第四話〜騒動〜
新年明けましておめでとうございます
今年も宜しくお願いします!え?とっくに新年迎えたって?
フッ、気にすんな!!
「ふぅ〜、やっとひと段落だな」
無事でなによりだな。怪我人も出てないし、平和が一番だ
「だがまだ筆記試験があるからな。油断は出来ないぞ?」
次は筆記か……面倒くせー。
「皐月は書くのきらいー」
「皐月ちゃんは苦手そうやね。澪はんは寧ろ得意そうやけど」
「確かに筆記は得意ですが……そう言う宗はどうなんです?」
「わいはまぁまぁやね」
「苦手ではないと……こっちは一夜漬けだぞ……」
イケメンはなんでもありってのか。世の中は実に不公平だ……。
「琥太郎、一夜漬けは頭に入りませんよ?」
「あぁ、澪の言う通りだ」
「せやね」
「そうだぞー!」
「ん」
「おい、後半の二人は明らかにおかしいだろ」
「むぅ〜」
「得意」
「皐月は当然として、麗奈って勉強得意なのか?」
「ん」
「意外やわ」
人は見た目じゃわからんもんだな。宗とか特に
「びっくりだよー!レイレイって勉強できるの!?」
「レイレイ?」
「レイレイの渾名だよ!」
「ん♪」
気に行ったようだ
「皐月、麗奈に失礼ですよ。事実でも言っていい事と言ってはいけない時があるものですよ」
「……」
「澪はナチュラルに抉ってくるな……」
「あぁ、今めっちゃ自然だった」
「え!? 何か失礼な事を言ってしまったでしょうか?」
「しかも自覚が無いと……」
「タチが悪いな」
「一体何を言ったんですか私は!?」
「いや、気にするな。それはそれで澪のいいところだ」
「正直で真っ直ぐと物事を口に出来る者は中々いないからな」
「なんなんや……この茶番劇」
そんな事を話していた時。
「う……ん……」
麗奈が頭を押さえて、呻き出した。
「麗奈? 大丈夫か?」
「少し頭痛がするだけよ」
「大丈夫やないやろ、それ」
「そうだぞ、長引くかもしれない」
「何処かでお休みになられた方がよろしいのでは?」
「レイレイ大丈夫?」
「おい、本当にやs──」
休んだ方がいいんじゃないか?と言おうとした時。
不意に後ろから大きな衝撃と轟音、そして大勢の悲鳴が聞こえた。
大勢の人間が学園へと流れ込んでくる。
「ッ!? なんだ!?」
「街でなんかあったんか!?」
そして、試験会場に避難してきた一般人いわく、
「ま、魔物! が、ドカーンって、崩れて! みんな逃げてきて・・・助けてくれ!」
とのことだそうだ。なんのこっちゃ。
澪「取り敢えず落ち着きましょう。深呼吸をしてみましょう。吸ってー、吐いてー、吸ってー、吐いてー」
「すー、はー、すー、はー」
「落ち着きましたか?」
「は、はい! ありがとうございます。あ、あの! ま、魔物が街に出て、それで、学園なら安全だろうと思って……」
魔物が街に? そんな馬鹿な。普段Dゲートは開拓団が監視、及び管理してるんじゃなかったか? もし開拓団さえ知り得ないDゲートが街中に開いたなら開拓団の信用を失いかねない大問題だぞ
「話しは聞かせて貰ったぞ」
「「教官!?(お母さん?)」」
「お母さんと呼ぶなっ」がつん
「痛い」
「は? え? お母さん? ご姉妹ではなくて?」
「そんな事はどうでもいい!!」
「す、すいません!」
「教官、私達はこれからどうすれば良いでしょうか?」
「今討伐隊が編成されている、もうじき討伐が開始されるだろう。お前達には避難誘導を手伝ってもらう」
「なんで街中にDゲートが開いたんですか?」
「それは現在調査中だ。いずれ発表があるだろう。さて、そろそろ行くぞ」
「ほかの受験生はどないするんですか?」
「さっきから見かけていないが・・・」
「もういっちゃったのかなー?」
「他の受験生は全員逃げた」
「「・・・え?」」
え? 何、じゃあただ単に逃げ遅れただけって事か?マジかよ。
「ボサッとするな! 行くぞ!」
「「あ、はい」」
忙しくなりそうだな・・・。
◇◇◇◇◇
街は騒然としていた。
逃げ惑う人々、
倒壊する建物、
燃え上がる炎。
「酷いな・・・」
「こりゃ予想以上やで・・・」
「怖いよ・・・」
「これは・・・」
「・・・」
「被害が予想より拡大しているな・・・」
その光景は俺にとある記憶を強く呼び起こした。
◇◇◇◇
「お母さん! お母さん! ねぇ、死なないでよ! ねぇ!」
「ごめんね、琥太郎、一緒に、居てあげ、られなく、て。あな、た、琥太、郎を、守っ、てあげてーー」
「……わかった。絶対に守り抜く。だからせめて安らかに眠ってくれ……京子」
◇◇◇◇◇
「ッ!!」
一瞬顔を歪める。くそッ、こんな時に思い出すなんてな……克服したと思ってたんだがな。
「大丈夫?」
どうやら見られていたらしい。
「っ、あぁ、大丈夫だ」
「本当に大丈夫ですか? とても辛そうに見えましたけど?」
「さやで、無理はしない方がええで」
どうやら心配してくれてるようだ。
「本当に何でもない、それよりもう頭痛はいいのか? 麗奈」
「ん、もう収まった」
「ならいいが・・・」
このままはぐらかすとしよう。
「ならば行くぞ、やるべき事は山程ある。それと琥太郎」
「あ、はい」
「無理はするなよ、足手まといになったら被害が拡大する」
「何もそこまで言わなくてもいいのでは?」
「コタ兄頑張ってるよ?」
コタ兄? 誰だそれ?
