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2話「魔王になる日」


 彼の家は、絵に描いたようなエリート一家であった。


 病院の理事長を務める父親と、弁護士事務所の所長である母親、そして医大に入学が決まり、父親の後を継ぐことが決まっている兄。誰もが羨む、勝ち組一家。


 ただ一人、青年をのぞいて。


 他の子供よりも少し頭はよかった。けれど、それは両親が望むほどではなかった。


 子供ながらに、両親を失望させたくなかったのだろう。彼は必死に期待に備えるために努力をした。ひたすら勉強し、友人とも遊びには行かず、机にしがみついて文字と公式と睨めあった。


 彼のそんな努力も、両親は一つも評価はしなかった。ただ、当たり前と言いうだけだった。それでも、青年は努力し続けた。親の望む中学に入り、親の望む高校に入った。


 そこが、彼の限界だった。


 高度すぎる授業についていくのが必死で、成績は下から数えた法が早かった。それでも必死に努力した、勉強を続けた。親の期待に応えようと必死だった。


 周りは彼を嘲笑した。誰もが羨むエリート一家出身ということへの妬みと、落ちこぼれに対する優越感が入り交じったドロドロとした感情が、彼にぶつけられたのだ。


 今思うと、あれはイジメというものだったのかもしれない。ただ、あの頃の彼にはそう思える余裕もなかった。周りの嘲笑に耐えて、親の期待に潰されそうになりながらも、彼は必死に努力し続けた。


 けれど、


「お前には、失望した」


 父親は、そんな彼を一言で切り捨てた。彼の努力を、何一つ評価せずに、彼は父親から捨てられたのだ。


 彼の中の何かが壊れた。


 その日を境に、彼は部屋から出ることはなくなった。閉じこもり、外の世界を拒絶した。……否、彼から言わせてもらえば、”外の世界が彼を拒絶したのだ”。


 両親はなにも言わなかった。というよりも、気にもとめなかった。自分たち家族にとって恥である彼が表に出なくなるのは、むしろ好都合だったのだろう。死なない程度の食事を置くだけで、後はなにも干渉しなかった。


 彼も、外の世界になにも求めなかった。ただ一日中、置かれたパソコンをつけて意味もなくネットサーフィンを続けた。そこに、何かを求めることもなく。


 一つのオンラインゲームに出会った。


 戦極大戦。プレイヤーは一人の大名となって、資源や兵士を集めて、他のプレイヤーと戦うオンライン対戦型シュミレーションゲームだ。自由度の高いシステムが人気のゲームだった。


 彼がそのゲームにのめり込んだのは偶然か、必然か。これまでの勉強で培ってきた知識と、巧妙な駆け引きで確実に領地を増やし、同盟を広げていく。気づけば彼はゲームの中では名前の知らない者はいない存在へと変わっていく。


 それが、ランキング1位、HN「oda_nobunaga6738」。彼のネット上での名前である。




 屋敷の外で、彼はため息をこぼした。どうしてこうなってしまったのかがわからない。だが、自分が織田信長としてこの世界に呼ばれてしまったということだけはわかる。


「どうすればいいんだよ」


 言ったところで、誰かが返してくれるわけでもなかった。それでも、言わずにはいられない。


 空を見上げる。気づけばもう夜になっており、憎らしいまでに星たちが美しく輝いている。まるで、彼の心とは正反対だ。


「ずいぶんと暗い顔をしているじゃないか、オダ」


 不意に声をかけられて驚く。顔を向ければ、先ほどマオの後ろに控えていた二人の男のうちの一人だ。燃えるような赤い髪が、獅子のたてがみのように逆巻いている独特の髪型だ。整った顔は控えめに言っても大した美形だ。その瞳にはぎらぎらとした炎のような煌めきが灯っている。


「貴方は……?」


 髪型こそ獅子を思わせるが、彼は青年と同じ場所に人間の耳がついている。少なくとも、コボルトとは違う種族に見える。


「俺はは君と一緒で、この世界に呼ばれた側の人間さ」


 赤い髪の男の言葉に、青年は目を見開いた。まさか、自分以外にも召還された人間がいるとは思ってもいなかった。


「失敬、名乗るのが遅れたな。俺の名前はモードレッド。誇り高き円卓の騎士の一人だ」


 先ほどよりもさらなる大きな驚きだった。


「モードレッドってアーサー王伝説の……?」

「お、我が王の話はニホンという国にも伝わっているのか。それは誇らしいな」


 恐る恐る聞いた青年の言葉に、モードレッドと名乗った男はまるで子供のような無邪気な笑みを浮かべる。


 アーサー王伝説。


 日本でもよく知られているこの物語。その終盤にモードレッドという名前はでてくる。アーサー王が近親相姦したことで生まれた子供。予言により親から引き離されながらも、立派な騎士に育ち円卓の一人になった男。


