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第1話 こんにちは、異世界

テンションがまだ持続していた。

異世界逃亡生活1日目


目が覚めるとそこは、森だった。日が明けてない分薄暗く、少し不気味な雰囲気ではあったが、リンがいってた程のハードモードではなくて良かったと思う。



「うーんと…… おお、レンとしての記憶がある……あんまり思い出せてないけど…… なんというか不思議な感覚だな」


レン・アルベルトは雨雲 蓮である俺が乗り移ったこっちの世界の住人である。歳は10歳とかなりの若返りをしたが、体力・筋力共に雨雲 蓮時代のものより上であることが実感出来る。


「アクティブなタイプじゃなかったしな…… っと、なんだあれは?」


辺りを見回していると、崩壊している馬車のようなものを発見した。……なんか赤黒くなってるのは気にしたくないな。


近づいてみると、赤黒かった理由が俺の予想通りだったことが分かった。どうやらこの馬車は何者かに襲われたのだろう。血が乾いていることや、【敵意感知】が発動してないあたり、襲撃者達はもう既にこの辺りからは遠ざかっているのだろう。


「うぅ…… 異世界の洗礼だな。見たくないけど慣れないと……」


そう言いながら馬車の残骸の1部をどかすと、潰れたトマトのような男性の姿がこんにちわしてきた。


……あっ、無理だ気持ち悪い。


俺はその場で吐いてしまった。

申し訳ない。なーむ。


少し気分がスッキリした所で、何か使えるものがないか物色開始。


あ、ナイフ持ってるじゃんこの人、ラッキー。

正直刃物もなしじゃ生き残れないよね。

お、縄もある。僥倖僥倖。


「んー、というか、なんでこの人は馬車を使ってたんだろ? 1人しか乗ってないし…… 魔物にも見つかりやすいだろうしなぁ? 」


などと呑気に思っていたら、アラームがけたたましく鳴り響いた。【敵意感知】が作動したのだろう。ご丁寧に目の前にはMAPのようなものが表示され、赤い駒が北側から俺の方に向かって近づいているのが示されている。


「やばいやばいやばい! こんなにすぐに逃げる羽目になるとは……!」


俺は一目散に赤い駒が来た逆方向へと走り出そうとした……が、赤い駒はもう既に、MAPの中央に表示されている俺の元に辿りつこうとしていた。


「うっっそ速すぎだろ!? えーと、えーと…… あっ、【隠蔽】!」


咄嗟に【隠蔽】を使い、近くの木の影に潜む。

近くの木の影に潜むのに使ったのは、まぁ念の為である。


俺が【隠蔽】を使ってから5秒もしないうちに1メートル越えの大きい狼が馬車の残骸へと到着し、男の死骸を咥えると、また北側へと走り去っていった。【隠蔽】は1分しかもたないので、走り去っていってくれたのは嬉しい。


見たところ、あの馬車を襲ったのはあの狼で、食い忘れを食べに来たらしい。あと数秒遅れてたとしたら……

うう、考えたくもない。


それに、あの狼を見たら嫌ーな記憶を思い出した。

雨雲 蓮としての記憶ではなく、レン・アルベルトとしての記憶である。記憶によると、あの狼、馬車を襲ったのは間違いないのだが、その馬車に乗っていたのはどうやらレン・アルベルトだったっぽい。つまりは、俺が乗り移る前のレン・アルベルトはあの狼に殺されたという訳だ。


さらに腹立たしいのは、さっき狼に連れてかれた男は奴隷商人らしく、レン・アルベルトの両親はあの男に殺され、俺はあの馬車に監禁されて商品にされる所だったらしい。……狼、グッジョブ。


しかし、奴隷商人という職業が成り立つってことは、どこかに人間の村や国があるのかもしれない。もしくは、他種族の国に売られる予定だったのかな?