「コタ兄とは誰だ?」
「んー?コタ兄はね!琥太郎の渾名だよ!」
「あぁ、そ、そうか」
また付けたのか渾名。これなら全員分ありそうだな。よし、このまま誤魔化そう。
「教官、急ぎましょう」
「あぁ、そうだな」
◇◇◇◇◇
「助けてくれぇ!」
「うわぁぁぁぁぁぁあ!!」
すっげぇ人の数だな………町中の人間が集まってんじゃね?
「お前達、早速避難誘導をしてもらう。避難地は学園。中央通りを真っ直ぐ進ませてくれ。絶対に単独行動はするなよ? 今暴れてる魔物は試験で闘ったAIとはわけが違う。生身の人間はまず太刀打ち出来ないだろう。いいか? 絶対に単独行動だけはするなよ? ……死ぬぞ。」
「「!!」」
思わず息を飲む。今までとは纏う覇気が違う。一瞬で弛んでいた空気が引き締まる。
「いいな? 絶対に死ぬなよ」
「「はい!」」
◇◇◇◇◇
そして、避難誘導が始まった。
「落ち着いて下さい! ゆっくり、ゆっくりと進んで下さい!」
「おちついてー、大丈夫! 直ぐに倒してくれるからね!」
「早く動けよ!」ドカッ
「ちと落ち着きぃな。お兄さんや、そないかっかしたら進むもんも進まへんで?」
◇◇◇◇◇
「本当に大丈夫なんですか?」
「大丈夫だ、今は落ち着いて避難することだけを考えろ」
「は、はい////」
◇◇◇◇◇
みんな上手く誘導出来ているようだな。麗奈は……。
「ねぇ、本当に大丈夫なんですかっ!? 私達はたすかるんですか!?」
「ん、大丈夫」
「本当ですね!?責任とれるんですか!?」
「……」
「どうなんですか!?」
「こ、琥太郎……」ウルウル
何やってんだ・・・仕方ない助け舟を出すか。
「只今討伐隊が編成され、討伐に向かっています」
「どちら様で?」
「彼女と同じ受験生です。開拓団の団員の指示により避難誘導をしています。ですのでこちらの誘導に従って頂けないでしょうか?」
有無を言わせぬよう、少し威圧する。
「っ、わ、わかったわよ。従うわよ……少しイライラしてたみたい、ごめんなさい」
「いえ、分かって頂けたならば」
「琥太郎」
「ん?どうした?」
「ありがとう」ニコッ
「っ!あ、あぁ///」
何度見ても、顔が熱くなるなぁ……。
麗奈の笑顔に見惚れていると。
「お母さぁぁぁぁん!!」
女の子の泣き声が聞こえてきた。
声のする方へ行くと、小学四年生位の女の子が一人で泣いていた。
「どうしたの?お母さんとはぐれちゃったの?」
「ひぐっ・・・うっ、うん・・・」
「どうされました?」
「どないしたん?」
「迷子か?」
女の子の声を聞き付け、皆が集まってきた。
「あぁ、母親とはぐれたらしい」
「ねぇねぇ、お名前はなんて言うのかな?皐月はね?皐月って言うんだよ?」
「こはる・・・」
「こはるちゃんって言うの?かわいいなまえだね!よろしく、こはるちゃん♪」
「うん!」
「凄いな、皐月。麗奈も見習ってほしいな。」
「むむむ」
コミュ力が無い麗奈は皐月の手腕に唸りをあげる。
「こはるちゃん、私は澪と言います。よろしくおねがいしますね?」
「うん!」
「わいは宗って言うんや。気軽に呼んでな、こはるちゃん」
「わかったしゅうおにいちゃん!」
「も、もう一回言ってくれへんか?」
「?いいよ!しゅうおにいちゃん!」
「ありがとうな。よし、お兄ちゃんがんばるでぇ」
「マサヤダ。ヨロシク」
雅也は子どもが苦手なのな。ロボットみたいに片言で喋る雅也は受ける。
「まさやこわい」
「・・・」
強く生きろ、雅也。
「俺は琥太郎だ。よろしくな、こはるちゃん」
「うん!」
「麗奈」
「?」
「今のは麗奈だ、無口だけど悪いやつじゃないから仲良くしてやってくれ」
「わかった!よろしくねれいなおねぇちゃん!」
「ん」
「さて、自己紹介も終わったことだし、早速こはるちゃんの母親を探すか」
一体どこに行ったんだ?
これからも頑張っていきますので生暖かい目で見守っていただけると幸いです
あ、忘れるところだった
次回もお読み頂けると幸いです