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Rev.ノブナカ  作者: わたぼうし
【3章】ノブナガと王都騎士団
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【17話】クエスト達成?

ちょっといろいろと忙くて、投稿が遅れてしまいました。

これからも頑張りますので、よろしくお願いします。

「長い!!」

ノブナカは酒を一気に飲み干して叫んだ。


「え?」

ラーヴワスは飲みかけていた酒が止まり、目を丸くしてノブナガを見ると、ノブナガは酒を飲んでいた器を乱暴に床に置いて言葉を続けた。


「見ろ! お主の話しが長過ぎてアネッサは寝てしまっておる! まったく、『Rev.ノブナカ』じゃなくなったかと思ってハラハラしたわい…」


ノブナガの横にはネコのように丸まり、気持ちよさそうに眠っているアネッサがいた。


「いや、え? Re… え?」

ラーヴワスの混乱を無視してノブナガは続けた。


「つまり、お主は利用したつもりのヒトに利用されて、洞窟の中に逃げ込んで800年も引き篭もっていた… そうじゃな?」

ノブナガの若干悪意ある要約にラーヴワスは「ゔっ」と言葉を詰まらせ、何かを飲み込むように酒を胃に流し込んだ。


「ラーさま、この話しいつも長イ…」

ゴブリンも苦笑いを浮かべていた。


「仕方ないだろう! 久しぶりに『会話』ができて…嬉しかったんだから…」

ラーヴワスの言葉は尻すぼみしながら、その分、ラーヴワスの頬が膨らんでいた。


「ここにはゴブリンがたくさんいるじゃろ? 『会話』なら出来るじゃろう?」


「お前は解ってないんだ。 コイツらのバカさ加減を…」

ラーヴワスがため息を吐きながらゴブリンを見ると、ゴブリンは「へへ」と笑い返していた。


「…確かに。 コヤツらと少し話したが、『会話』をするには多少の努力が必要かもしれぬな…」

ノブナガは、自称かしこいゴブリンとの会話を思い出し頭を抱えてしまっていた。


ノブナガはひとつため息を吐くと、気を取り直すようにアネッサを揺すり起こした。


「おい、起きろ」


「…んん。 終わった?」

上半身を起こし、まだ閉じようとする目を擦りながらアネッサが目を覚ました。


「まったく。 お主はティア達以外には、いっさい興味を示さぬのぉ」

ノブナガが、はぁとため息を吐きながらアネッサを見ると


「え? ラーヴワス…だっけ? わたしには関係の無い話しだし…」

アネッサは、やはり興味のカケラも無かった。


「か… 関係ない…って…」

ラーヴワスはショックを受け、ガクッと項垂れてしまった。



「それはさておき。 お主、なぜこんな人里近い洞窟に隠れたんじゃ? 逃げるなら、もっと森の奥の方がよかろう?」

ノブナガが素朴な疑問をラーヴワスに投げかけた。


「いや、ここは元々、森の奥にある洞窟だったんだ。最近、地震があって洞窟の奥の壁が崩れたんだよ。 そしたら、この洞窟に繋がっていていたんだ。 こっちの方が食料の調達が容易いから、ゴブリン共は喜んでいたんだが… ヒトの村が近くにあったとは知らなかった」

ラーヴワスは酒を自分の器に注ぎながら答えていた。


「ふむ。 先程も申したが、ワシらはお主らの討伐依頼を受けて来ており、王国はお主らを撫で切れと申しておる。 じゃが、ワシはそれを良しとは考えておらん。 お主らがこの洞窟から居なくなれば、それで問題ないと考えておるが… どうじゃ? この洞窟を出て行く事はできんか?」

