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二 南洲 徳井川領

 私はどちらかと言えばアクティブに体を動かすのが好きだったが、アニメを見たりラノベを読んだりするのも好きだった。最初にタイムリープだと思ったのは、日本風の建屋だったり、話している言葉が日本語だったからも理由だが、アニメやラノベ起因の思い込みがいくつかあったようだ。


 まず、異世界とは中世ヨーロッパ風の街並みという思い込み。だって知っているラノベの転生物は全部そうだったからね。他には、タイムリープで時間を移動するということは、学校の歴史で習った出来事を経験すること。そしてその歴史と同じ経験をすることで時間を遡ったことを知るのがパターンだと思っていた。


 それに異世界転生ものは、神様とか女神とか賢者が転生したときに出てきて、事情を説明するものだと思い込んでいた。今回は誰も説明してくれないから、てっきりタイムリープだと思っていたのだが、魔法があるということは単純なタイムリープではなく、異世界へ来たのだと考えを改める必要がありそうだ。


 高台は絶景だった。


 紅葉の季節なのだろう。赤や黄色に色づいた山々は、写真のようにカラフルだった。左右に大きな山脈がありV字に山脈が広がっていて、この高台はV字の底の部分にあたる。正面には広大な平野が広がっていて、その平野がずっと遠くまで続いている。先に海が見えないので、かなり広い平野なのだろう。


 平野の中心には、大きな川が蛇行しながら流れていて、遠くの方には川に沿っていくつかの集落が確認できるが、手前にある街が一番大きく、ここからでも多くの人が働いているのが見える。


「神子様、こちらが領主の徳井川とくいがわ様のお城、徳井城でございます。」

イケメン武士に言われて視線を左側に向けると、谷を越えたところに大きなお城があった。


 この高台と同じぐらいの高さにあって気が付かなかったが、天守閣がある日本風の大きなお城だ。ただ少し違和感もある。どこに違和感があるのかを目を凝らして探してみると、壁がレンガになっていて白く塗られているようだ。この世界は和洋折衷のようだね。でも視力が良くてよかった。


 お城と街並みを眺めながら、イケメン武士が状況を話し始めてくれた。このイケメン武士 神様の代わりもしてくれるらしい。


 まずは、この国は火の中から生まれた国で、火の国と言われていて、十の島で国が成り立っている。それぞれの島は、いくつかの領土に分割されており、その各々の領土を領主が治めている。ここは、火の国の南方にある島で南洲と呼ばれ、島全体が一つの領土となっている。


 南洲は徳井川領ともいわれており、代々徳井川家が収めている。現在の領主は徳井川嗣元つぐもとというらしい。


 いま目の前に広がっているのが南洲だが、かなり大きい気がする。左右の山脈の反対側にも大きな平野があるみたいなので、イメージ四国か九州のぐらいだと仮定してみることにした。と言っても地図上での四国や九州しか分からないけどね。


 南洲の領主は徳井川嗣元だが、彼は中央領とよばれる火の国を統括する都に常駐していて、国の運営を助けているそうだ。そうなると、嗣元は殆ど領土を留守にすることになり、代わりに領土を治める人が必要になる。実質的な統治は、嗣元の長兄、徳井川嗣治つぐはるが領主代行として南洲を統治しているようだ。


 南洲の領主は徳井川家だが、徳井川家だけが統治しているのではなく、同等の地位で南洲を治めているのが、この徳井神社と城の向こう側にある徳井寺で、徳井川家は総合的な統治、徳井神社は祭事、徳井寺は街の防御を担っている。徳井寺は武道士という戦い特化した僧がいるらしいので、映画で見た少林寺のイメージで良いようだ。


 それにしても、徳井城、徳井神社、徳井寺ですか?・・・川はどうした。


「ご挨拶が遅れて大変失礼いたした。拙者は徳井川家の次男、嗣家つぐいえと申します。以後お見知りおきを。失礼ながら神子様のお名前を伺っても?」

 遅まきながら、自己紹介が始まった。ここでピンときた。ここでは苗字は必要ないな。


「私の名前は桃花です。よろしくお願いします」

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