壊された一時
「せんぱーい!」
突然、我が教室に来襲した魔王を俺は見なかった…ことにした…。
そもそも俺に用事じゃないかもしれないし!
このクラスの皆、先輩なんだし!
そうだ!俺に用事じゃないはずだ!!
「せんぱーい?」
ほら、早く行ってやれよ。呼ばれてるんだからさ…。
「あれ?夢菜ちゃん?どうしたの?」
「あ!凛先輩!こんにちは!」
「うん。こんにちは。それでどうしたの?」
そうか〜!崎田に用事があったのか!!
よし!じゃあ、俺は読書を再開しよう。
「実は和也先輩に用事があって!」
うん…。何も聞こえなかったな…。空耳だ…。
そうだ!きっと疲れてるんだ!
「九条君に?」
「はい。さっきから呼んでるんですけど…。」
何か三山がこっち見てるぞ…?
な、なんだよ…。
俺は読書してんだよ…。
「九条君。夢菜ちゃんが呼んでるよ?」
いつの間にか近くに来ていた崎田にそう言われ、俺の希望は儚く散った…。
「なんでしょうか?三山さん。」
「なんでそんな他人行儀なんですか!なんで嫌そうな顔してるんですか!」
「だって、俺の平和な一時が壊されたわけだし…。」
「人を魔王みたいに言わないでください!」
え?違うの?
「何でキョトンとしてるんですか!違います!可愛く明るい後輩です!」
「自分で可愛いとか言うなよ…。」
「え…?せんぱいからしたら私って可愛くないんですか…。」
「うぐ…。」
その表情はズルい…。
何か目が潤んでるし…。
何でいつも明るいのに悲しそうな顔すんだよ…。
「可愛いけど…。」
「え…?」
「可愛いって言ったんだよ!だからもうそんな顔すんな…。お前は笑顔が似合うんだし…。」
「は、はい!」
まずい…。空気がおかしくなった…。
何か三山は俯いてるし…。耳赤いし…。
「と、ところで何か用か?」
「あ、はい。今日終わったら校門前でまってます。さっき言い忘れてたので…。」
「え?それだけか?」
「はい。」
「だったらメールとかLineでよかったんじゃないか?」
「それは…だって先輩に会いたかったんですもん…。」
ボソボソと何か言っているがまったく聞こえない。
「何だって?」
「何でもありません!!じゃあ、私はこれで!」
「お、おう。」
「放課後、待ってますから!」
「わかったよ…。」
そして手を振りながら三山は走っていった。
さてと、読書に戻るか!
タイミング良く…いや、この場合は悪く、チャイムがなった。
くそ!本読めなかった!
次の授業は数学…。
寝るか…。
聞いてもわからんし…。
午後からの授業は睡眠学習に決めた。
寝ることは大切なことだよ!
というわけで、おやすみなさい!