さて、とりあえずどうしたものか。

現状、足りてないのが大きく3つある。


1つ目が水と食糧。森の中に何かしらの食べ物はあるだろうが、どれが安全なのかが分からないのが困りどころ。

ラノベでよくある鑑定スキルなんかがあれば良かったんだけど、ないものねだりはしてもしょうがない。

水は川なんかがあれば嬉しいんだけど……

これも探索してみないと分からないなぁ


2つ目が拠点。仮でもいいから落ち着ける場所がないと、生きていける気がしない。ずっと気を張ってるのも無理だし、寝ている所をお陀仏されるかもしれんからな……


3つ目が知識。ここがどこで、どこに行けば安全なのかが分からない。社会常識レベルの知識はリンが教えてくれたが、地理やモンスターに関する知識は皆無である。

唯一勝てる可能性があるモンスターである、子ゴブリンがどんなのかも分からん。……さっきの狼が子ゴブリンじゃないことだけは分かるけど。


「うーん、とりあえずは水かな? 熱中症で倒れてしま……」


アラームがまたもけたたましく鳴り響き、【敵意感知】が作動する。表示されるMAPには西側から赤い駒が5つ接近していることが読み取れる。狼ほどのスピードで接近していない事が幸いだろう。


「くっそ!」


俺は赤い駒の逆方向へと走りだした。

集団に襲われたら死ぬことは確定する。


「もうちょっとモンスターがいない場所に転移させてくれりゃいいのに……! ……いや、レン・アルベルトが殺された場所に転移するんだから、モンスターが多くて当然か……!」


脇目も振らずに走っていると、またもアラームが鳴る。

MAPには赤い駒が3つ、新たに表示されている。

恐らく、移動したことで【敵意感知】の範囲内に入ったのだろう。赤い駒を避けるため、南方向へルートを変えた。




10分ほど走ると、アラームが止み、表示されていたMAPも消えた。【敵意感知】の範囲内には敵がいないのだろう。俺は木陰にへたりこんで、息を整える。全力疾走だなんて高校生の体育以来だ。

しかし、思ったほど疲れていないし、全力疾走のスピードも雨雲 蓮の時より速かった。レン・アルベルトとしての体は、やはり雨雲 連の体よりも余程性能がいいようだ。


「あー疲れた! これじゃ水どころじゃない! 拠点だ! 拠点探しが第1目標!」


……っというわけで、拠点探しである。

理想としては人間の村を見つける事だが、恐らく現実的ではないだろう。となると、洞窟かかなりの大きさの木の(うろ)かな?




4時間ほど探索してみると、3回くらい洞窟を発見したが、近付くと【敵意感知】がビンビンに反応していたので拠点には出来なかった。探索中も、【敵意感知】が作動しては逃げ、作動しては逃げの繰り返しで思ったよりも時間がかかる。


途中、岩から染み出ている水を見つけて舐めるようにして飲んだが、なんかちょっとお腹痛い。あーいうのって、ろ過しないとダメなんだっけ……?


襲い来る腹痛と戦いながら、【敵意感知】が反応しない洞窟を見つけられたのは、さらに1時間が経った頃であった。


見つけた洞窟の入口の大きさは縦2メートル、幅3メートル程で、奥行は10メートルほどの洞窟である。壁伝いに奥まで歩いても【敵意感知】が作動しないので、この洞窟には敵がいないんだろう。完璧である。


洞窟の奥の方は光が届かず真っ暗なので、明かりを手に入れるまでは洞窟の入口近くで生活することにした。

外に近い分、敵に見つかりやすくはなるが、俺は【敵意感知】があるので何とかなるだろう。


そんな事よりもやばいのは腹痛である。明らかに探索中に飲んだ水が良くなかった。言い訳になるが、ろ過しないといけないのは何となく分かってたんだが、いざ目の前に水があると分かった瞬間岩肌ごと舐めてましたもの。人は欲望に抗えないものですよ?


というか、トイレがないよトイレが! どうしよ、そろそろ限界である。穴でも掘るか? いや今からじゃ間に合わないよな……?

あぁぁまずいまずいまずいまずい!!

限界いいいいいい!!!





ちくしょう、異世界転移甘くないわ。


まだやる気が持続している。

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