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説明回

説明が長い気がする。

「成功か?」


気づくと俺は真っ暗な部屋でPCの前に座っていた。

おそらく椅子に座っているのだろう。

周囲はPCの画面が明るい分、余計暗く感じる。


「暗いなあ・・・」


俺はそう言うと立ち上がり、手探りで照明のスイッチを探す。

まあ情報通りならば問題ないはずだろう。

慎重に暗闇の中を歩いて、記憶を頼りに探しているとようやくスイッチを

探し当てた。

スイッチを押すとそこは見慣れた俺の部屋、ワンルームにユニットバスが

くっついているだけの住み慣れたアパートの一室だ。

ただし俺の記憶と違い整理整頓されており、ゴミやホコリが無かったり

PCが妙に未来的なデザインに変化していたり細部が微妙に変化している。

ただ一番の変化は本来窓があった部分が壁に変化して、何か金属の塊みたいな物体が壁に埋まっていることだろう。

おそらくあれがダンジョンコアだろう。


「ふう。」


カシュっ。

冷蔵庫から缶コーヒーを出してプルタブを開ける。

俺はそれを飲みながらPCの前に座ると、自分の身に起こった奇想天外な

事柄を思い起こした。


俺の名前は荒川 貫。

社会人3年目のしがないサラリーマンだ。

いやだった。


ある日、妙に体調が悪かったので会社を早退し、アパートに戻るとすぐに風邪薬

を飲んでベッドにはいった。

それが最後の記憶で気づくと真っ白な空間でPCの前に座っていた。

そこには


あなたは異世界に転生し、ダンジョンマスターになりますか?


【YES】/【NO】


と表示されており、同時に俺の頭の中をさまざまな情報が流れ込んで来た。

その情報をまとめると、


・俺やほかの人間(会ってはいないが)はある一定期間に地球で死んだ人間。


・【YES】を選んだ人間は異世界にダンジョンマスターとして転生した。

 ちなみに【NO】を選んだ人間はそのまま輪廻転生の輪に戻されたらしい。


・目的は「異世界の活性化」


 なんでもこの世界は「剣と魔法の世界」系統の最初期に生み出された世界で

かつては様々な技術、種族が生まれて繁栄の一途を辿っていたらしい。

しかし、いくつもの「剣と魔法の世界」系統の世界が生まれた結果、そういった

優れた種族や文化はそちらに流れてしまった。

その結果、現在では世界移動のすべも失われ、それらの多くが伝説として残っているだけの停滞した世界と成り果てている。

俺たちダンジョンマスターはそういった世界に新ダンジョンを生み出し、

貴重なアイテムや素材を供給し、また同時にモンスターという脅威を与えて世界の活性化を促すために転生する、とのこと。


尚、今回俺たちは第三期生に当たるらしい。

一期生は1000年前、二期生は200年前にそれぞれ1000と3000人ずつこの世界に呼ばれたようだ。一期生ダンジョンは現在は1つしか残っていないらしく「竜王の砦」と呼ばれている超高難易度のダンジョンとなっている。


また二期生のダンジョンは現在150程が残っており、難易度も様々。

ここ最近は攻略されるダンジョンは出ていないとのこと。

・・・どうも一期生は初めての試みだったためかマスター全員が準チートクラスに強化されていたらしく、当時の文明が滅亡寸前になったり、マスター同士が潰しあったりして大変だったようだ。

予想外の出来事に慌てた【管理者】は急遽、本物のチートを授けた異世界者、

後に【勇者】や【英雄】と呼ばれる存在を送り込みやっとバランスを取ったらしい。


次に二期生。

前回の反省から、強化を控えめにしてその分数を増やしたようだ。

またマスター同士の戦闘を一部例外を除いて禁止したらしい。

しかし、今度は一期生ダンジョンの脅威が語り継がれていたため、

当時のトップクラスの戦士や【勇者】【英雄】の子孫などが積極的にダンジョンに攻め込み、どんどんダンジョンが攻略されてしまったらしい。

またまた慌てた【管理者】は今度は【魔王】を世界に送り込み聖魔戦争が勃発。

そして【魔王】が討伐される、国同士での戦争が起きる、【勇者】【英雄】が数多く生まれ、果てる、といった大河ドラマが出来そうな激動の時代を経て、現在は150のダンジョンが残っている。

