#001 迷惑な死神
初投稿です。作文も苦手な人が書いたもので文章めちゃくちゃですが、よろしければお付き合いください。
六月最後の土曜日の午前十時。見慣れない公園に僕はいた。段違いになった子供用の鉄棒と滑り台、三台のベンチがあるだけの小さな公園だった。
少し前まで、自分の部屋でくつろいでいたはずなのに、今いる場所は知らない公園。
僕が座っているベンチには、隣に小さな女の子が座っている。彼女は小夜と言うらしい。
虚ろな目で前を見たまま、僕たちは動かない。
ふと気づくと、こちらに近づいてくる女の子がいる。高校は別になってしまったが、中学まではそこそこ仲の良かった子、理子だ。
「相変わらず待ち合わせの時間より早く着いたんだね」
「りこぉぉ〜」
笑顔で近づく彼女の名前を呼ぶ。声が震えているのが自分でもわかる。
「え!?」
「理子助けて。僕…」
一瞬、理子の笑顔が引き攣る。
「なんかいつもと雰囲気違うけど、誰? それに僕って…綾乃だよね? 何か違和感あるけど」
僕の肩に手を乗せて理子が言う。僕は震える声で答える
「僕…碧です。綾乃さんじゃないんです」
きょとんとする理子が首を左に向ける。その場所、僕の右には小夜が座っている。
小夜が立ち上がりペコリと礼をする。そして少し右に移動して座り直した。
僕と小夜の間に理子が座る。僕は少し前に小夜と交わした話を理子に説明する。
「私はナビゲーターの小夜です。こう見えて死神なんですよ」
そう言って目の前に立つ少女が僕達に話しかける。小夜はパッと見、中学生くらいにしか見えない。
真っ白なワンピースを着て、薄い空色のカチューシャを付けている。
ショートカットのサラサラした髪がそよ風に踊る。
僕の隣には知らない女の子。栗色の長い髪をポニーテールにしている。
キュロットスカートと薄い黄色のブラウスを着ている。すごくかわいい子だな。
彼女と僕は今日が死ぬ日で、小夜は冥界へ案内すると言うことらしい。
「早速、行きましょうか。喜多村綾乃さん、小木曽蒼さん」
「…あ!」
「…え?」
小夜が見せた予定表に書かれた名前を見て僕たちは同時に言う。
「ん?」
小夜が首を傾げている。
「ボクは北村綾乃ですけど?」
「僕は小木曽碧だけど?」
僕たちは言いながら人差し指で空中に名前を書く。読みは同じだけど全然字が違う…
「えええぇぇ〜!?」
叫んだ小夜は肩が少し震えている。
「それに、その二人を案内する予定日って、来週ですよね?」
予定表の日付を見て、北村さんが言う。
「あ…」
僕と小夜が日付を確認し、小夜が小さく呻く。
「どうしようまた間違えた。絶対怒られるぅ……とにかく二人の魂を体に戻さなきゃ……」
「つまり、そこの死神ちゃんが間違えて魂を抜いちゃって、またまた体を間違えて魂を戻しちゃった、と」
小夜が小さく頷く。そしてそのまま俯いてしまう。
「こんな話信じてくれるの?」
問いかける僕に顔を向けて、理子が頷く。
「だってさぁ……さっきこの子が立ち上がった時、少し浮いてたじゃん? それに影もないし」
そう言って小夜を見る。僕もつられて小夜を見る。あ、本当だ。影がない。
「それに、あたしをリコって呼ぶのって中学の友達くらいだからね。中学ん時の友達はみんな西高であたしだけ東高。東高の友達はちゃんと理子って呼んでくれるし」
そっか……僕がリコって呼んだ時に表情が変わったのはそのせいなんだ。
「それじゃ碧の体に入ってる綾乃は今一人かな? 外で話すには変な内容だし、あたしの部屋に行こう。その前に綾乃も呼んでこなきゃな。碧、死神ちゃんに魂抜かれる前はどこにいたんだ?」
僕が部屋で一人でいた事を告げると、理子は家の近くまで一緒に行こうと言い出した。
この公園がどこかわからないために家の方角もわからなかったけど、僕達が真っ先に思いついた中学校の方向に行くことにする。僕の家は中学から近いのでいい目印ともいえた。
僕の家に着き、そのまま入ろうとすると理子に止められた。
「あのねえ、今綾乃の体なんだよ? 他人の家に堂々と入るつもり? これで呼び出して」
そう言って差し出す携帯を受け取り、僕は自分の携帯の番号を打ち込む。発信ボタンを押すと理子が携帯を取り上げた。
通話が繋がったらしく、理子が状況を多少は把握してる事と、外で待ってることを伝えて電話を切る。
暫くすると玄関から僕が出てくる。あ、何だか変な感じがする。
GパンとTシャツ姿。さっきの僕の服装のままで出てきた僕は、理子に抱きつき小さく嗚咽している。
僕が泣きながら女の子に抱きついてるようにしか見えないよなぁ……
できれば早くここから離れたい。
僕の視線に気づいたのか、理子は僕の頭を優しく撫でながら耳元で何かを囁く。頷く僕。(ややこしいなぁ)
ようやく落ち着き、泣き止んだところで、僕達三人は理子の家に向かって歩き出した。