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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
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指輪

掲載日:2026/07/16

「今世界では何が起こっているのだろうか」この病室から出られない私は介抱してくれる男に問いかけた。「さぁね。」と素っ気ない態度でその男は言う。少しばかり気の利くことを言ってもらえると有難いのだが、どうやら彼は苛立っているようだ。何日経っただろう、この病室で目を覚めてから1週間は経ったような気がする。白い天井、白い壁に白いカーテン、テレビも無ければ電子機器も無い。そしてご飯も無い。私は腕に繋がれた管から栄養を得ている。憂鬱だ。時々見に来る看護師らしき男と会話するのが唯一の暇つぶしなのだが今日は応えてくれなかった。それに少々ムカついた私は勝手にこの部屋を出てみることにした。目立つような事をすればなにか話してくれるかもしれない。だがそれは彼をもっと苛立たせるだけのようにも思えたが、私はベッドから立ち上がった。久しぶりに体を動かしたもんで体が重く感じた。ドアの前に立って気付いた。ドアノブが変だ。レバーのようなものを下げて私はドアを開いた。物凄く重い。上手いこと踏ん張れないがとにかく身体で押した。やっとのことで開いたと思ったら、また似たような部屋が目の前に広がった。中央にはテーブルがあって右手には窓がある。どうやら今は夜らしい。私が寝ていた部屋は窓がなかったもので久しぶりに太陽の光を浴びれると思ったが残念だった。代わりに月でも見ようと窓を覗くと、そこには地球があった。ここは宇宙空間だ。地球がぐるぐると回っている。いや、私が回っている。恐らく歩く用に遠心力で重力を作っているのだろう。そして私は今記憶がないことに気が付いた。「おい何をしている!」中央のテーブルの奥からさっきの男が出てきた。「今どうなっているんだ!?ここは何なんだ!?」私は男に問いかけた。「早く部屋に戻れ!」男は怒り、部屋に押し戻された。部屋に戻った私は辺に何かないかと探した。私の情報となるものを。点滴の所に名前が書いてあった。「イーサン」そうだ!私の名前はイーサンだ!確か恋人の名前はロビンだ!黒髪で長髪の大人びた恋人が私にはいたはずだ!よく2人でバイクに乗ってビーチまでドライブしていた。彼女の笑う顔が本当に好きだったんだ。心の底から愛していたのに。なぜかわからないが私はここにいる。振られたのか死別したのか、背中を押されたのか何かはわからないが私は彼女を置いてこの宇宙にいる。私はなぜ宇宙にいるんだ?もう考えるの疲れた。少し眠ろう。そして私は19時間の深い眠りに着いた、恐らく睡眠薬を入れられたのだろう。「時間だ、起きろ。」声の低い男の声で目が覚める。「お前はどこまで覚えている?」と男は問いかける。「何も知らない。私にはロビンという恋人がいるってことぐらいだ。」本当のことを言った。「これから地球に帰る。お前は何も知らなくていい。」よく分からないことを言っている。なぜ宇宙にいるのか分からないのにもう帰るだって?全てが謎のままだ。男が部屋を出ていった。何か怪しい。私は後ろを付けてくことにした。昨日入った部屋のテーブルには紙が置かれていた。「イーサン・ハワード」顔写真と名前が一緒に書かれてある。なかなかハンサムだ。他にも3名の顔写真と名前が書かれてあった。「レオン・カルキン」「パーシー・ウィンストン」そしてさっきの男の「ジョン・トンプソン」中々に厳つい顔をしている。私は資料を置いて奥のドアへ向かった。ドアを開く。今回は軽い。広い空間が広がった。何やら実験道具のようなものが大量にあった。よくはわからないが顕微鏡のようなものなど。左手側に広いテーブルが広がっており、テーブルの下には引き出しが大量にあった。何個か開いてみると、試験管やらはさみやら小道具があった。はさみに血が付着している。恐らく人の血だ。実験のために血を摘出したかはたまた。これ以上考えるのはやめよう。まずは地球に帰ることが第一なのでジョンを怒らせないよにする。ベッドの部屋に戻り。横になる。数時間経つとジョンがやってきた。「宇宙ステーションから船を切り離して地球に帰還する。付いてこい。」と男が言ってきた。何も言わずに私はついていく。先ほどの実験道具がある部屋を抜け、船の中へと入った。宇宙服を着せられ。重力を作るための遠心機を止められ、体が中に浮いた。宇宙ステーションから切り離されどんどん地球に近づいていく。船員はジョンと私の2名、レオンとパーシーはどこに行ったのかは私には聞けなかった。大気圏に突入する頃、船は海へと向かっていた、船を海に着陸させ、救助ヘリを要請するようだ。風を巻き起こしながらヘリに乗った救助隊員が手を差し伸べてくれた。「2名だけか…?」そう隊員が残念そうな声で言う。ジョンが口を開いた。「任務中に我々を助ける為に自らを捧げてしまった。」私はふとジョンの掌を見た。火傷のような跡に瘡蓋だらけだった。「その傷は?」思わず聞いてしまった。「知らなくていい」とジョンが言った。私は何もできやしない。そう思って手を見ると指が2本無かった。左手の小指と薬指だ。

