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異世界転生レクイエム  作者: 山下贋作
第4章 全てを懸けた最後の戦い
36/50

開戦

 宣言とともにアレスたちは一斉に駆けた。

 もとよりすでに間合いの中。踏み出した瞬間には、剣が届く距離にいる。

 対するグレイブは、光を持たない漆黒の剣を地面から引き抜くように召喚し、無造作に構えた。

バアルと漆黒の剣が激突する。

 光と闇がぶつかった中心から爆ぜる衝撃。

 儀式場全体が震え、地面には亀裂が走り、風圧で魔道具が吹き飛んだ。

 まっすぐに睨みつけるアレス。

 どこまでも冷たく見下ろすグレイブ。

 すさまじい力の衝突の中で、二人の刃は奇跡的な均衡を保っていた。

 ――そこへ、ヒースが低い姿勢で滑り込む。

 影のような速さでグレイブの側面へ回り込み、足元を刈り取るように剣を振りかぶる。

 しかし、その動きをグレイブは視界の端で捉えていた。

 空いている左手の指がわずかに動く。

 同時に、足元の闇が蠢き、鋭い棘を生やしてヒースを貫かんと伸び上がる。

「……っ!」

 ヒースは跳躍してかわす。

 否――跳んだ勢いをそのまま利用し、空中からグレイブの首を狙って二刀を振り下ろした。

「はあぁっ‼」

 愛剣『風切』と魔剣『鬼哭丸』。

 二本の刃が横薙ぎに閃く。

 だが、刃は空を切った。

 グレイブはわずかにのけぞり、刃先は頬をかすめるだけに終わる。

 冷たい瞳がヒースを捉え、左の掌が向けられた。

 しかし――

「聖光のセイクリッド・ライトピラー‼」

 タリクの神術が割り込む。

 グレイブの足元にまばゆい魔法陣が展開し、聖なる光柱が勢いよく立ち上がる。

 アンデッドであるグレイブにとって致命的な光。まともに受けるわけにもいかず、グレイブは後方へ跳び退く。

 だが、その退路を狙ってアリシアが魔法を放つ。

「穿て!炎帝のフレイムロード・ジャベリン‼」

 杖先から放たれた炎の槍が一直線に飛ぶ。視界を裂くほどの速さでグレイブの身体を貫かんと迫る。

 それを――グレイブは平然とした顔で漆黒の剣の一振りで両断した。

 しかし、アリシアの攻撃は終わらない。

「緋焔の奔流スカーレット・フレア‼」

 紅蓮の炎が杖先に渦巻く。その炎が注がれる魔力により、赤赤と輝き、そして一気に膨れ上がる。

炎嵐ファイア・ストーム‼」

 放たれた紅蓮の炎が視界いっぱいに広がり、あらゆる方向から襲いかかる。

 全てを焼き尽くす炎の弾幕。

 グレイブは後退しつつ、地面から闇を競り上げて迎え撃つ。

 しかし――紅蓮の炎は容易く闇を貫いた。

 かわそうとするも、炎は意志を持つかのように執拗に追いすがる。

 眉をひそめたグレイブが低く呟く。

「……闇壁ダーク・ウォール

 分厚い黒い壁を手の挙動によって生み出し、炎を受け止める。

 だが、アリシアの炎の力は凄まじく、闇の壁に亀裂が走る。

 すべてを防ぎきった瞬間、壁は砕け散った。

 その破片の向こうから――アレスとヒースが同時に飛びかかる。

「「はああああああああああああっ‼」」

 背後ではタリクが次の神術の詠唱を続け、アリシアも移動しながら魔力を練り上げている。

 グレイブを前に一歩も引かない強い意志。反撃の隙を与えない、魔王を倒した完璧な連携。

「……いい連携だな。だが――」

 アレスとヒースの刃が迫る瞬間、グレイブは静かに言った。

「それだけじゃあ俺には届かない」

 突如、異質な寒気がアレスたちを襲う。

 警戒――しかし、その警戒すら追いつかない。

 不敵な笑みを浮かべるグレイブ。

 そのグレイブを中心に闇が膨れ上がり、一気に空間を満たした。

 儀式場を満たした青白い輝きはすべて闇に飲まれ、アレスたちの胸に奇妙な不快感が押し寄せる。

 渦巻く闇の中、地面に無数の黒い渦が生まれる。

 突如現れた異物の存在に、アレスたちの目が釘付けになる。

召喚サモン――」

 ぞわりとした恐怖が肌を撫でた。

「黒死のこくしのいばら

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