出会い
私、凜はカナダ人の夫と息子一人と暮らす、小説家志望の妻&母&仕事人&地域に暮らす人です。「人は誰でも人生に一冊は本を書ける」といわれていると聞き、ずっと本を書きたいと思い続けてきて、やっと書き始めたのがこのお話です。私の人生と架空の物語を組み合わせて、面白おかしく書いてみたつもりですが…いかがでしょうか?
それは私が25歳の冬のこと。田舎者で、海外旅行二度目の私がカナダのバンクーバー空港に到着し、お金をケチって送迎なしで、自力で何とかホームステイの家にたどり着いてからの出来事です。ワーキングホリデービザを取り損ねつつも、家族や友だちに行く行くって豪語してしまった手前、ビジタービザででも語学学校に通いながら過ごそうと、訪れてから一週間後の週末でした。ボランティアとして訪れた日本語学校に彼は生徒としてそこにいました。
「週末、何をしていましたか?」と問われその彼は、「ピンポンをしていました。」「あっ卓球ね。」「凛さんは、ピンポン上手ですか?」「はい、わたし、すごく上手です。」「はぁ…??」
そうなんです。わたし、中高卓球部で、金メダル何個獲得したかわからないくらい、ローカル大会では勝ち続け、中学3年生の時には地域では負けなしだったんです。まあ、ちょっと大きな地域になるとすぐに負けましたけどね…。でも謙遜することが美徳とされる日本の文化にそぐわない、自信満々な態度に驚いた彼は、そんなに上手なら、一緒に卓球しませんか?と卓球に誘ってくれたのです。
でもでも、でもですよ、どこの誰かもほとんどわからない、言葉もあんまり通じないこの人の車に乗って、いとこの家に行きましょうって…いきなり、そんなこと言われても、田舎者だし、そんな国際的に見てわたし、これといって美しいわけでもないし、卓球は凄腕だとしても…、どこかの地下とかに監禁されたり、殺されたりするかもしれないでしょ??どうするの?どうしたらよいの??(そんな風に殺されちゃうパターンもあるかも知れないと思うので重々相手をよく観察してからついて行ってくださいね。ちなみにこの時の彼は全くそんな風には見えない紳士的な方でした。でも、よく犯人の知人へのインタビューでは、そんなことする人には全く見えなかったって言うよね…??)
そこで同じ語学学校に通う5歳も年下の律子ちゃんに騙されてるかもね…と相談したら、「騙されて何か困るの?(今思うと、殺されたら困るよね‥-?しつこい??)一緒にいたいと思うのに、騙されるかもって思って行かなかったら、その方が後悔するんじゃない?」って、かっこよくアドバイスされて、行ってみようと決意しました。道端でナンパされた訳ではないし、日本語学校に通っていて住所や電話番号もわかるし、大丈夫かな…と。でも、日本人同士でも、本当に信用できる人かってわからないから怖いよね…?しつこすぎる??って何だかもう、どこでも、何でも怖いよね。
そして、どうなったかというと、レットロビンでパスタを奢ってもらい(緊張して、半分くらいしか食べられなかったの、はじめて)、卓球では全員ボコボコにやっつけて、二度と卓球には誘われませんでした。特に煽ってくるお兄さんにはスマッシュを叩き込んで完勝し、その後気まずい関係が続いています。あはは。他の皆さんは、優しかったので、ラリーを続けながらも負けず嫌いが出て、絶対にセットは譲れません。だから、誘われなくなるのね。バカなわたし。
でも、その後も、卓球ではなく、ローラーブレードとアイスとか、普通の食事とかなら誘ってもらい、何だかんだで、結婚することになりました。