 そして、アーサー王に反逆し、相打ちにとなり伝説を終わらせた。


 多くの創作物でも彼の名前は登場するが、それは決まって”悪”としてであり、倒すべき敵と描かれることが多く、中には邪悪な存在として扱われることもある。

 だが、目の前の青年は騎士として誇りを感じさせながらも、どこか子供っぽさが見え隠れする、そんな親しみを感じさせる空気を纏っている。


「その顔を見るに、君は俺の結末を知っているようだね」


 青年の表情から何かを察したようにモードレッドは言った。何かを言おうと思うも、何を言えばいいのかわからずにしどろもどろになる。


「気にしなくていい。どう言い繕っても俺が王を裏切ったことは代わりがない真実だ」


 先ほどまでの明るい表情が嘘のように、寂しそうに笑う。どこか痛々しさを感じさせる姿に、青年はそれ以上のことが聞けなかった。

 重くなった空気を吹き飛ばすかのように、モードレッドは明るい声を出す。


「そういえば、さっきの席で俺の隣に座っていた大柄の男性がいただろう?」


 顔をきらきらさせながら言った言葉に、青年は頷く。


「彼も私たちと同じく召還された一人なのさ。名前はたしか……リョフ、といったかな?」

「呂布!?」


 新しい名前に、今度は素っ頓狂な声を上げてしまう。


「なんだ、リョフのことも知っているのか。物知りだな、オダは」


 呂布。


 日本人が古くから愛されている中国の三大演技の一つ、三国志に登場する武将の一人だ。登場する人物の中でも、最強と名高い人物である。


 先ほどから聞く名前のあまりの有名さに、どうして自分なんかが呼ばれたのかとよけいに疑問に感じてしまう。


「オダが来てくれて助かったよ。リョフの奴は必要最低限しかしゃべらなくて、退屈してたんだ」


 親しげに話しかけてくるモードレッド。彼に、思わず疑問を口にする。


「モードレッド、さんは、どうするんですか?」

「俺は、彼らのために戦うよ」


 彼は当然のように即答した。


「俺がこの世界にやってきたのは、我が王との戦いの後だった。我が王との戦いの傷は深くてね、瀕死の状態だった」


 だが、彼は幸いにも村の近くで発見されたらしい。すぐにかつぎ込まれて、村人たちによる必死の治療が進められた。


「おかげで俺は命を繋ぎ、ここにいる。命を救われた恩を俺は返さなければならない」


 どこまでも、まっすぐな瞳だった。欧州人特有の青い瞳は、澄んだ水のように透き通っていながらも、彼の心の中で燃えている熱い決意の意志を淀みなく伝えてくる。

 思わず、視線をはずしてしまう。


「呂布さんは?」

「彼はわからないな。マオさんの説明を聞いても「そうか」の一言で終わったし」


 困ったように頭をかくモードレッド。どうやら、呂布は一筋縄ではいかない存在らしい。


「オダはどうするんだ?」

「僕は……」


 言葉に詰まる。なんて言えばいいというのか。自分は織田信長ではなくて、現実から目を背けて引きこもっている男だ。


 自分が誰かの期待に応えられるなんて、思えなかった。


「どうして、迷うのよ!」


 強い怒りの籠もった声が響く。驚いて顔を向けてみれば、リサが怒りの形相でこちらを睨んでいる。


「じいじ……じゃなくて、長老の話を聞いたんでしょう。それなのに、どうして悩みのよ!」


 足音が響かせて、彼女は青年に詰め寄った。強い怒りのまなざしが彼を捕らえている。青年は、この瞳にどうしても苦手意識を持ってしまう。


「貴方のことはいろんな書物で見た。ニホンという国の一つの時代を生み出した偉大な人物だって」


 ぶつかりそうなほどに顔が近い。普通の人ならば嬉しいのかもしれないが、彼にとっては辛い。ましてや、相手の顔に浮かんでいるのは怒りだ。


「だったら、なんで!」

「リサ、やっぱりここにいたのか!」


 第三者の声に、リサの肩が驚きで跳ねる。顔を向ければ、そこには先ほど青年を案内した人物、タケルが腕組みをし、こちらに厳しい顔つきを向けながら立っていた。


「兄さん、でも……」

「いい加減しろ! 我々に協力するしないの選択はノブナガにある!」


 兄の厳しい叱咤に、リサは一瞬だけ青年を見つめる。すぐに悔しそうに唇をかみしめて、逃げように走ってその場を去っていった。タケルは何か声をかけようとするも、口を開く前に彼女の姿は見えなくなっていた。