これはダンジョンが生み出す希少な資源が重要ということもあるが、単純に

ダンジョン攻略できるような人材が戦争で居なくなったため、最近は攻略されたダンジョンが無いだけのように感じる。


そして最後に俺たち第三期生。

俺たちは個人の資質や希望に応じていくつかの特典を貰った。

この特典はスキルやステータスアップ、DPの増加やアイテムの取得といったモノでダンジョンの成長に伴って、特典も強化される仕様だ。

今は微妙だが成長とともに後々一期生をも超えるチートになる・・・らしい。


「よし!!とりあえずダンジョンを作るためにシステムを調べるか!」


一応情報は頭に入っているが完璧ではないだろうし、確認は重要だ。

俺は飲み終わった缶コーヒーをゴミ箱に捨てると、PCのデスクトップにある

【ダンジョンマスターになろう!】というアイコンをクリックした。



【ダンジョンマスターになろう!】起動ありがとうございます。


「いえいえどういたしまして。」


今回は初回起動のため、DPを1000P支給させていただきます。基本情報は既に

あなたの記憶にインストールしておりますが、いくつかの重要事項を確認も

兼ねて説明致します。


「ふむふむ。確認は大事だよね。」


現在、あなたは地球で使用していた部屋とほぼ同質の部屋にいると思います。

これはマスターのストレス軽減のため今まで最も慣れ親しんだ部屋を模しております。

中にはキッチンやトイレなど必要な設備がない部屋もあると思われますが、

その場合はそれらの設備を追加させていただいています。

またダンジョン作成のための端末としてPC型の端末を用意しております。

今後はこの端末を利用してください。

尚、ダンジョンはあなたが目を覚ましてから30日後解放されます。

外界からダンジョンの資源、また一級の資源となるダンジョンコアを狙って

侵入者が侵入してくるでしょう。


「ふむふむ情報通りだな。」


ダンジョンコアを破壊された場合、マスターたるあなたは死亡します。

ダンジョンを強化して生き残ってください。

強化方法としてはDPを消費してダンジョン作成、モンスター作成、罠作成等を

行って経験値を稼いでダンジョンのLVを上げてください。


DPや経験値は侵入者の撃破もしくは撃退、また掲示板で掲示されるクエストの

クリア等で得ることができます。積極的にポイントを稼いでください。

尚、掲示板は目覚めて一日後に解放されます。他のマスターとの情報交換等に活用してください。また順次機能が追加されていきますのでご期待下さい。


俺はクリックして次の画面を映し出す。

すると次の画面にはダンジョン作成のルールや俺のステータス等が載っていた。


「ステータス、ステータスっと。」



LV:1

称号:初心者マスター

名前:荒川 貫

種族:亜人

職業:ダンジョンマスター(DM)

スキル:ダンジョンマスター権限

特典:低品質タブレット(各種)

HP:20 /20

MP:100/100

STR:5

INT:12

VIT:5

MND:15

DEX:7

AGI:7


LV:1

名前:無名ダンジョン

タイプ:なし

階層:なし


「なるほど。ステータスは低いのか高いのか分からん。特典は・・・タブレット

 とは何ぞや?」


俺の特典は「低品質タブレット(各種)」というアイテムのようだ。

アイテム名をさらにクリックして詳細を見る。


タブレット

低品質~高品質、更にその上がある。

魔力や生命力など様々な物質を固形化したもので品質が上がるほど、効果や

作用時間が増加する。主に配下のモンスターに投与するもの。


例:魔力タブレット:投与後一定時間魔力が供給され続けられる。

投与されたモンスターは魔力を使用した場合時間経過と共に徐々に回復するが、

使用魔力量によってはすぐに効果が切れる。


特典により

魔力タブレット(低品質)×10、

ライフタブレット(低品質)×10

瘴気タブレット(低品質)×10

を取得しました。


瘴気?

今度は瘴気をクリックして調べてみる。


瘴気

総じてモンスターに活力を与え、それ以外の生物には微弱ながら毒性を持つ気体。

濃度が濃くなるほどその性質が顕著になるが、一部を除いて一定以上の濃度になるとモンスターといえども耐えることができない。


う~んライフや魔力とはまた別物なのか?

使いどころがむずかしいなあ。


ピコン!


何か音がしたので画面に目を戻すと、そこに新たな項目が映し出されていた。


称号:未調整者を得ました。

未調整のまま転生した勇気をたたえ、DPを200P提供されます。


「お!調整を受けないだけでDPが!ラッキー!!」


そうそう俺まったく調整を受けていないんだよな。

DMとは基本的に命を狙われ、人命を奪わなければ生きられない過酷な存在。

故にこの世界に来る際に、多くの人間が過去の個人的な記憶を消したり、

殺人への忌避感を薄くしたりと調整を受けてきている。

しかし俺は両親はいるが元気だし、兄貴もいる。

子供や彼女もいないので特に地球の記憶を持ったままでも全く問題ないので記憶は消さなかった。

実は調整を受けると自分でなくなる気がして怖というのが一番の理由であるが。


「それではお待ちかねのダンジョン作成の方法はっと。うわ、色々ルールが

 あってめんどくさいな、オイ。」


ダンジョン作成 ルール


・原則ダンジョンは自給自足です。DPを消費してダンジョン作成、モンスター

 作成、罠作成、食料作成を行ってダンジョンコアを守って下さい。


・罠等は時間経過とともに復活しますが、死亡したモンスターは復活しません。


・原則ダンジョンの壁は破壊不可能です。


・原則ダンジョン内は亜空間に作成されるため広さや環境は周囲の環境に影響

 されません。(※塔など一部のダンジョンは当てはまりません。)


・ダンジョンのLVアップと共に様々な機能が拡張されます。


・ダンジョンコアのある部屋まで必ず通路で繋がってなければいけません。


・ダンジョン内の侵入者を撃破または撃退でDP及び経験値が取得可能です。


・DPを消費して作成したものは還元して半分のDPを得ることが可能です。

 ただしモンスターは対象外となります。


「ダンジョン作成は明日掲示板開くし、他のDMの意見見ながら作るかな。

 今日のところは色々と情報を検索してメモでも取っとくか。」


そう言うと俺はPCの画面を見ながらクリックしていき、所々重要な情報をルーズリーフにメモりながら読み進めていく。

時計が夜の7時を指す頃には大体情報を読み終えて、買い置きの

インスタントラーメンにお湯を入れていく。

どうでもいいが電気や水、空気とかはどこから来ているのだろうか?

まあファンタジー的な何かで解決しているのだろう。

そんなくだらない事を考えていると、いつもなら起きている時間なのに眠気を

感じてきた。

気づかないだけで俺も緊張していたのだろう。飯食ったらさっさと寝よう。


ピュ~!


ヤカンの汽笛がなった。

俺はヤカンの火を止めて、ラーメンにお湯を注ぎながら座椅子に座り、PCの掲示板を眺める。

特に目新しい情報も無かったので、俺は眠りに就いた。


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