この世界の話
すんません、ちょっと、いやかなり長いと思います。
いやぁ、疲れた。^_^;
「んぁっ、はぁ……んんんっ!!」
「んちゅっ、んんっ、んはぁ……りなぁっ、んちぅゅ……」
やばい……止まらない。何やってんだろ僕ら。
体は溺れきってるのに、異常なほど頭は冴えていて、冷静だった。
それでも躰は目の前の甘い唇に夢中で、吸い付いていく。
だめだ、終わらないと……。
…………あと、少しだけ、もうちょっとだけ。
あぁ……ヤバイ、どうしようも無い程
僕らはお互いに依存している。
そんなキスの真っ最中、甘い空気を無機質なノックの音がぶち壊す。
ちっ、邪魔しやがって。
そんな内心を隠しながら、僕と莉奈は、急いで乱れた衣服を元に戻した。
「失礼します。この世界の詳しい説明を行いますので、此方に。案内いたします。」
あぁ、そういやあんまし説明無かったな、と思いながら僕は莉奈の手を引いてメイドさんの所へ向かった。
コツコツと、メイドの靴が石畳の廊下を歩く音が響く。
僕と莉奈は一言も喋らず、ついて行った。
「此方になります。」
と、メイドさんが、一つの扉の前に止まった。
その横に何か見知らぬ字が書いてあった。
なのに何故か読める。どういうことだろうと不思議に思いながら扉をくぐった。
あ、ちなみに〖会議室〗でした。
扉の中は大きめの部屋で、何て言うかな…あっ、あれだ、なんか教室みたいな感じ。
机は長机で木を切り出したって、感じのやつだけど。
ちなみに、黒板があった、すげえ。
もう中には日向と玉城がいて、こっちを見ながらニヤニヤしてた。日向後で昨日の分も殴ってやる、と決めながら玉城達の隣に座った。
こんな感じで。
黒板
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莉奈 僕 玉城 日向
黒板の前に、見知らぬ長身の男性が立って話し始めた。
「んんっ、こほん、まず自己紹介から行こう!
私の名前は アルト・レインズ よろしくね!
ちなみに仕事は賢者の助手をやってます!君たちにこの世界の事と、魔法を教えます!アルト先生とか呼んでくれても良いぞ!」
ニカッと、人好きの良いだろうと思われる笑みを見せながら僕らに話しかける。
まず、日向が、
「魔法っ!きたぁぁぁあ!!」
うるせぇなマジで、興奮すんのは分かるけど……。
「日向うるさい。まず自己紹介からでしょ。」
さすが玉城、ナイスだ!日向は玉城に注意されてめっちゃ落ち込んでるし。どんまい。
「くくっ、きみ面白いね、ヒュウガくん?だっけ?」
「はい!日向 怜央です!レオってよんでください!ヒュウガって呼びにくいと思うんで!」
あー、確かにちょっとイントネーション違ったからな。
「私は玉城 早苗。サナエって呼んでちょうだい」
「うんうん!レオにサナエね!分かったよ!」
お、僕か。
「僕は西条 一夜。イチヤって呼んでくれ。アルト先生」
「私は真白 莉奈。リナとマシロどっちでも大丈夫です。」
するとアルト先生は
「ふおぉぉ!アルト先生って呼ばれたっ!おっけ!イチヤとマシロね!」
なんかめっちゃ喜んでるし、何がそんなに嬉しいんだ??
「いやー、先生とか呼ばれたこと無くってさぁ、嬉しかったんだよ!夢が一つ叶ったよ!それじゃ、説明始めてくね!あ、質問は後にしてねっ!」
「「「「はーい、アルト先生ぇー」」」」
アルト先生はさっきの陽気な雰囲気を無くし、キリッとした真剣な雰囲気となって話し始めた。
「じゃ、まずこの世界のことから。この世界は一つの大陸から出来ていて、とてつもなく広い。歩いて大陸の端から端まで歩くんだったら一生かかっても無理な位に。で、この国は大陸の南にあるメルカト平原に中心、つまり王都があって、そっから北に二千キロ南に千二百キロ東に八百キロ西に千百キロもの広大な領土を持つ王国なんだ。まあ、これでも大陸の約一割にも満たない程度なんだけどね。」
はあっ!?広すぎだろ!?それで一割にも満たないって!?
と、驚きながら、この世界は円形なのか、古いヨーロッパの考えの、世界の果ては奈落であるってやつなのか、考えながらアルト先生の話を聞く。
「で、大陸の中心には世界樹があるんだ。まあ、そこにはエルフが住んでいて、容易には手出し出来ないんだけどね、ってあ!!重大なことはなしてなかったよ……。この世界に住んでいる種族は全部で五種居るんだけど、そのうち一種は他四種共通の敵なんだ、分かち合う事なんて絶対無理な奴ら『魔族』だよ。奴ら魔族と私達4種族は過去七度大規模な争いを繰り広げて居るんだ。それでやっとの事で草一つ生えない北の端まで追い詰めたんだけど、あと一歩の所で次代の魔王が誕生してね。一旦引きざるを得なかったんだよ。で、三年前、その魔王を筆頭に第八度目の魔族からの侵攻が起きた。第八魔災って、私達は呼んでる。で、4種族ってのが、
人族、まあ私や、君たちがこれだね。で、
獣人族、人の見た目に獣の特徴を持つ種族で、先祖は魔獣と人族のハーフと言われているね。先祖の魔獣毎に長を中心としてまとまって暮らしているよ、長は先祖の力を色濃く受け継いだ先祖還りと呼ばれる者が代々長を引き継いでいるんだ。
そしてエルフ、長命種で約三百年は生きると言われ、長命故にゆったりとした暮らしを好んで、自然を愛している一方、長く生きた戦士達がいる種族なんだ。長い年月をかけて磨いた伝統的な弓術と、巧みな剣術、そして魔法。特に魔法に関しては右に出る種族はいないとされる程にね。しかし滅多に世界樹の麓にある森からの出てこなくてね、人族の国にいるエルフは少ないんじゃないかな?ちなみにエルフは民主制をしていて、王族はお飾りみたいなものなんだ。でも王族はみな恐ろしい魔法力と魔力を持つ最強の戦士でもあるんだ。
で最後、竜人族。竜人族は遥か昔、とある人族の国のお姫様と、知性ある古き竜の間に生まれた種族と言われていて此方も長命種で二百年程生きると言われているよ。その姿は竜の尾と翼を持ち、強大な力を持つんだ、それと恐ろしい技もあってね、魔力を竜の波動に変換して放つ『竜の息吹』と言うのがあるんだ、その威力は強者となれば山一つ吹き飛ばす程の威力を持つと言われているよ。」
アルト先生は一旦話すのを辞めて
「話しすぎちゃったね、ちょっと休憩しようか!
僕も疲れちゃったから、そうだなぁ、二十分程休憩ねっ!それじゃっ!」
と、出て行ってしまった。
えぇ……質問したかったのに……。と残念に思いながらも、ありがたい…と思っていた僕達だった。