「すいません、妹が失礼しました」


 深々と頭を下げるタケルに、青年は思わず首を振って答える。こちらの煮えきらない態度が彼女を苛立たせたこともあり、責める気はない。


「妹を許してやってください。あいつは、その……帝国に両親を殺されているから」


 青年の口から小さな驚きが声となって漏れた。タケルの顔も、辛い思い出を引き出しているのか苦痛にゆがんでいる。無理もない、リサの両親と言うことは、彼の両親でもあるはずだ。


「殺されたのか?」


 モードレッドの言葉に、タケルは小さく頷いた。


「まだ、俺が7歳で、リサが5歳の時でした。帝国が課した量の小麦を納めることができなかった私の両親はリサの目の前で殺されたのです」


 タケルの拳がギリ、と音を立てる。彼も気づかないうちに、力がこもっているのだろう。


「俺は畑で作業をしていて、知らせを聞いて急いで帰ったのですが、もうすでに両親は殺されていました」


 脳裏に浮かぶのは、動かなくなった両親にしがみつきながら泣きじゃくる妹の姿。そして、何もできなかった自分の無力感と、帝国への怒り。


 だが、それをすべて心の中に押し込める。


「あいつは、この村の中でも最も帝国を憎んでいる。だからこそ、ノブナガたちに希望を見ていたんだと、思います」


 言葉が、重い。胃がキリキリと痛む。


 自分という存在にかけられた期待が余りにも大きすぎて、とてもじゃないが背負いきれる気がしない。ましてや、自分なんかが答えられるわけがない。


「もし、もしも……」


 それは、純粋な疑問だった。あるいは、救いを求めていたのかもしれない。


「もしも、僕が拒否したら、どうするんですか?」


 きっと、誰よりも情けない顔をしているのがわかる。逃げ場所を探して、彼は淡い期待を抱いたのだ。必要ないと、そう言われたくて。

 青年の問いかけに、タケルは少し考え込んでから、答える。


「そうですね、それでもきっと、戦うと思います」


 あっけらかんと、それが当然のように彼は言った。けれど、その目はどこまでも澄んでいて、言葉に嘘がないことを証明していた。


「どう、して?」


 戸惑いながら訪ねた言葉に、タケルは笑みを崩さないまま、答える。


「俺たちは未来がほしい」


 澄んだ瞳が、まっすぐに青年を見つめている。


「俺たちコボルトは、誇り高き森の民だ。森の中で生きて、森の中で死ぬのが俺たち民族だ」


 瞳に映っているのは、どれほど虐げられても失うことのない強い誇りという名前の輝き。


「だけど、それで死んでしまったら……」


 青年の言葉を、タケルは首を横に降って否定する。


「誇りを失うまま生きるのは死んでいると同じだ」


 頭を鈍器で殴られたかのような衝撃が、走った。迷いのない瞳が彼の決意を証明している。


 彼と自分は違う。


 絶望の中で足掻こうとしている彼と、絶望の中で外を拒絶してしまった自分と。


 彼の持っている輝きが、あまりにも眩しくて、綺麗すぎて、直視できない。


「ノブナガ、様はゆっくり考えてお答えを出してください」

「……よく言うよ。異世界に連れてきておいて」


 僅かな抵抗を皮肉に対して、そうですねと青年は困ったように笑った。その笑顔までも綺麗で、余計に劣等感が刺激される。青年は奥歯をギリ、と音がなるほど強く噛みしめた。


「タケル、大変だ!」


 沈黙した彼らの元に、タケルとは違う男が血相を変えて飛び込んでくる。彼のあわてように、タケルは眉を潜める。


「どうした、マモル?」

「帝国が、帝国の奴らが来たんだよ!」


 彼の言葉を聞いて、同じように表情が一変する。


「嘘だろ、だってまだ小麦の納税もまだ先じゃないか!」

「そんなこと俺もわかってるよ、けど来ちまったんだよ!」


 苦渋の表情をタケルは浮かべる。


「ノブナガ様、モードレッド様は隠れててください。今は、皆さんの存在を帝国に知られるわけにはいかないんです」

「大丈夫なのか?」


 厳しい表情でそういったタケルに、モードレッドが訪ねる。彼の言葉に、無理矢理作ったような顔で答える。


「大丈夫にするしかない、ですよ」




 村に住んでいるコボルドの住民は中央の広場に集められていた。長老であるマオを中心に円形の形になるように集まっており、それを軽装の鎧を着た男たちが合計で7名、囲んでいる。


「久しぶりだな、村長マオ」

「お久しぶりでございます、ギルベルト様」


 マオの前に立っているのは痩身の男性だ。痩せた顔は頬骨が目立ち、細長い目はヘビのようで、眉間に皺を寄せている顔は神経質そうなイメージを受ける。来ている鎧も周りよりは豪奢で重武装だ。だが、それは機能性と言うよりは見た目を重視しているようにも見える。