ノブナガはクイッと酒を飲み、ラーヴワスの答えを待った。返答しだいでは、今度は殺す気で戦わないといけないのだ。

ノブナガもソレは避けたい事だが、避けれない場合は容赦なく殺すつもりだ。


「そうだな… 次に住む洞窟が見付かれば、すぐにでも出て行く事はできるのだが… なにせ、ゴブリン共の数が多いからなぁ。 なかなかいい洞窟は見つからないだろうな…」

ラーヴワスは腕を組み、付近の地図を思い浮かべながら考えていた。

ラーヴワスが出て行く方向で、前向きに考えている事に安堵しながらノブナガも考えていた。


「うむ。 そうじゃろうな。 じゃが、そうゆっくり考える時間も無いのも事実じゃ」


その時、何かを閃いたようにアネッサが口を開いた。

「ねぇ、私たちが入ってきた洞窟の入口とは別に入口はあるのよね? さっき、地震で洞窟の壁が崩れて、この洞窟と繋がったって言ってたでしょ?」


「あぁ、元々は森の奥にしか入口は無かった」


「だったら、人里近い方の洞窟の入口を塞げばいいじゃない?」


「…ふむ。 それが出来ればいいかもしれんな。 して、どうやって入口を塞ぐのじゃ?」

ノブナガはアゴに手を当てながらアネッサに更問をする。


「たしかに、それなら今までと何も変わらないし、居住空間が広がるが… そう簡単に洞窟の入口なんて塞げないだろう?」

ラーヴワスもアネッサに質問を投げかけ、答えを待っていた。


「え? 貴方達ならなんかこう… どーんってできるんじゃ? さっき洞窟を壊すくらいの勢いで戦ってたじゃない」


「「できるかー!」」

ノブナガとラーヴワスは声を揃えて叫んでいた。


「アネッサ、お主の魔法でなんとかならんのか?」


「わたしは回復系と死霊系しか使えないからねぇ… ムリね」

アネッサは器用に肩をすくめて答えていた。


「ラーよ、お主、なにか良い案はないのか?」


「ええぇ? そんな事言われてもなぁ…」

ラーヴワスは困った顔で、辺りをキョロキョロ見ながら考えていた。


ふと、ノブナガは思い出したようにラーヴワスに話しをふった。


「そういえば、お主が言っていた魔法の武器の『赤い棍』とやらはどこにあるのじゃ? もしかして、ワシが壊したアレか?」

ノブナガはラーヴワスとの戦いで破壊した『棍』がそうだったのか?と考えていたのだ。

もし、そうだとしてもノブナガが気にする必要は無いし、武器なのだから壊れる事だってある。

ノブナガはただ、その『魔法の武器』というモノに興味があり、『魔法の武器』なら洞窟の入口を塞げるのではないか?と考えたのだ。


「ん? 今もちゃんと髪をまとめるのに使っているぞ?」

ラーヴワスはそう言いながらボサボサの赤い髪の中に手を突っ込むと、小さな赤い棒を取り出した。

その途端、ラーヴワスの赤い髪はバサっと広がった。

それはまるで『鳥の巣』のようだった頭が、『怪鳥の巣』にレベルアップしたような広がり方だった。


「お主…… すごい頭じゃな……」

ノブナガは言葉を失い、流石のアネッサも目を見開いてラーヴワスの頭を見ていた。


「まぁ、800年も切ってないからなぁ…」

ラーヴワスは広がった髪の毛をモサモサと触りながら、苦笑いしていた。


「まぁ、よい。ソレが『魔法の武器』か… それで洞窟の入口を壊す事はできんか?」


「いやぁ、それはムリだな。この棍は伸びたり縮んだり、太くなったり細くなったりするが、それ以外はただの壊れにくい『棍』だからな」

ラーヴワスは棍を通常サイズ(先程、ノブナガに破壊された棍と同じくらいの大きさ)にしながら説明した。


「そうなのね… 貴方達でも洞窟の入口は塞げないのね…」

アネッサが残念そうにしていると、ノブナガは少し考えて口を開いた。



「のう、ラーよ。 お主、ワシと天下を取らんか?」


突然のノブナガの言葉にラーヴワスは反応できず、キョトンとしたままノブナガを見つめ返していた。


