騒がしい後輩
翌朝、由美に起こされた俺は朝飯をしっかりと食べ、準備をしていた。
「はい、お兄ちゃん。お弁当。」
「サンキュー!」
しっかりと弁当も受け取り、学校に向かう。
「……なぜいる?」
「さあ、レッツゴー!」
外に出るとすでに由美が俺の自転車の荷台に座っていた。
「たまには一人で行けよ。」
「だって歩くのだるいし。」
「運動しろよ。」
「大丈夫。帰りは歩いてるし。体育もあるし。だから朝は楽したいのでーす!」
「俺は楽じゃないんだが…。」
「ファイト!」
「このやろう…。」
仕方なく由美を荷台に乗せ、家を出発した。
「そういやお兄ちゃん。」
「何?」
「実は私、受験勉強をまったくしていないんだよね…。」
「ふーん…って!はあ!?」
「えへへ…。」
「えへへじゃねぇよ!確かお前、うちの高校に入るんだよな?」
「そうだよ。」
「結構、レベル高いのわかるよね?」
「うん。」
「何で勉強してないの?」
「てへ☆」
「………。」
なんだこのダメな妹は…。
「でも、家事をやったり、お兄ちゃんのお弁当作ったりしなきゃならないし。」
「う…。」
それを言われると何も言えない…。
「よし!わかった!じゃあ、俺が教えてやるよ。」
「へ?」
「勉強、教えてやるよ。」
「本当に?」
「おう。」
「やったー!お兄ちゃんの教え方はわかりやすいから百人力だね♪」
「そ、そうか…。」
素直に嬉しい。
そして中学校の前で由美を降ろし、学校に到着。
「せーんぱい!」
「うわ!」
後ろからいきなり抱き付かれ、かなりビックリした。
「ってなんだよ…。お前か…。」
「何であからさまに嫌そうな顔するんですか!」
はぁ…。朝から騒がしい奴に捕まってしまった。
こいつは一年の三山夢菜。高校でとある出来事があり、そのときに知り合った奴だ。
「いや、騒がしい奴に出会ってしまったなと思って…。」
「騒がしくないです!明るく元気なんです!」
「ソウデスカー。」
「何で棒読みなんですか!」
「じゃあ、俺はこれで。」
「何でナチュラルに離れようとするんですか!」
「えー。だって用事ないでしょ?」
「ありますよ!先輩と話すっていう用事が!」
「そっかー。俺はない。サヨナラ。」
「逃がしませんよ!」
腕を掴まれる。
くそ!逃げられない!
和也はどうする?
①なんとか逃げる。
②適当に理由つけて逃げる。
③諦める。
うん。③だな。だって無理だもん!こいつから逃げるのは…。
「そうだ!先輩、今日って暇ですよね?」
「何で決めつけるんだよ!」
「だっていつも暇でしょ?」
「う…。」
「暇ですよね?」
「そうですよ!暇ですよ!チクショウ!」
「じゃあ、買い物に付き合ってください!」
「嫌です!」
「ちなみに先輩に拒否権とかありませんから♪」
「理不尽だ…。あなたは人権を何だと思っているんだ!」
「先輩の人権は私限定で皆無です!」
「恐ろしいよ!この後輩!」
「というわけで、放課後よろしくです!」
「えー…。」
「帰ったら…わかりますよね…?」
こ、怖いよ…。
「わかったよ…。」
「やった♪じゃあ、また!」
そう言って、三山は駆けて行った。
というわけで、買い物に付き合わされることになりました。
帰りたい…。