「しかし、どうして今日はこちらに? まだ、小麦の回収には早い時期かと思われますが」


 マオは膝と両手を地面に着き、視線は地面に落として頭を垂れている。彼以外のコボルトたちも同じようにしている。


「どうして、か。あいかわず貴様はしらばっくれるのが巧いな」

「なんのことでしょうか?」


 ギルベルトの言葉に対して、いっさいの淀みもなく答える。その姿を、青年とモードレッド、呂布の三人は近くの民家から隠れて見ている。


「先日、帝国の魔法省が大規模な魔法をコボルト領で関知したと報告があった。コボルトで魔法使えるのはマオ、貴様ぐらいだろう」


 ヘビのような細い目がさらに細くなる。疑っている、というよりはもう決めつけていると言った方が正しそうだ。


「マオ、私はこれでも貴様を評価しているんだ。貴様は賢い、無駄な犠牲を出さないために従属を是とした」


 カツカツと、鎧を鳴らしながら彼は円形に歩く。その姿が、余計に神経質そうに思わせる。


「人間に逆らい、死んでいった愚かな狗どもとは違う。貴様のそういったところは私は評価していたんだ……だというのに貴様はっ!」


 腰につけていた剣を引き抜き、顔の真横に振り下ろす。小さな悲鳴が住民からこぼれた。それでも、マオの表情は一切変わらない。


「何の魔法を使った? 人間以外の種族が魔法を使うことを固く禁じられているのを、貴様が知らないはずもあるまい」


 言外で貴様がやったのだろう、と彼は告げていた。だが、それでもマオは、


「なんのことでしょうか、私にはわかりませぬ」


 顔色一つ変えずに平然と偽りを口にした。その声には震えも、淀みもなく。むしろ清々しいほどまでにまっすぐな響きだった。


「……そうか、残念だよ」


 ギルベルトは村人を囲んでいる兵士の一人に目配せをする。指示を受けた兵士は頷くと、手に持っていた槍を振り上げ、


 近くにいたコボルトの胸を突き刺した。


 ドス、という鈍い音とともに、槍先は胸を貫通する。刺された本人は突然のことで状況が飲み込めぬまま、地面に倒れた。それと同時に、悲鳴が上がる。


「なにを、なさいますか!」

「マオ、私を失望させないでくれ」


 いきなりの惨劇に思わず立ち上がりそうになったマオを、剣が制する。その先では、冷徹な瞳が見下ろしていた。


「私は領主様よりこの村を消すことも許されている。この意味が、わかるだろ?」


 彼の望む答えを言わなければ、すべて滅ぼす。全く感情を感じさせない冷たい言葉で、ギルベツトはそう宣告した。


(な、なんで……!)


 目の前で起こっている惨劇を、青年は間近で見ていた。胸を貫かれた男性は静にかに動きを止め、息を引き取ろうとしている。


(言え、言うべきだ!)


