1.純粋さからうまれたものは、
やっと一話です。色々と変更をして、迷惑をかけてすいませんでした。
そして、このお話はハッピーエンドではないかもしれないので、嫌な方はお戻り下さい。もう一つ。このお話はエンディングがいくつかあります。
では!
純粋だったんです。
潔癖だったんです。
それ故、狂気を纏ったんです。
「近付くなよ」
「来ないで」
どうして。どうしてそんなにも怖がるの。僕は、仲良くしたいだけだよ?
少年が教室で、いじめまではいかないが、仲間外れに…と、いうよりは、恐れられていた。
その少年はスイ。年は、12歳の六年生。純粋な少年。
そんな少年が何故恐れられているか。 それは、彼が純粋すぎるが故に狂気をまとってしまい、ある事件を起こしてしまったから。
三年前。
「キャアアアアッ!!」
悲鳴が聞こえる。あれは、僕に叫んでるのかな?僕は今、屋上に居て、一人の少女を落とそうとしてる。
「何してんだよ!」
他の生徒は焦ってるみたいだ。当たり前だろう、今、一人の少女の命がかかっているんだ。少女は、壊れたフェンスから半分体が乗り出ている。 そんな中、意味が分からないといった、表情で少年が言う。
「何って…、君等がこの子を気持悪いとか消えろとかいったから。それに、僕に頼んだでしょう?殺せよ、って笑いながら」
だからだよ、少年は付け加えて、悪意なしに言った。ただただ、理由を述べたまでで。
周りには、緊張の糸が張りつめていた。死にかけの少女は、失神したようだ。
「皆、何で焦ってるの?僕はどうしたらいいの?…………落とす?」
落とすな、やめろ。そう言えば済むだけの話。しかし、誰も言えなかった。パニックになっていて。先生は、まだこの事態に気付いてないようで。誰もが動けずに、唾を飲むばかり。いつ落とすのか、いつ解放するのか、小学生にはそれだけが気にかかる。助けられると、思っていなかったし、怖かったのだ。
バタバタッ
階段を急いで上がる音がした。
「先生っ!こっち!」 きっと生徒と先生だ。屋上の光景を見た誰かが伝えたのだろう。どうやら、一緒にいる生徒はうまく説明できていない様子だ。
「わかったから、落ち着いて!先生よくはなしが分か…、
――見つけたのは、命の失われそうな瞬間。
…ら…」
沈黙。そして、再びの、叫び声。
後に少女は助かったが、この事件によって少年は恐れられる存在になってしまった。それを面白がり、
「オレを殺してみろよ」
なんて言った子供は死ぬ直前までいったそうだ。
三年後たった今でも、少年へ対する目と、少年の純粋さは変わらず。いくら年月がたったといっても、人を変えることまでは不可能だった。
こうやってよ、ああってよ。
僕は、みんなの願いを叶えたかったんだ。
たとえ、それが罪になることだと、わかっていても。
うまれたものは、狂気