パーシーが口を開いた。「今回の任務を確認し直す。火星にある土のサンプルを回収し、帰還する。」そうだ、私は宇宙の調査員だ。地球の環境汚染により、移住可能かどうかを調べるために火星に行ったんだ。「それじゃあレオンから外に出ろ。」パーシーはこのチームのリーダーだ。全員が火星に下り立つと、巨大な揺れを観測した。みんなが動揺する中、ジョンは気が付いた。「隕石が衝突したみたいだ!」ジョンは船に戻るように促したが、パーシーとレオンはサンプルを回収するために掘削作業を始めた。「何をしている!!早く戻れ!!」「オレなら大丈夫だ!離陸の準備を進めてくれ!」隕石がさらにぶつかる。「これ以上は無理だ!」バケツリレーの要領でサンプルを船に運び込む。強い砂埃が舞い辺りが見えなくなる。揺れが収まり、辺りが見えるようになると、レオンが横たわっていた。酷い流血だ。パーシーが必死に傷口を抑えるが血が止まらない。私が彼らに近づこうとした時、もう一発隕石が目の前を通過した。手から異様な痛みを感じる。宇宙服が破れてしまった。呼吸が出来なくなり私は倒れてしまった。

「私が倒れた後、パーシーとレオンはどうなった…?」私はジョンに聞いた。「お前を船に引きずった後に2人がいた場所を見たら。大きな岩が…」ジョンは震えて声が出なくなった。私は恐らくその時のショックで記憶がなくなったのだろう。2人の事を考えると申し訳無さと自分の無力さを実感した。

本当の病院に着くと、1週間の治療を受けた。精神的にも身体的にも早すぎると思うがすぐに退院した。私には恋人がいる。待ってくれている人がいる。ごく普通の住宅地に帰る。自慢の庭にバイク、なんと贅沢なんだ。家の中に入り、リビングへと入る。テーブルの上に一つ手紙があった。「イーサン・ハワード、あなたが帰ってくるか不安です。家で待つのは孤独で耐えられなくて、最近はいつものビーチに散歩に行っています。ビーチには綺麗な海に、カップルや色々な生き物がいます。海は宇宙と同じぐらい広いです。世界はこんなに広いところに一人でいるかのようです。ここから出してください。あなたを愛しています。ロビン・ハワード。」私はすぐに家を飛び出てビーチへと向かった。汗を流して、必死に。夕焼けが綺麗な頃、ビーチに一人の女性を見つけた。ロビンだ。「待ってたよ、ずっと。」「僕も会いたかった。」心からの声が出た気がする。「指輪なくなっちゃった。」僕は薬指と小指が無い手を差し出す。「それは失くしてもいいけど。私の前から居なくならないで。」ロビンが泣き出してしまった。泣かせるつもりは無かったのに。僕たちは涙を流して数分経った。「指輪はあるよ。」とロビンが言った。「宇宙にあるならいつか地球が指輪をはめてくれるよ。」僕はロビンが大好きだ。「それは地球に不倫してないかい?」「なら新しいのを買いに行きましょ。」

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