 真実を話さなければ、罪のなき人々が殺されてしまう。


 それでも、


「何のことか、わかりませぬ……!」


 音がするほど拳を握りしめ、血が出るほど歯を食いしばり、それでもマオは否定した。彼の姿を、青年は驚きで見つめる。


「あの男……」

「ああ、覚悟を決めてる」


 呂布の言葉に、モードレッドが答える。


「覚悟?」

「ああ、例えなにを犠牲にしてでも、俺たちのことを隠すつもりだ」

「そんなっ!」


 思わず声を上げそうになった青年の口を、モードレッドは素早く押さえた。彼らのやりとりをしている間も、状況はさらに悪化していく。


「あくまでも、シラを切るつもりなのだな?」


 マオは是も非もしない。ただ、それだけが最後に出来る抵抗だと言うかのように。


「それが、貴様の返答か」


 感情を感じさせない冷たい言葉で、ギルベルトは言うと、コボルトたちを囲んでいる兵士の一人へと視線を向ける。


「アダルベルト、そこのガキを殺せ」


 彼が指さしたのは、先ほど殺された男性にしがみつきながら泣いている幼い男の子である。


「こ、この子供をですか?」

「二度も同じことを言わせるな。殺せ」


 兵士の中に残っていた良心が働いたのか、そう聞き返すも、ギルベルトは冷酷に言い放った。一瞬の逡巡を見せるも、覚悟を決めて近づいていく。

 対して、子供は恐怖に顔をゆがませながらも、父親とおぼしき男性の遺体から離れようとしない。それとも、恐怖で足が竦んで動けないのか。


「そんな目で、みるなよ」


 恐怖と絶望の入り交じった瞳で見つめられて、兵士は少し躊躇う。だが、それでも指示には逆らわない程度に彼は立派な軍人だった。槍を構えて、穂先を子供の胸にあわせる。


 誰もが、少年の悲劇的な結末を予想した。


「やめろっ!」


 小さな風鳴り音が響くと、兵士のくぐもった声と同時に槍が音を立てて地面に落ちた。みてみれば、兵士の腕には矢が深々と突き刺さっている。

 矢を放った人物の動きは早かった。矢を受けてひるんだ兵士に一瞬で近づくと頭を両手でつかみ、そのまま全身の力を込めた膝を顔面に叩きつける。

 悲鳴を上げることもできずに、気を失い倒れていく兵士を最後まで確認せずに、矢を放った張本人、リサは振り返った。


「お前等は……お前等は人をなんだと思ってるのよ!」


 怒りにつき動かされるままに、矢をギルベルトに向けて構える。周りの兵士たちが瞬時に彼女に向けて槍を構える。


「お前は、いつも私に反抗的な目を向けていた女か」

「許さない、お前たちはいつも人の命をムシケラみたいに!」


 灼熱のように怒りで燃えているリサの瞳を受けながらも、まるで気にしてないかのようにギルベルトは嘆息する。


「お前のような狗がまだ存在するとはな。頭が痛くなるよ」

「狗と私たちを呼ぶな!」

「そうやって吠えるから狗なんだよ貴様は」


 彼の目が、リサをとらえる。それだけで、冷たいものが背筋を通る。


 ギルベルトの目には、なにもなかった。

 怒り、苛立ち、侮蔑、そんな言葉に出来るような感情は何一つなく、虚無にも感じられる瞳があるだけだった。リサはようやく理解する。


 彼はコボルトをムシケラとすら思っていなかった。


「お前のしていることは全てが無意味だ。ここで私に逆らったところで、なにが変えられるのかね?」


 冷徹に、ギルベルトは告げる。


「お前の矢が仮に私を殺したとしよう。だが、その後に待っているのは帝国の報復だ。この村の住民はみせしめとして惨たらしく殺されるだろう」


 彼の言葉に、弓を掴んでいる指が震える。


「貴様の一時の感情で動いたことがなにを変えられる?」

「うるさい……」


 精神的な揺さぶりに、リサは外から見てもわかるほどに動揺している。あんな状態では、弓もろくにねらえないはずだ。


「お前のやってることは、全て無駄だ」

「うるさいっ!」


 彼女が限界だった。怒りを爆発させて放った矢は力みすぎたせいでまっすぐに飛ばず、震えた手のせいで狙った場所から大きく外れた。

 カコン、と空しい響きをあげて矢は鎧に弾かれた。地に落ちる矢を、つまらなそうに見つめてから、ギルベルトは再び視線を戻す。


「満足したか?」

「あ、ああ……」


 すでに場は彼が支配している。先ほどまでのリサの虚勢は今ので完全に砕けた。もう、抵抗する力もないだろう。


「くだらない女だが、帝国に逆らう存在を見逃すわけにはいかない」


 腰にある剣を引き抜く。綺麗に研がれている刀身が、月明かりで不気味な光を放つ。余裕を感じさせるかのように、ゆっくりと歩を進めてリサの元へ向かう。


 青年たちも、その光景を見ていた。今まさに、彼女の命が奪われようとしている瞬間を。


(このままじゃ、あの子は……)


 頭に浮かぶのは、森の中で助けてもらった時のこと。はじめあった瞬間に女神のように感じたこと、村で見た年相応の顔、そして先ほどの悲しみに染まった顔。


 死んでほしくない、と思う。けど、だからといって動けるほどに勇気があるわけでもなかった。


(どうしたら、どうしたらいいんだ!)


 思考が頭のなかでグルグル回るだけで、一つも有益な手段がでてこない。最も、つい数時間前まで平和な時代に生きていた彼には無理もない話だが。

 動けずにいる間に、ギルベルトはもう彼女の近くにきている。後は剣を振るうだけだ。


(どうし……っ!)


