隠された力
不良達に絡まれている三山を助けるために、俺は不良達のもとへ駆け出していた。
なんて…。
格好良く始めましたが…。
正直に言うと怖いです…。
さっきはブチ切れて、何も考えていませんでしたが、いざ不良達に近づいてみると怖いです…。
チキンです…。
すみません…。
その合間にも三山は連れていかれそうになっている。
もういい。
恐いとかの問題じゃない。
三山を助ける。
理由はそれだけでいい。
それだけで俺は、あいつらの前に立てる。
再び走り出した俺は、不良達の一人を後ろから蹴り飛ばした。
蹴り飛ばされた不良は気絶した。
は?弱すぎなんじゃない?
残りの不良が驚いて三山の手を離した隙に三山の前に立った。
「せんぱい…?」
「大丈夫か?後は任せろ。」
「は、はい…。」
『なんだ!テメエ!』
「俺の大事な後輩に手を出してんじゃねぇ!」
『あ?ヒーロー気取りか?』
「黙れ」
『っ!』
この言葉が心に突き刺さる。
『ヒーロー気取り』。
過去の記憶が蘇る。
『調子に乗ってんじゃねぇ!』
しかし、不良達が突っ込んできたおかげで思い起こさずにすんだ。
そしてー
決着はすぐについた。
突っ込んできた、不良達の拳を交わし、腹にそれぞれ蹴りを一発。
えええ!
俺ってこんなに強かったの?
まさか、これが俺の隠された力…。
いやいや、厨二じゃないよ?
もう卒業したよ?
誰に言い訳してんだろ…俺…。
「せんぱい…。」
「おう。大丈夫だった…「せんぱい!」…か…?」
ええええええ!
三山が抱きついて来たんですけど…!
何てラノベだ、これ?
いや、ギャルゲ?
いやどうでもいいけど、いい匂い…。
はっ!やばっ!
しっかりしろ!九条和也!
と言っても…。
「ヒグ…グス…」
「………………………。」
無理!
一般的に誰から見ても可愛い美少女が泣きじゃくりながら俺に抱きついてるんだよ?
これが冷静でいられるか!
思い立ったら吉日!
俺は三山を抱きしめていた…。
何やってんだ!俺は!
しかし、三山は抱きつく力を強めてきた。
どうすんの!この状況!
無心だ!無心になれ!
ああ、神よ。これは何てラノベですか?
感想いただけると有り難いです。