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幸せな勇者  作者: テトペン
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エピローグ:幸せな勇者

 長く、苦しく、辛い、そんな戦いだった。


 俺の目の前には魔王ギルジアナ・トニックが倒れている。

 もはや指先一つ動かせないで有ろう魔王は、全てをあきらめた顔で、俺に体を開いていた。


 俺は、魔王の胸に手を伸ばすとそのまま魔王の体を貫き、その心臓を引きずり出した。


 抜き出した魔王の心臓を俺の魔力で包み込み、保存する。

 これで、王女様に渡すまで保管できるだろう。


 こうして、俺の魔王討伐は終わった。



 ~3日後、バルトニック王国王都~


 その日、王都は熱狂の渦の中にあった。

 勇者の魔王討伐を祝う祭典が開かれ、都のあちらこちらの通路で、屋台の呼び込みの声が響いており、

 大声を出さないと近くの人間とも会話ができないほどの賑わいを見せていた。


 だが、その通路を超える賑わいを見せる場所があった。

 王城前の広場である。

 広間のあまりの熱狂ぶりは、集まった人の熱と汗で王城の周囲にだけ雲が出来るほどだった。


「これより、勇者リオと王女リーナの婚姻式及び、王女リーナの解呪式を執り行う」


 広場に大神官の声が響くと同時に騒がしかった広場は静寂に包まれた。


「新郎、リオ」


 人込み割れ、1本の道が出来る。

 リオはゆっくりとその道を大神官の元へ歩んで行き、大神官の元へで、片膝をつき最愛の人の登場を待つ。


「新婦、リーナ姫」


 王城の門が開かれ、そこから花嫁以上に身を包んだリーナが侍女に手を引かれ現れた。

 リーナはそのまま手を引かれながら大神官の元へたどり着くと、片膝をついているリオの前へと立った。


「新郎リオ、新婦リーナ姫に解呪式を」


 大神官に促されたリオは、懐から魔王の心臓を取り出すと、それを両手で持ちリーナへささげるように掲げた。


「転換解呪」


 リオがそうつぶやくと同時に魔王の心臓は光の粉となりリーナへと吸い込まれていく。

 光の粉を吸収するたび、リーナの土色の顔に赤みが帯びてゆく。

 全ての粉を吸収した時には、リーナの肌の色は常人のそれと変わらなくなっていた。

 大神官はそれを確認するように小さく頷くと、声を張り上げた。


「づづいて、婚姻式を執り行う。両名とも、魔力をこちらへ」


 大神官が取り出した天秤の形をした魔道具にリオとリーナが魔力を注いでいく。

 注ぎ終わった後の天秤は最初と変わらず釣り合っており、それは二人がお互いに嘘偽りのない愛を抱いていることを表してた。


「両名の愛はここに示されました。互いに愛し合う二人は誓いの儀をもって夫婦になります。

 それでは、誓いの儀を」


 リオは、大神官の言葉を待ってましたとばかりに、立ち上り、ゆっくりとリーナへ顔を近づけていく。


 こうして、この日勇者リオとリーナ姫は結ばれた。


 その後の勇者は美しい妻と沢山の子どもたちと共に平和になったこの世界で永遠に幸せに暮らしました。


 終











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