 リサと目があった。


 彼女が浮かべているのは救いだった。助けを求めていた。死にたくないと訴えていた。迫りくる恐怖にあらがえない彼女が出した、精一杯のSOS。


 思考が、止まった。


「うわぁああああああああああああああああああ!」


 気付けば、身体が勝手に飛び出していた。


 何がすればいいのか、どうすればいいのか、わかったわけではない。考えがあるわけでもない。ただ、恐怖を叫びでかき消して、走った。


 けど、あの目を見捨てたら、きっと自分は後悔すると思ったら、体が動いていた。


 いきなり現れた青年に、思わずギルベルトの動きも止まる。そのまま、リサへの腰へと飛びついた。さすがに彼女も予想していなかったのか、こらえきれずに真横に倒れた。

 我に戻ったギルベルトが振るった剣は、青年の肩ギリギリを通り過ぎて空を切った。彼の口から舌打ちがこぼれる。


「あんた、どうして!?」

「そんなの、僕が聞きたいよ」


 驚くリサの言葉に、青年は素直に答えた。体が勝手に動いた、それ以上、説明のしようがない。


「なんだ、まだ誰か隠れて……」


 彼の言葉はそこで途切れた。青年のきている服に違和感を感じたのだ。明らかにコボルトが着ているものと、彼らが着ている服とは作りからして違う。


「まさかマオ、貴様、召還の魔法を使ったのか!」


 初めて、ギルベルトが生の感情を見せる。彼の叫び声に対して、マオは沈黙で答えた。


「わかっているのか、異世界の住民を呼ぶことでどんな混乱を呼ぶのか!」


 先ほどまで余裕ぶった態度へいったのか、困惑と激情が入り交じった声をあげる。なおも答えようとしないマオに業を煮やしたのか、再び青年へと向きなおる。


「なんと愚かなことを……!」


 彼の瞳が、青年を捕らえた。奥に光っているのは明確な殺意。思わず背筋が凍る。何を考えているのか、言わずともわかった。


「お前を生かしておくわけにはいかん、帝国の為にもここで死んでもらうぞ!」


 ゆっくりと剣を真上にあげる。青年は、最後のなけなしの勇気を振り絞って、リサの体を覆った。せめて、彼女だけでも救いたかった。


「死ね!」


 風を切る音と共に、剣が振り落とされる。襲い来るであろう痛みをこらえるために歯を食いしばると同時に、肉を引き裂く嫌な音と、血飛沫が噴き出し、ギルベルトの鎧を汚す。リサの口から言葉にならない驚きがこぼれる。


 しかし、青年の体には痛みはない。不思議に思い、振り向き、言葉を失った。


「マオ、さん!?」


 視界に移ったのは、青年の前で両手を広げて剣を受け止めるマオの姿だった。ギルベルトの振るった剣は肩を切り裂き、胸の中央で止まっている。吹き出した血が、地面と剣を持つ相手を汚した。


「ええい、邪魔だ!」


 まるで、邪魔な置物をどかすように、マオの体を蹴り剣を引き抜く。崩れ落ちるその体を、青年を思わず受け止める。


 熱い。


 胸から流れ出る血が、熱い。これが、人の命の熱さなのだと実感するが、同時に急速に彼の中から生きるための力が失われていくのがわかる。そして、それがもう間に合わないことも。


「じいじ!」


 リサの言葉に、ようやく彼は反応した。呼吸は乱れ、瞼を開けるだけでも、命を削ってしまう。それでも、彼は青年の姿を見て、笑った。


「ご無事、でしたか……ノブナガ様……」

「どうして、こんな!」


 どうして自分なんかをかばったのか。しかし、答えを聞くよりも早く、彼らに影が差す。ハっと顔を見上げれば、立っているのは剣を持ったギルベルトの姿だ。


「老いぼれが邪魔しよって……だが、結末は変わらん。帝国の安寧の為にも、貴様はここで殺す!」


 据わった瞳が、青年を見つめる。再び、剣が真上に降りあげられる。ギラリと、刀身が不気味に光る。


「さよならだ、異世界人。恨むなら、そこの老人を恨むんだな」


 剣が降りおろされる。迫り来る刃を、見つめることしかできない。動けないまま、死を覚悟する。


 だが、刃は後、数センチの場所で止まった。


 恐怖でこわばり、動けなくなった体の代わりに瞳だけを動かせば、ギルベルトの腕を燃えるような真紅の髪を持つ青年が掴んでいた。


「そこらへんにしておけよ、お前」


 モードレットだ。彼は、右腕で剣を持っている手を掴み、力ずくで止めたのだ。相手の腕は力がこもっているのか、小刻みに震えている。対して、掴んでいる手はまるで鉄のように動かない。


「すまない、マオ。あんたが命を賭けて俺たちのことを隠そうとしていることはわかっていた。その想いを無駄にしたくはなかった」


 けれど、と彼は続ける。腕を掴んでいる手に自然と力がこもり、鈍い音が鳴った。同時に、ギルベルトの顔が歪む。


「けれど、こんなもの見せられて黙っていられるほど俺は人間が出来てないんだよ!」

「……は、はなせ!」


 ギルベルトが腕を振るうと、モードレッドは執着せずに手を離す。勢いで後ろに倒れそうになるも、なんとか堪えた。相手のことを睨みつけながらも、痛みが残っているのか、捕まれた場所をさすっている。


「貴様も異世界人なのか!?」

「だったらどうだっていうんだ」


 冷静に返しているように見える。だが、彼の言葉には押さえきれない熱い怒りが感じられた。


「決まっている、帝国のために貴様もここで処刑する!」


 彼の言葉に、モードレッドは”笑った”。


 口の端を釣り上げ、犬歯をむき出しにし、獰猛に笑う。血に飢えた肉食獣でありながら、瞳には狂気を感じさせる喜びの光が宿る。


「ああ、それでいい。お前はこの俺が”狩る”」


 手を頭上に掲げる。


「円卓の騎士が一人、モードレッドがな!」


 叫びに呼応するように、彼の体が燃え上がる。否、燃えているのではない。燃え上がるように沸き上がった何かが、固形化して彼の身を包んでいく。青年には分らなかったが、燃える炎のような魔力が編み込まれて一つの形になる。


