第九話~超新生体~
これにて、魔物発生事件は終了~
誤字、脱字などの指摘、大募集です!!
其れでは、どうぞ!
一体の龍がそこにいた。
その龍から放たれる圧倒的な圧力──"龍圧"
一部の龍種のみが放つ事ができる選別の力。強者と弱者とを選別する試練、それが龍圧。
???「ハハッ、まさか学生の俺らが龍の、それも超新生体の"龍圧"を受ける事になるなんてな。……笑えねぇ冗談だ」
そう言って話しかけて来る彼──ドミニク=大石──ドミニクが笑う。
私「声が震えてるわよ」
ドミニク「お前もな」
私「うるさいわよ」
しょうがないでしょ……こんな濃密な殺気の篭った龍圧を受けて震えない方が異常よ。
龍が殺意の篭った目を私達に向ける。
龍「jtjptjtatajmjataja!!」
次の瞬間、龍が咆哮を上げる。
たったそれだけ、特別な事をした訳では無い。しかし、それだけでビルの窓が割れ、体も踏み止まらなければ容易に飛ばされそうになる。
私「ただの咆哮でこれ!? こんなの、色素が込められていたら一たまりもないわよ!?」
ドミニク「んな事は分かってんだよ! 震えてたって仕方ねぇだろが! 耐えるって決めただろ! こっからは自分を信じる事だ、一瞬のでも集中を切らしたら死ぬぞ!」
私「分かってるわよ! そんな事ぐらい……分かってるわよ……」
震えは相変わらず止まらない。だけど、止めるしかない。ここからは0,1秒の迷いが生死を分ける極限の領域。
私は、信じる。自分が生きて帰る事を。
私「ごめん、もういいわ」
ドミニク「よし! ……行くぞ!!」
私・ドミニク「「フィジカルブースト!!」」
色彩闘術・初級"身体強化"
肉体に色素を纏わせ強度や能力を引き上げる。強制的に引き上げる為、慣れていない者や長時間の使用により肉体へ負荷が掛かる。
ドミニク「いつもの戦法だ、行くぞ!!」
私「了解! "炎の兵隊蟻"!!」
一体あたり数センチの蟻型の炎が何千何万もの大群で龍に襲い掛かる。
龍「……!!」
カッ、と龍が目を見開いた途端、兵隊蟻がすべて吹き飛ばされた。
私「嘘でしょ……」
兵隊蟻は私の中でもかなりの威力と拘束力があるはずなのに……。
ドミニク「リラッ! 拘束に専念しろ!」
私「なら、これで、どう!かの者を縛り、封じ、戒めよ!
"煉獄の獄牢"!!」
はじき飛ばされた兵隊蟻達が形を失いより紅く、より黒い煉獄の鎖となり龍を縛り上げ、煉獄の杭が龍を地に打ち付ける。
龍「mjmgjdjmjm、kmtmtmjm……!」
やった! 今のうちに決着付けないと……。
私「今よッ!!」
ドミニク「あぁ!! 任せろ!! "色彩闘術:強撃"!!」
色彩闘術
色素を現象に変換する色彩術と違い、対象に直接色素を纏わせることにより、様々な効果を与える。今回の"強撃"は武器に付与することにより、攻撃力を引き上げる。
"強撃"と"フィジカルブースト"の合わせ技。ドミニクが最も得意とする技だ。これなら行けるはず!!
ドミニク「オオォォォォォ!!」
ガギギギィィィィィ!!
何て硬さなの……。ドミニクのあの一撃をまともに喰らってるのに何で火花が出るのよ!!
ドミニク「まだぁまだぁ!!!! ……はぁ!!!!」
スパァァァァァァァン!!
やった!! あの龍に一撃入れる事が出来た!よし、このまま押しきればッ……
ドミニク「もう一丁ッ!!」
再び強撃を使って攻撃を仕掛けるドミニク。
あ!拘束が解けそうになってる、不味い!!
