二十 この世界の三権分立
徳井神社にいった夜は、「今日も神社に泊まるぅ~」と駄々を捏ねるさくらを、蘭ちゃんが強引に城に連れて行ったので、私は徳井神社に戻って、一人で寝ることになった。それでも、寝るまでの間、ユキと話をしながら、この世界の事が少しずつ理解することができた。
私は、まだ徳井神社、徳井城、徳井寺しか行ってないのだが、この三つで国を統治している。私が授業で教わった三権分立ではないのだが、徳井神社の大宮司は、国の掟を作るのと祭りなどのイベントを実施して、徳井城の領主は、国の運営を基盤となっていて、人・物・金を管理する行政機関であると共に、国の掟を破った者の裁きを行い、徳井寺の大僧正は、戦力を管理している。
このシステムは南洲だけでなく、全ての領土で同じようなシステムなのだが、戦力だけは、南洲から派遣している対妖魔組が駐留することで、国全体の防衛を担っているらしい。
誰かが悪だくみをすると、独裁国家になりそうだが、基本的なところは、大宮司、領主、大僧正が話し合って決めることで、権力が集中することを防いでいる。実際、数年前までは掟を作るのは領主が行っていたのだが、協議の結果で大宮司が行うことになったそうだ。
まあ、大宮司、領主代行、大僧正に会って、皆さん人徳者であることは確認できたので、問題は起こらないかな。実際は厳しいのかも知れないが、基本良い人だと思う。
「今後は神子様が大宮司の職に就くことになります。より良い国にして下さいね。」
プレッシャーかけるなぁ。頑張るって決めたから、頑張るけどね。
次の日の朝、身支度をして食事処に向かうと、既にさくらと蘭ちゃん、キョウと昨日と同じメンバーが揃っていて、更に嗣基くんまで来ている。嗣基くんは、大宮司と話をしていたのだが、私が部屋に入ると、「神子様、おはようございます。本日の術の修行に同行させて頂きます。よろしくお願いします。」と挨拶してくれた。
話を聞くと、私の術の修行は、城では話題の的になっているようだ。確かに、大事な姫様の事を考えると、気になるよね。更に、さくらと蘭ちゃんが、盛って話をしているようだ。先代神子と同じ動作で神術を使ったことも、気になるポイントになっていて、領主代行から様子を見てくるように言われたようだ。ご苦労様です。
食事が終わって、修行場に向かうことになったが、今日の修行は、昨日のメンバーに嗣基くんを加えて、総勢9名で行うことになった。さくらは、今日もおやつ持参での参加だ。とても楽しそうで、何よりです。
修行は最初から、神術である雷の術から開始した。昨日と同じ方法で、雷を自分に落として崖に放つ。昨日よりスムーズに出来ている気がする。二人の魔法少女のお陰なのだが、私には他にもネタがある。小さくて黄色いモンスターや、トラ柄ビキニの女の子など、想像するのが楽しいぐらいネタがあるのだ。雷の術を自由自在に操る私を、みんな褒めてくれるので、なんだか嬉しい。まあ今の私には、これ以外の術はろくに使えていないし、何の役に立っていないのだけどね。
その後で、火の術と水の術の練習もしたのだが、こちらは雷までうまくいかない。でも、記憶のレパートリーには、火を使ったり水を使ったりするアニメがあるので、少しずつ出来るようになってきている。灯りをつける術は是非覚えたいので、こっちも頑張ろう。
雷の術、火の術、水の術は上達しているのが分かるので、修行をしていても楽しいのだが、風の術は練習してもうまくいかないので、ちょっと萎える。いろいろ思い出しているのだが、風を操るアニメが思い浮かばないのだ。魔物であれば雷の術でも戦えるが、妖鬼や妖魔と戦うためには、神術である雷の術と、忍術の風の術の二つを覚える必要がある、この二つの術は対になっていて、合わせることで嵐を呼ぶことも出来るらしい。是非習得を目指してほしいとイケメン神主もプッシュしてくるのだが、なかなかうまくはいかない。頑張ってアニメを思い出そう。
修行の後は、城でさくらと昼食、その時に午後は町にいこうと誘われた。特に用事はないし、町には興味があったので、喜んで行くことにした。さくらは小さいときに何回か、先代神子と一緒に城を抜け出して、町に遊びに行っていたようだ。先代の神子がいなくなってからは、暫くは町には出かけていなかったのだが、12歳になったら、これも勉強だということで、護衛付きではあるが町に行けるようになったので、月に数回町に遊びに出かけていると、楽しそうに話してくれた。
「ただ神子様とは、いろんなところへ行ったけど、キョウも蘭ちゃんも厳しくて、行けるところが限られちゃったのよね。でも今日は桃ちゃんがいるからね。二人はついてくるけど、桃ちゃんの”初めてだから行きたい”攻撃で、いろんな場所に行こうね。お願いね。」
相変わらず、無茶ぶりがすぎる。
町に出かけるメンバーは、キョウと蘭ちゃんの他に、嗣基くんと山の坊も同行することになった。山の坊からは、「神子様の護衛も兼ねますので。少し離れて護衛させて頂きますので、お邪魔は致しません。」と言われると断れない。嗣基くんは一緒に行動するようだ。まあ、自分の領土とはいえ、姫様なんだから護衛は必要だと思う。これでも少ないくらいだが、キョウと嗣基くんは強いことが知れ渡っているので、いるだけででも護衛の効果があるそうだ。
「姫様をお守りするのは当然ですが、我々は神子様の身も案じております。」
ありがたい。
さくらは、目立たないようにと着替えをしてきたが、花火柄の浴衣をアレンジしたような着物なので、全然地味になっていない。「町に行けば、この位派手な人は沢山いるから大丈夫。」と本人は言っていたが、心配になっちゃう。可愛いけど。まあ、私が巫女服なので、それで十分目立つのだけどね。
ちなみに、私には山の坊と川の坊の見分けは付かなかった。
でも山の坊(だと思う人)から、「神子様、我々を見分ける必要はございません。我々は、光と闇として活動を致します。そして、その場に合わせて、交互に入れ替わり活動を致します。光として、表にでて姫様と神子様をお守りするものと、闇の中で、我々の弟子と一緒に見えないところでお守りするものです。よって、姫様、神子様の前に現れるのは、どちらか一方でございますので、どちらも山の坊とお呼び頂ければ、特に問題はございません。」と、説明された。
分かったような分からないような説明だったが、取り合えず山の坊と呼べばよいことは理解した。