 漆黒の鎧。


 光を全て飲み込んでいるのではないかと思うほど、闇色に染まった鎧だった。凶暴という言葉をそのまま形にしたような攻撃的で威圧感がある。肩には天に向かって延びる巨大な角があり、所々に牙を思わせる飾りがつけられている。

 全てが黒色に染まっている中で、腰につけられた剣の金色の柄だけが、まるで場違いのように輝いている。


「鎧を生み出した? 貴様、魔法が使えるのか!」

「んなわけねーだろこの鎧が特別なだけだ」


 最後に、兜が顔を覆う。悪魔を思わせるようなまがまがしい兜だ。


「さぁ、来いよゲス野郎。一対一の正々堂々の勝負といこうじゃないか」


 ギルベルトは警戒するように剣を構えながら、様子をうかがう。


「いいだろう、私も帝国に所属する騎士の一人だ。正々堂々貴様と戦ってやろう。さぁ、貴様も剣を抜け」


 威風堂々といったギルベルト。だが、彼の言葉をモードレッドは否定する。


「断る。この剣は王から賜った我が愛剣、貴様などにこの剣の輝きを見せることすらもったいない」

「何……?」


 思いがけない言葉に対する驚きと、侮られているということに対する怒りの入り交じった顔を浮かべる。


「貴様、私を愚弄するか!」

「御託はいい」


 静かに、それでも響く声で、モードレッドは続ける。


「かかってこいよ、三下」

「き、さ、まぁあああああああ!」


 ギルベルトが大地を蹴って疾走する。迎え打つように、モードレッドは動かない。


(重厚な鎧、おそらく剣では貫けまい。ならば……!)


 相手の着ている漆黒の鎧、その形状からして防御重視だと判断する。この手の鎧には剣を打ちつけても意味がない。ならば、狙うのはその隙間。


(首、だ!)


 いかなる鎧でも確実に存在する弱点。間接部分の隙間。しかも、それが首ならば相手を一撃で殺すことができる。フェイシングのように剣先をまっすぐに向けるとそのまま全体重をかけて突き出す。相手が無手である以上、この攻撃を止める術はない。


「死ねっ!」


 勝利を確信したその顔は、笑みを浮かべる。


「いい狙いだ。けど、単純すぎる」


 迫り来る刃に対して、モードレッドが行ったのは、誰もが予想だにしてなかった行動であった。


 頭突き。


 ごく普通の感性の人間ならば、恐れるはずの剣先に向かって、彼は躊躇うこともせずに頭を叩きつけたのだ。甲高い金属音と共に、ギルベルトが持っていた剣が音を立てて地面に落ちる。


「な、馬鹿な、頭突き!?」


 先ほど余裕ぶっていた顔が驚きと苦痛に染まる。剣を握っていた腕は先ほどの衝撃で痺れ、満足に動かない。そしてなによりも、彼が行動することを相手が許さない。

 次に見えたのは、漆黒の手。何か、と理解する前に顔全体を捕まれる。一瞬の浮遊感、直後に衝撃。自分の頭が地面に叩きつけられたことを理解したのは、その後だ。

 意識が飛ぶのをなんとか堪えるも、叩きつけられた衝撃で意識は朦朧とし、思考が纏まらない。見えるのは、こちらを見下ろしている漆黒の騎士の姿。震える手を伸ばしながら、最後の力を振り絞って睨みつける。


「き、きさ……」

「もう、黙れ」


 それが、彼の聞いた最後の言葉になった。モードレッドは静かに右足を足をあげると、そのままギルベルトの首へと下ろした。肉と骨を潰す不気味な音が響き、最後にビクンッと大きく体を動かし、彼は事切れた。血が流れ出し、大地を濡らしていく。


「おい、おまえ等」


 地の底から聞こえているのではないか、と思うほど低い声でモードレッドは周りの兵士たちに声をかける。声をかけられただけなのに、兵士たちは見てわかるほどに怯えている。


「この男と同じ目にあいたくなければ、今すぐに武器を捨てて失せろ。さもなくば……」


 その先をいう必要はなかった。兵士たちは武器をその場に投げるように捨てると、我先にと駆けだしていく。彼らの姿を、つまらなそうに見つめてから、振り返る。


 すでに、マオは虫の息だった。


 最後を看取るかのように、彼は近づく膝を付ける。それにあわせるように身を守っていた漆黒の鎧はほどけるように消えていく。マオが負っている傷とその現状を見て、彼もすべてを悟ったようだ。


