表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
LOVELY WHO  作者: はるやん
1/10

救い様のない・・・

暇だったので書いてみました。


一話目はプロローグ的な、特殊な位置にあるんで切るかどうかは二話、三話目を見てから判断して下さい。

どんな形であれ評価、感想を頂ければ幸いです。

空からは、白く儚い、降りてきても一瞬で消えてゆく「雪」が降っている。

人は空を見上げ、もうそんな季節か、と季節の変わり目を実感し、また別の人は、その寒さに震い上がり、早足で家へと帰宅する。家では暖房機器を利かせ、家族が一家の大黒柱の帰りを今か今かと待っている。そんな寒くも、暖かな季節、冬。


雪は冷たく僕の体に当たり、芯から凍えきった心は、また更に落ち込む。

コンビニ弁当を片手に、引っ越して丁度一年経つアパートへと転がり込む。

築10年、2LDKの風呂トイレ別で日当たりも良いこの部屋は、なかなか気に入っている。家賃は20万円と、いささか高いのだが・・・

一人で暮らすには十分過ぎるくらいに広いこの部屋は元々、付き合い始めて半年の彼女とめでたく同棲をすることになった時に見つけた物件だった。だからこそ、少々家賃が高くても、良い所に住もうね、と二人で話し合って借りることにしたのだ。

彼女との全てが詰まったこの場所は、今の僕には息苦しく、一人で居ると、なんとも言えない劣等感に襲われる。


あれは確か一週間前、彼女は突然として姿を消した。置手紙と、同棲の記念として買ったペアリングを残して・・・


「こんな生活もう散々です。」


置手紙には簡素に一文だけが綴られており、何か込み上げるものがあったのか、紙はしわしわになっていた。

大学生の僕たちは、講義の合間を縫ってアルバイトに明け暮れ、生活費を必死に稼いだ。親からの仕送りも多少ながらあったが、ぎりぎりの生活が続いた。そんな毎日に嫌気がさしたのかもしれない。考えてみればよく一年も我慢してくれたと、相手に感謝せざる得ないような、酷い日々だったと客観視できるのは、もう悲しみなんて忘れてしまったからなのだろうか。僕はそこまで駄目な人間になってしまったのだろうか。一年前の、やる気と、性欲に満ちたあの頃の僕に教えてやりたい。世の中は惨酷だと。


・・・寒い。


今までこの部屋にいて感じたことの無かった感覚。いつも隣には彼女がいて、体がどんなに冷えていようと、心だけは満たされていた。キスをすれば、体を重ねでもすれば、汗ばむ程暑く、熱くなれた。一人になった今では、手だけ動かされるだけで、足に至っては逆に冷えてしまう。

事終えたあと、先に寝るのはいつも彼女だった。僕は彼女の歯軋りに悩まされ、なかなか熟睡することは出来なかった。今となっては、その歯軋りだって隣に彼女がいるんだと、一人じゃないんだと安心でき、それだけで爆睡できる。


つい先日、偶々彼女が他の男と歩いているのを見かけた。仲睦ましげに話す二人を見て、嫉妬しなかったかと言われれば何とも答えづらい次第であり、しかしながら感情を殺してこっそり着いていくと、ラブホ街までホイホイと追っかけてしまった。その男はどこか、大手企業の跡取り息子だということは会話から読んで取れ、一生お金には困らないだろうが、それにしても手を出すには早すぎるのではないか。まだ僕と別れて一週間も経っていない。

高校時代、回りが童貞を卒業していくのを見届けながら、大学生になればたくさんの女をはべらして、ハーレムを作ってヤると意気込んでいた僕でさえ、半年待ったというのに。それなのに、あの男はたった一週間でやるつもりなのか。それともなにか、彼女は救い様のないビッチだったのか。初めてにしては感じてるな、とは思っていたが、それはもう既に経験済みだったからなんだな。高校で100人切りという噂は本当だったのか。恐るべし女・・・

騙された側から言わせれば、ご愁傷様。なんか、一気に醒めてしまった瞬間だった。

続くんだと思う、多分・・・

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