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僕とボク  作者: ドク
17/24

#017 出発

「んー……」


ベッドに横になったまま伸びをする。この体になってから朝一番にやること。こうしないと起き上がれない。綾乃さんって朝弱かったのかな?


「おはよっ」


「おはよう」


いつものように、上のベッドから下りながら挨拶する綾花に返事をする。

綾花が二人分の着替えを持って浴室に行き、僕は台所へ行って飲み物を用意する。これは毎朝の二人の日課になっている。

最初は「あまり下着を見られたくないから」と綾花がやりだした事だったんだけど、僕もタンスの中から下着を取り出すのに抵抗があったので助かっているよ。


昨日の日曜日は「自分で選んでみる?」と聞かれたんだけど、問われた瞬間に固まった僕に、

「買い物にいくなんてまだまだ無理だね」と笑いながら言い肩を軽く叩かれた。

頑張るよ、少しずつ……


シャワーから出てきた綾花と入れ替わりで僕もシャワーを浴び、朝ご飯を食べて部屋に戻る。

旅行の準備はほとんど昨日で終わっているんだけど、あと一つ、携帯電話の充電器をカバンに入れる。これで準備は完了。

……と思ったら綾花がジッパー付きのビニール袋を持ってきてカバンに入れた。なんだろう?


「あ、これ? 着替えた下着とか靴下をこれに入れるの」


不思議に思って見ていた僕の視線に気付いた綾花が教えてくれた。いろいろ考えてるんだなあ。

この後制服に着替えて髪を綾花に結ってもらい、僕たちは学校に向かった。







「おはよ……」

「あ、来た来た。綾乃ちょっとこっちに来て」


教室に入ってすぐ、挨拶を遮って僕を呼ぶ女子三人のグループ。名前覚えてないからちょっと困ったけど、とりあえず呼ばれたので教室の一番後ろに移動する。


「おひゃようございます。」


う……噛んでしまった。

でも、気にしてない様子で話しかけてくる。


「綾乃って男子苦手でしょ? 綾乃だけ私たちのグループで行動するってのはどうかな? せっかくの旅行なんだし無理して嫌な思いするより、楽しくいきたいよね?」


「えっと……あの」


「あー、気遣いありがとうな。でも大丈夫。中学が一緒だったからよく知ってるけど、アイツは安全だし、コイツみたいな最低男じゃないから」


教室に入ってきたばかりなのに僕達の話を聞いていたかのように、言いながら理子が近づいてくる。最低男って理子の席の隣の男子を指さしながら言う。


「それに少しずつでもオトコに慣れるようにしていかないといけないだろ? その相手にもぴったりだよ。アイツの安全性はあたしが保証する」


安全性って……人を家電品か乗り物みたいに言わないで欲しい……


「おーい、後ろの女子ども。早く席につけー」


あ、いつの間にか先生が教室に入ってきてた。

僕たちは慌てて席に着く。先生と一緒に入ってきたのかな? 桐生とあや……碧も席に着くところだった。


「今日も空席なくて欠席なしだな」って、手抜きすぎじゃないですか? 先生。


「体調悪い人はいるかな? いたら挙手」


教室中を見渡して見ても、誰も手を挙げていない。


「うむ。問題なさそうだな。それじゃ全員グラウンドに移動して、男女各二列に出席番号順に並んで待機。宮沢達の班はこのまま教室に残っておくこと。はい、全員移動開始」


ぞろぞろとみんなが出て行き、僕達だけになった。僕達は同じ場所に集まる形で席についてるので先生が近づいてくる。

あや……碧の方に向かっていた先生だったけど、碧の引き攣った表情を見て少し距離を置いて立ち止まった。


「最後にもう一度確認するけどな、本当にこの全員同じ部屋でいくつもりか?」


今綾花がいないけど、教室に残っている六人と、綾花を入れたメンバーでってことでいいんだよね?


「「もちろん」」


理子と桐生が同時に即答する。


「わかった。他の生徒はもちろん、先生にも秘密にしてることだからな。知られたらオレはこれを出すことになるから気をつけろよ」


そういいながら封筒をちらりと見せた。そして一枚の紙を理子に渡す。


「バスでの座席指定表だ。各班に指定されている範囲内なら自由に座れるから、各々で話し合って決めると良い。それじゃあ全員、グラウンドに移動しようか」







先生と一緒にグラウンドに移動すると他の生徒はみんな整列していて、校長先生が旅行中の注意を話している。なんとなくみんなの列に行きづらい雰囲気……


どうしようかと考えていたら、先生が僕の肩を軽く叩いた。先生を見るとそのまま地面を指さした。ここにいろってことかな? 僕たちは先生の隣に並んで立つ。


「あー、それではみなさん、団体行動を自覚し、秩序を乱さずに行動し、事故やけがに気をつけるように。それでは各クラスの担任の元に行き、バスの座席を確認し、校門前で待機しているバスに乗りなさい」


校長先生の話しが終わり、みんながこっちに集まってくる。僕たちは先に指定表をもらっているので、バスに向かって歩き出した。


僕達に指定された席は最後部と、最後部席の一つ前の左右の席だった。教室からグラウンドに向かっている途中に先生が教えてくれたんだけど、桐生とあや……碧が別々に座るならこの席がいいと思っての事らしい。でも、一緒に座るか別れて座るかは自由だと言ってた。


結局後ろの席は理子と友美と芹佳、左前に僕と綾花、右前に桐生と碧が座る事になった。他のみんなも座席の指定を確認しながらバスに乗り込んでくる。全員が座席に着いた頃先生も乗り込んできて全員がいることを確認すると、席に座った。いよいよ出発なんだね。すごくワクワクする。


僕たちは全日航の飛行機に乗って沖縄に行くんだよね。沖縄に行くのも飛行機に乗るのも初めてなのでなんか楽しみ。

バスが発車すると、ぐるっと学校周辺を一周して空港へと向かっていった。

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