガ軍は先頭に魔道銃部隊。

その後ろには中央にホニード率いるヒト種族中心の部隊。

右翼にセミコフ率いる獣人部隊、左翼にはラーヴワス率いる魔族部隊。

背後に魔法使い部隊と弓矢部隊という布陣だった。


ノブナガが片手を上げると魔道銃部隊が騎士団に照準を合わせる。


同時にリークが大楯を構えて、大きく息を吸った。


「進め!!!」

「撃て!!!」


リークとノブナガは同時に号令を発した。


『どぱぱぱぱぱぱぱーーーーん!!』

雷のような破裂音が響き、魔道銃が一斉に火を噴いた。


「ぐあぁ!」

「うあぁぁ!」


魔道銃の鉛玉は重厚騎士団の盾を容易に貫通し、騎士たちを倒していく。


『ガギン! キン!』

そんな中、リークの大楯だけは魔道銃の鉛玉を弾いていた。

だが、その弾いた鉛玉は近くの騎士に当たり致命傷を与えていく。


「くっ! これが『魔道銃』か!」

リークは先日のギルエの戦いから情報から重厚騎士団ならば魔道銃に対応できると考えていた。

だが、それは予想を超える威力であり、リークの作戦は初手から崩れ去ってしまった。


これを見て慌てたリダは重厚騎士団の背後までくると、その身を隠しながら叫んだ。


「待って! ノブナガさま!! 待ってください!!!」


ノブナガは手を上げて魔道銃部隊の発砲を止める。

すると、ゆっくりと両手を上げたリダが姿を現した。


「わたし、降参する! わたしも以前から王国のやり方は間違っていると考えていたの!でも、わたしはロイヤルナイツだから逆らえなかっただけなの!! この前、地下牢に投獄されたギルエと話したわ! あなた達のことはギルエから聞いてる。 あなた達が正しいわ。 だから、わたしはノブナガさまに付いていきます! いや、付いていかせてください!!」


リダの必死の叫びに、騎士団はざわめき混乱し始めていた。


「リダ! お前! 王国を裏切るのか!」

リークが叫ぶ。


「わたしはわたしが正しいと思う方の味方よ!」

リダはリークに反論すると、すぐにノブナガの方を向いて叫んだ。


「ノブナガさまが許していただけるなら、わたしとわたしの騎士団は貴方さまの僕となりましょう! どうか! どうかお願いします!」

リダは大きな身振り手振りでノブナガに懇願していた。




「ノブナガさま、いかがなさいますか?」

ミツヒデはノブナガに意見を聞きにやってきた。


「リダか。 ロイヤルナイツという肩書は、今後役に立つじゃろう」


「はい。ですが…」

ミツヒデは怪訝な顔でリダを見ていた。


「あぁ、そうじゃな。 じゃが、あそこまで味方を裏切るとは、逆に清々しいくらいじゃ」

ノブナガはリダを見て笑っていた。


「では」


「うむ。 リダを仲間に付けるとしよう」


「御意」

ミツヒデは魔道銃部隊の前に立つと、リダに向かって叫ぶ。


「リダ殿! そこにいるリーク率いる騎士団を討て。さすればノブナガさまはお主を家臣として迎え入れようぞ!」


ミツヒデの言葉を聞き、慌てたのはリーク率いる重厚騎士団だった。

前方にはノブナガ軍、そして自分たちの背後には騎士剣を構えたリダの騎士団がいる。


重厚騎士団は慌てて背後に盾を向けるが、そうするとノブナガ軍に背中を見せることになる。

悲壮な顔でリークの指示を求めるが、肝心のリークも予想外の展開についていけてなかった。


「リーク、ごめんね。 わたし、死にたくないの」

リダはそう言うと号令を飛ばした。


「熾天使リダの名の下命じます! 騎士団『セラフィム』、ロイヤルナイツ『大楯のリーク』を討ちなさい!」


一瞬、リダ率いる騎士団『セラフィム』はお互いの顔を見合わせて戸惑っていたが、『熾天使リダ』の命令に従い重厚騎士団に背後から斬りかかった。


『うおぉぉぉぉぉ!』


さっきまで仲間だと信じていた騎士が敵となり、リーク率いる重厚騎士団は混乱なか次々と倒されていく。


「リダ!! 貴様!!!」

リークは大楯を構えながら、リダへ突進しシールドバッシュを試みる。

が、リダの前にはリダを守る騎士が集まり混戦状態となっていった。



「『大楯』リークを討ち取れ!」

ノブナガの号令にホニードやセミコフ、ラーヴワスの部隊が突撃を開始した。



リダの裏切りとノブナガの猛攻に、『大楯』リークは討ち死。

王宮前の攻防はノブナガ軍の勝利で終わった。

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