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異世界転生レクイエム  作者: 山下贋作
第4章 全てを懸けた最後の戦い
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聖鎖の縛

 しかし、浅い。グレイブは嘲るように笑った。

「なんだ。こんなもの――」

 か、と言いかけたその瞬間。

 グレイブの身体が不自然に跳ね上がり、直後、大量の血を吐いた。

「……!」

 ――その神剣には転生者の身体に刻まれた術理を破壊する『転生者殺し』の力が備わっている。

 驚くアレスたちを前に、グレイブは口元の血を拭い、壮絶な笑みを浮かべる。

「――なるほど。確かにこいつは効く……!」

 その様子に、アレスたちは確信を深めた。

「やはり、アレスの剣が有効みたいだな!」

「そのようです!」

 ヒースの言葉に、アリシアを回復させながらタリクが応じた。

 戦いはさらに激しさを増していく。

 アレスの剣が閃くたび、グレイブの闇が弾け、ヒースの二刀が交差するたび、火花が散った。

 アレスを中心に攻防が組み立てられ、ヒースは鋭い斬撃で隙を作り、アリシアは炎で退路を断ち、タリクの光が全員の背を押す。

 対するグレイブも、不死身の肉体と多彩な技で応じる。

 しかし――その再生は、先ほどまでのような勢いを失っていた。

 斬られた箇所の闇が薄く、塞がるはずの傷がわずかに残る。アレスの刃が掠めるたび、グレイブの動きは確実に鈍っていく。

 激しい攻防の中、グレイブは劣勢にあって不敵に笑いながら言った。

「――流れを変える必要があるな」

 そうグレイブは呟くと掌から闇を生み出した。

「混沌の卵殻こんとんのらんかく

 ぼとり、と落ちた闇が手毬ほどの球となり、脈動し、震え――

「目覚めろ。呪詛の九頭蛇カース・ヒドラ

 闇の球が裂け、無数の蛇の頭が飛び出した。

 牙を剥き、呪詛を滴らせながらアレスたちへ襲いかかる。

 アレスは雷を放ち、ヒースは頭を切り落とし、アリシアは灼熱の炎で焼き払い、タリクは祈りで聖なる光柱を顕現させようとする――

 その瞬間、グレイブがタリクへ向かって走った。

 ――やはりタリクからだ。

 グレイブは内心で呟く。

 この戦いの要はタリク。

 治癒と聖光――アンデッドにとって最大の脅威。

 タリクの神術が脅威になりうることは始めから分かっていた。

 だが、止める機会はなかった。タリクに攻撃が届かぬよう、アレスたちは常に身を挺して戦っていたからだ。

 今もそうだ。グレイブの攻撃を通らせないよう細心の注意を払っている。

 ならば――こじ開ける。

 アレスとヒースが立ちふさがる。決死の形相で、絶対に通さない意志を剣に込める。

 だが――切り捨てられたグレイブは、影のように霧散した。

 意表を突かれ、驚くアレスたち。それがグレイブを象った闇の影だったと気づいた時にはもう遅い。

 本体はすでにアレスたちをおいてタリクへ向かって疾走していた。

 アリシアが炎を飛ばすが間に合わない。

 聖光を帯びていない炎は、グレイブを穿ってもすぐに再生される。

 タリクの前に辿り着く。

 タリクは杖を掲げるが、即席の結界では防ぎきれない。

 結界ごと斬り伏せれば終わり――グレイブはそう確信していた。

 ――しかし。

 タリクの口元に浮かんだ笑みが、その確信を否定する。

「――かかりましたね、グレイブさん」

「……⁈」

 意味を理解するより早く、タリクが術を発動させた。

「光の封牢ルクス・カルケル!」

 天より降り注ぐ光柱が、グレイブを取り囲むように並び立つ。

 輝かしい聖光が闇を焼き、グレイブから漏れ出た呪詛が触れたそばから消滅していく。

 死地に入ったと悟ったグレイブが逃れようと走り出すが――

「聖鎖のセイクリッド・バインド‼」

 神聖な鎖がグレイブの片足を捉える。捉えられた足を忌々し気に睨むグレイブ。

 そのグレイブが動き出す前に、鎖は残る手足をも縛り上げ、光柱へと縫い付ける。

「詰みだ。グレイブ」

 アレスが剣を突きつけ、静かに告げたのだった。

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