私「気を付けて!! 拘束が破れかかってる!!」
ドミニク「なッ!……上等じゃァァァァ!!!!」
龍「tmpdgjpapgmtapag!!!!」
血走った目をギラつかせて拘束を破った龍はドミニクに向けて尻尾を振る。
凄まじい速度で振るわれる尻尾とドミニクの大戦斧が激突し、アッサリとドミニクが吹き飛ばされる。
一瞬で十数メートル先のビルへ激突しビルが倒壊する。
ドミニク「ッ!! ……ゲホッ、ゴホッ……」
血を吐きながら倒れるドミニク。
私「ドミニク!!」
私はドミニクを抱き上げる
私「ねぇ! ドミニク、大丈夫!?」
ドミニクの返事は無い。
私「嘘でしょ……ドミニク! ねぇ、お願い返事をしてちょうだい!……ドミニク!! ねえ、お願いよ、ドミニク……」
私は何度もドミニクに呼びかける、されども返事は無く……。
どうしてこうなってしまったのだろう? 私はただドミニクと一緒に居たかった。ドミニクと一緒に戦って、笑ったり泣いたりしたかった。ドミニクの傍に居たかった、だだそれだけなのに。
私はドミニクの笑顔が好きだった。なにも考えてない様で、だけど人を思う優しさがあって。そんなドミニクの暖かい笑顔を見るのが好きだった。
私「私は……私はっ!! まだ、何も、何も伝えてないのに……言いたいこと、いっぱあるのにっ……ッ!!」
私は涙で顔をぐちゃぐちゃにしながら何度も詠唱を繰り返す。
「"ヒール"ヒール"ヒール"ヒール"ヒール"ヒール"
ヒール"ヒール"ヒール"ヒール"ヒール"ヒール"ヒール"・・・」
色彩魔術中級:ヒール
身体的外傷を癒すカラー・マジック。効果は止血や、身体の外側の傷を再生させる。込める色素の量によっては、体内の傷や、血液、更には欠損部位までもが、理論上は再生可能。
私「"ヒール"ヒール"ヒール"ヒール"ヒール"ヒール"ヒール"ヒール"ヒール"ヒール"ヒール"ヒール"ヒール"!!」
何度ヒールをかけ続けただろう、体内の色素が2割程になったその時。
ドミニク「……リ、ラ?」
私「ドミニク!?」
思わず私はドミニクに抱き締めた。よかった!!まだ、生きてた!!本当に、よかった……。
ドミニク「うぅッ……」
私「ご、ごめんなさいっ///」
ドミニク「ハハッ、すまねぇ、しくじっちまった……」
私「ううん、いいの、いいのそんな事。今はっ、貴方が生きていてくれて、本当に、良かった……」
ドミニク「大袈裟だなぁ……グフッ!」
私「ドミニク!!」
ドミニク「大丈夫、だ、少し噎せただけだ」
私「無理しないで! 応急処置しか出来てないの、だから、無理はしないで、お願い……」
ドミニク「どうしたんだよ、急に? 変、だぞ?」
私「だって、ドミニクが死んじゃうと思ったら、私、私……うぅっ……」
ドミニク「そうか……心配してくれたんだな、ありがとよ、リラ」
私「当たり前じゃない! ……だって、私は、貴方の事が……///」
勇気を出して言葉を紡ごうとしたその時。
龍「dpmtntjtgmtamtj……」
私・ドミニク「「ッ!!」」
何だってこんな時に!!
ドミニクはもう動けない。私はもうすぐ色素が切れる。──色素が切れるとカラーマジックが使えなくなる。
フッ、これが万事休すってやつなのかしらね。でも、ドミニクだけは守る。例え、この命に変えても。
私「絶対に渡さない……あんたなんかに渡してたまるかァァァァァ!!!! "灼炎地獄"!!」
私の残りの全色素を使って行使したカラー・マジック。
対象を中心に半径五メートル結界で覆いその中を焼き尽くす超高火力カラーマジック。この範囲なら龍だけを狙える!!