「ワシは、お主の棍捌きを買っておる。 ワシは今、国を作り天下布武を成す為、仲間を集めておるのじゃ。 どうじゃ? お主、ワシと天下取りをせんか?」

固まったままのラーヴワスにノブナガは、もう一度、ラーヴワスを勧誘した。


「天下… だと?」


「あぁ、そうじゃ。 天下じゃ」


「…本気か?」

ラーヴワスは真剣な目になり、ノブナガを睨むように見ていた。


「無論じゃ」

ノブナガは腕を組み、ニヤリと笑う。


「…オレは、いつも誰かに利用され、追われてしまった。 思い返せば、あのロアさまに出会った時でさえ、オレはロアさまに利用されただけなのでは?と、考えてしまうくらいだ… オレを頼ってくれた仲間たちを守る事もできず… 今は、ゴブリンの巣の中に隠れているだけの女だ… そんなオレが、お前と天下を取れるというのか? それとも、お前もオレを利用しようとしているだけなのか?」

ラーヴワスはもう自分も他人を信じられずにいたのだ。


「うむ。 ワシはお主を利用するつもりはない。共に戦い、共に笑い、共に生きる。 ワシは同じ志を持つ仲間と共に戦いたいのじゃ」

ノブナガはおもむろに立ち上がると、まるで中空に誰かの顔があるかのように見つめていた。


「かつてワシにはたくさんの仲間がいた。 いや、仲間などと軽い言葉では言い表せん… そうじゃな、戦友(とも)がいた。 訳あって、いまはミツヒデだけとなったがの。 ワシはの、この世界に来て、またかつての戦友(とも)と呼べるような仲間を作りたいのじゃ」

そう言うと、ノフナガはラーヴワスに手を差し出した。


「お主、ワシの戦友(とも)となれ」

ノブナガはニコっと笑った。

その笑顔には裏も表もなく、純粋に友に向ける笑顔だった。


「ノブナガ…」

ラーヴワスは少しだけ沈黙すると、ニコっと笑いノブナガの手を握り返した。


「わかった。 ノブナガ、お前の天下取り、オレにも手伝わせてくれ」


「よし! ラー… いや、ラーヴワス。 お主はワシの戦友(とも)じゃ」


「ああ、よろしくな!」

ノブナガとラーヴワスは硬く握手を交わし、アネッサとゴブリンはただただそれを見ているだけだった。



「ならば、ラーヴワスよ。お主はこの洞窟を出て、メルギドへ向かうのじゃ。 そこにいるミツヒデを訪ねるがよい」


「わかった。だが、ゴブリン共はどうする? 連れて行くと問題があるのではないか? メルギドの町なんだろ? ヒトが住む村が近いだけで、オレたちは殺されそうになっていたんだから、町だともっと大騒ぎになるだろう?」

ラーヴワスの心配は当たり前の事だった。

ゴブリン達をこの洞窟に置いていくと、遅かれ早かれ皆殺しとなるだろう。

ラーヴワスにとってゴブリン達は仲間でもあるため、それは避けたかったのだ。


「そうじゃな。 メルギドの近くにも森はある。そこにゴブリン達を住まわせておけ。 ワシがメルギドに帰ってから町の者達に説明してやろう」


「わかった。 頼む」


ラーヴワスとノブナガはそう約束を交わすと、深夜、ラーヴワスはゴブリンを連れてメルギドへ向かう事になった。



「さて、今回のクエスト、ゴブリンの掃討は完了したな。 これで金は入るし、ラーヴワスという仲間も増えたことじゃし、なかなかよいクエストじゃったな」


「そうね。 お金貰ったら、月女族(むすめたち)にお土産買わなきゃ」


依頼主である村にゴブリン掃討の報告をしたノブナガとアネッサは、ニコニコしながら王都へ戻って行った。

クエストを達成し、意気揚々と冒険者ギルドに向かうノブナガたち。

ノブナガは、ギルドでクエスト完了を報告するが…



次回 金貨の重み


ぜひご覧ください。

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