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英雄を狩る少女  作者: ジャクロの精霊


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48/55

プレッシャーポイント

夜が更けた。


丘の上から…


刹那は見ていた。


下には…


家があった。


豪華ではなかった。


派手でもなかった。


しかし、そこには生命が宿っていた。


窓から差し込む光。


家の中の人の動き。


温もり。


ミラが彼女の傍らにいた。


「あそこにいるわ」


刹那は何も答えなかった。


ただ見つめていた。


家の中には…


アルヴェンがいた。


鎧を身につけていない。


剣も持っていない。


いつもと違う。


座っている。


そして彼と共に…


彼ら。


彼らの妻たち。


笑い声。


会話。


食事を運んでいる。


無理強いする様子はない。


緊張感もない。


ありのままの姿。



後ろからレナが囁いた。


「…これは合わない…」


セツナは目を細めた。


「ええ。」


沈黙。


「だからこそ役に立つのよ。」


ミラは彼女を見た。


「どうするつもり?」


セツナは視線をそらさずに答えた。


「観察する。」


沈黙。


「分かった。」


風が吹いた。


家の中で…


アルヴェンが立ち上がった。


彼は二人のうちの一人に近づいた。


彼は彼女に何かを言った。


彼女は微笑んだ。


自然に。


恐れることなく。


セツナはすべてを見ていた。


すべての仕草。


すべての動き。


「これは仮面じゃない…」彼女は呟いた。


ミラは頷いた。


「ええ。」


沈黙。


「じゃあ、本物なのね。」


事態はさらに複雑になった。


レナは静かに言った。


「使うつもりなの?」


セツナは答えた。


「ええ。」


「でも、彼らが期待していたような使い方はしないわ。」


「この計画に関わっていない者には手を出さない。」


沈黙。


「でも、彼は知っている…」


沈黙。


「彼らが存在することを。」


ミラは理解した。


「それで十分よ。」


セツナは頷いた。


「その通り。」


風がさらに強く吹いた。


「失うもののない敵は…」


沈黙。


「危険だ。」


彼女の目が鋭くなった。


「でも、守るべきものを持つ者は…」


沈黙。


「過ちを犯す。」


家の中で…


アーヴェンは立ち止まった。


一瞬。


何かを感じ取ったかのように。


彼は窓の方を見た。


暗闇の中を。


セツナは動かなかった。


呼吸も変わらなかった。


しかし、彼女は彼を見た。


「…もう始まっているわ。」


ミラは声を潜めた。


「何?」


セツナはかすかに微笑んだ。


冷ややかに。


まさに。


――プレッシャー。


なぜなら、その瞬間から…


アーヴェンはもはや正義のために戦っていただけではなかった。


今…


彼は負けないためにも戦っていた。


作者注

この章を読んでいただき、本当にありがとうございます


このより戦略的で心理的なアプローチを楽しんでいただけたなら、お気に入り、ポイント、コメントで応援していただけると嬉しいです。


これはまさに心理戦だ。

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― 新着の感想 ―
 本物の絆に本物の家庭、尊き故に時に誰よりも危うくなりそうですね。セツナさんはなんともいえませんが、情を無視できないレナさんにとっては辛くなりそうな戦いかもしれませぬ。
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