私「喰らえぇぇぇぇぇぇ!!!!」
龍「mtjpjtagjgjgatmjmgtjp!?!?」
轟く爆音、煌めく閃光。
激しい衝撃が私を襲う。
私「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、これなら……」
倒せたかもしれない。
そう思ったその時。
龍「pmtpagjpjt……」
そこには所々に火傷が出来、鱗も少し焦げていたが、殆ど無傷の龍が佇んでいた。
私「う……そ……」
その場に私は座り込む。
あぁ、駄目だった、ドミニク。ごめんね、守れなくて。こんな私だけど貴方に会えて本当に幸せだった。
でも、やっぱり怖いよぉ、ドミニク。だから、せめて最後くらい一緒に居てもいいよね。
私「愛してます。ドミニク」
龍が前足を上げ振りかぶり、おろす。
全てを諦め、目を瞑る。さぁ、やって頂戴。
グシャ
鋭い何かが肉を切り裂く音がした。私を切り裂いた音だろうか?不思議なことに感覚はない。
もう死んだのだろうか?そんなことを考えていた私に届いたのは……。
龍「papatdgjtjpmpjpatng!?!?!?!?!?」
龍の叫び声だった。
私「えっ・・・・?」
思わず目を開けた私の目に飛び込んできたのは、私に向けて振りかぶっていた腕を失った龍と右手が血で真っ赤に染まった男性だった。
近くに切断されたであろう龍の腕が落ちていた。
まさか、あの龍の腕を切断したの? それも素手で。一体何者なの? 助けなの?
???「よく耐えた。ここからは此方が引き継ぐ。スー」
すると、"スー"と呼ばれた女性が出てきた。"聖女様"そんな言葉が似合いそうな慈愛に満ちた笑顔をしている。
スー?「はいはーい、了解しました。神の祝福を」
身体の痛みが引いていく。これは、全快複させたの?それほどの高等な術を一言で?彼女は一体……? そんな事より!!
私「私はどうでもいいんです! ドミニクを! ドミニクを助けてください!!」
スー「大丈夫です。すでに処置は済ませてあります」
私「そう、ですか……」
どうやらドミニクは大丈夫らしい。そうか、助かったんだ。
ドミニクが助かった安心感か、助けが来た事による安堵か、私の意識はそこで途絶えた。
目を覚ますと、私は見知らぬベッドの上だった。
私「此処は……何処?」
確か私は龍と闘っていて……ううん、頭がくらくらする。どうしてこんなところに居るのだろう?それに、此処は何処かで見たことがあるような?
私が何が起きたか分からず戸惑っていると。
看護婦?「!! リラさん! 目が覚めたんですね!?
私「あ、あの、此処は……」
私は此処は何処か聞こうとしたが、
看護婦「今先生を呼んできますので!」
そう言うと、看護婦の人は何処へと、走り去っていった。
私「何処ですか……って行っちゃった」
多分私の担当医を呼びに行ったのだろう。まぁ、その時にでも聞けばいいか。取り合えず、此処は病院。それは分かった、だけど何処の病院かは分からない。見覚えはあるんだけど。それに一部の病院だと、開拓団の経費から治療費が降りないって聞いた事がある。
う~ん、何処だろう?あの、看護婦さんは私の事を知ってるみたいだし、私が行った事があるって事よね? う~ん?
あぁ、思い出した。此処は開拓団本部の治療院のベッドだ。前に一度だけ身体検査の為に来た事がある。あの看護婦さんはその時の担当の看護婦の人だった気がする。それで私の事を覚えていたのか。納得納得。
◇◇◇◇◇
???「さてと、仕事を済ませるとしようか」
龍「jpmtmjmadta」
???「ん? さっきまでの威勢はどうしたんだ?」
龍「pjpjpmpatg!!」
龍はブレスを放とうとした、さっきまでのお遊びとは違う。本気の一撃を。しかし、それは叶わなかった。
何故なら、男の手が、龍の"核"を正確に貫いていたから。
龍「pmgmgm、amgpm……」
崩れ落ちる龍、そしてすぐに光の粒子に変わっていく。
???「終わったな、帰るぞ」
スー「はい」
こうして市街地魔物発生事件は幕を閉じた。
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