「しっかりしてください……!」


 必死に声かけする青年の服は真っ赤に染まっており、すでに大量の血が失われたことがわかる。顔は血の気を失い、青ざめて生気を感じられない。誰から見ても、先が長くないことは明白だった。

 彼らを囲む村人たちは沈痛の面もちで見つめている。誰もが、老人の最後を悲しんでいた。


「どう、して……」


 絞り出すように、青年はいった。聞いておかねばならないことがある。


「どうして、僕を助けたんですか」


 彼のことを、よく知るわけではない。けれど、短い付き合いながらも彼がいい人であるのはわかる。このような場所で死ぬような人間でないことも。


「あなたは、我らコボルトの希望なのです……」


 今にも尽きようとしている命の最後の輝きを使って、マオは口を開いた。もうすでに、口からこぼれる血もない。


「私は変えたかった。コボルトに生まれた、ただそれだけで幸せを諦めなけれない、こんな世界を。これから生まれてくるコボルトに、希望を与えたかった」


 言葉を一つ一つはく度に、彼の体から力が抜けていく。それでも口を止めることなどしない。残りわずかな命を、生きながらえるためにではなく、託すために。


「帝国に隷属し狗となって殺されていくのではなく、コボルトという種族として、誇り高く胸を張って生きていける……そんな世界が欲しかった」


 震える手が、青年を使む。もう幾ばくもない命のはずなのに、彼が培ってきた人生の重みを感じさせるように、力強い。


「私は……私は、こんな世界、嫌だった!」


 それは、マオという老人が、ずっと胸に秘めてきた想いだった。世界に対する怒り、失望、諦観、それらからくる絶望にさらされながらも、決して折ることの出来ながった気持ち。


(熱い……)


 感じるのは、マオが最後に放つ想いの熱。彼の目は最後の輝きで青年を見つめる。


「ノブナガ様……お願いです、この世界を壊してください。そして、そして!」


 命が尽きていく。握っている腕から、見つめられた瞳から、輝きが失われ力が霧散していく。青年の腕の中で、命がいま、失われようとしていた。


「コボルトに、未来を……ください」


 最後にそう言い残して、マオは静かに瞳を閉じた。青年の服をつかんでいた腕から力が抜け、ポトリと落ちる。先ほどまで感じられた熱は急速に消えていき、残ったのは冷たい亡骸だけ。


「じいじ……じいじぃ!」


 リサが冷たくなった体にしがみつき、泣きじゃくる。それにあわせるように、周りのコボルトたちからも悲しみの声が上がる。多くの人たちが、一人の老人の死を嘆き悲しんでいた。


 悲哀の中に囲まれながら、青年の頭の中にはマオの言葉が巡っていた。彼が最後に託した、願いを。


 そう、願いだった。


 最初は期待だと思っていた。彼の父親が自分にしたように、ただ押しつけるかのような期待だと。でも違った。それは、絶望に抗い続けた一人の老人が傷ついてボロボロになりながら手を伸ばした、願いだった。


 タケルはいった、誇りを持たぬまま生きるのは死と同じだと。


 ならばきっと、この世界にくる前の自分も死んでいると同じだったのだろう。なにをするでもなく、部屋に閉じこもり自殺する勇気もないまま、都合のいい死を待ち続けていた。


 ―――自分に、なにができるのかはわからない。


 手を見つめる。未だに熱を失わないマオの血でべっとりと塗れている。それを、決して忘れないように、離さないように拳を握った。


 ―――それでも、託された願いを見なかったことにはできない。


 マオの遺体を優しく地面に置き、ゆっくりと立ち上がる。その場にいる人々の視線が、自然と青年に向かって集まっていく。彼の顔には、もう迷いはない。


 だから、生まれ変わろう。あの部屋で閉じこもっていた自分は死んだ。


「マオ、あなたの耳にはもう届かないけれど、先ほどの言葉の答えを、今言わせて欲しい」


 拳に力を込めた。目を閉じて、消えていく熱を刻みつけるように、その手を胸に当てる。


「コボルトの未来は”俺”が帝国から奪え返す」


 目を見開き、マオの遺体を見つめる。彼の顔は、まるで青年の答えを知っていたかのように穏やかな笑みを浮かべている。


「この”俺”……織田信長が、帝国を倒し亜人を解放する!」


 世界を悲観し、引きこもっていた青年は死んだ。今の彼はコボルトを救うために召還された”織田信長”となる。


 帝国歴456年。後の世代に黄金革命と呼ばれる戦いは辺境の地にある小さな村から始まることになる。そして、コボルトのために織田信長となった青年が、白銀帝国だけではなくエルデ大陸全土を巻き込む大きな流れを生み出すことを、この時はまだ、誰も知らない。

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