魔女と呼ばれた少女の旅立ち
人里離れた森の奥、ひっそりと佇む小屋。そこで彼女は冷たく言い放った。
『……なんの用でしょうか。怖いもの見たさで来ただけなのであれば帰ってもらえますか?』
町で受けた依頼は日用品の届け物だけ。要件を話し、受領印を渡すと、アリシアはすぐに彼らを帰らせた。冷たい態度にヒースは『なんだ、あの態度は』と毒づいた。
依頼を終え町に戻って報告すると、依頼主の老人が『ありがとう』と寂しげに言った。
その直後、大量の魔物が町を襲う。その魔物をアレスが撃退すると、人々は『魔女のせいだ』と騒ぎ始めた。
『魔女』――それはアリシアのことだった。アリシアの住む森へと処刑のために人々が集まり始める中、アレスたちの前に老人――彼女の祖父が現れ、真実を語った。
生まれながらに強大な魔力を持つアリシアは、魔物を引き寄せてしまう存在だった。そこで、優れた魔法師である祖母が魔物を寄り付かせないための結界を張り、森に住まわせて守っていた。
しかし、その祖母は二年前に亡くなり、それからずっと一人で暮らしていたのだという。
先回りしてアリシアの下に向かったアレスは彼女に森を出るよう提案する。だがアリシアは首を振った。
『私はここから出てはいけないのです。私が出ればみんなが迷惑しますから』
ヒースが『このままでは殺されるぞ』と言うと、彼女は目を伏せ、寂しげに答えた。
『ならそれでいいかもしれません。どうせこのまま生きていても仕方ないですから』
その時、家の外から悲鳴が響いた。アリシアを捕らえるため、祖母の施した結界を壊し、森に入った町の人々が魔物に襲われていたのだ。
アレスたちが、魔物を切り伏せると、魔物の中で一際大きな邪悪な人面樹がアレスたちの前に立ちはだかる。そして、凶悪な笑みを浮かべ、アリシアをうまそうな餌だと襲い掛かった。
強敵だったが、しかしアリシアの協力もあって、勝利を収めた。
魔物を討ち果たした後、アリシアの祖父が駆け寄り、アリシアの肩を抱いて涙ながらに『すまなかった』と謝る。
老人は懐から水晶を取り出す。水晶に魔力を込めると祖母の姿が映し出された。驚くアリシア。祖母は、さみしい思いをさせたことを謝り、十六歳になったあなたへ伝えたかったことがあるの、と言った後にアリシアに慈愛の笑みを浮かべ、『この広い世界で自由に生きて。それから――おめでとう』と告げて消えた。
誕生日よりも前だったが、伝えるのは今しかなかった、と再び老人が謝る。そして、アリシアは涙を流して肩を抱き合い、許したのだった。
久しく会わなかった老人と語り合い、一晩涙を流した次の日、アリシアは森から出ることにした。一人去ろうとするアリシアにアレスは声をかけ、彼女は驚きながらも嬉しそうな笑顔を浮かべた。




