1話 はじめての綱無しバンジー
ベルベリティア始めさせて貰いましたカルキルクルです。これからよろしくお願いします!
真冬の乾いた冷たい風があるもの全てを凍らせる勢いで吹き荒れる月曜日。東亜悠は憂鬱な気分で会社に出社するために薄暗い道を歩いていた。
「はぁ…今日から5日間も佐山部長に顔を会わせなきゃいけないのか」
東亜悠--今年で34歳になる男は会社で最初上司や先輩社員にミスをしては頭を下げて、上司からの頼みは断っていなかったので半ば社畜扱いされていた。もちろん会社をやめたり別の部署に行った者もいるので数は減っているがまだ少数だが社畜扱いしてる者も残っている。その代表とも言える最初に社畜扱いした人が小太りの中年男性佐山。東亜悠はその佐山に本能的な嫌悪感を抱きつつあった。
「まぁ給料は悪くないからいいけど」
東亜悠の会社の平均年収は800万円を超えていて、皆勤賞の類いがあったら入社した年から表彰され続けていてもおかしくないくらい仕事を東亜悠はしてきているので、当然年収は800万円を超えていた。、、、使う時間があるかどうかは別として。
「とはいえ朝からこの寒さは報われないな…」
ちなみにこの日の最高気温は10度で最低気温は3度だったりする。湿度は低く、ビル風が吹き荒れているので体感気温はもっと低く、いつもならまだ活動している野良猫も姿を見せない。それを残念に思いつつ歩いている時だった。視界の右側から2つの明かりが東亜悠に向かって突っ込んだ。音に気づいて避けようとするもすでにおそく、東亜悠が最後に見た光景はその2つの明かりとなるのだった。
≪対象者の死亡が確認されました。<プログラム>に従い魂の転生、器への憑依を開始します,,,完了しました。続いて、記憶の転送を、、、≫最後にそんな機械音声のような声を聞きながら東亜悠は意識を深い闇に沈めるのだった。
(んん、ここは、、、あれ?俺は,,, そうだ車に轢かれて、、 目が開かない?息ができない!!って下に引っ張られてないか? うわっ落ちるっ!)
一番近くにある王国から300km。そんな人目につかなくて、春の暖かい日差しを浴びてのびのびと植物や木が育っている一面緑色の平原。そこに動物の気配はなく、植物や稀に虫が飛んでいるのみ。そんな平原のはるか上空に黒髪黄眼の“少年”--否、東亜悠と呼ばれていた者がポンッ!と忍者がどろんした時の煙を出して現れる。
「ってあれ?息ができる、相変わらず落ち続けてるけど、、、あれ?涼しぃやあああああああああああああ!!」
そんな奇声とも絶叫ともとれるような高い声を上げながら重力に従って自由落下を始める。悠からしたら車に轢かれて死んだと思ったら下に引っ張られるような感覚を味わったあと気が付いたら高度数百メートルの綱無しバンジーをしているので何もできるようなことはなく
「うわあぁぁぁ!ぶつかるぅ!」
とそんな情けない声をあげながらドゴオォォン!と顔面からクレーターを作ることになった。もしこれを地上から見ている人がいたなら空から流星が落ちてきたように見えたのだろう。当然そんな勢いで物が落ちたらクレーターだけでなく衝撃波もひろがりものすごい勢いで草木が吹き飛んでいく。地面がめくれるように。雑草に困っている人が草木が吹き飛ぶところだけを見たらお金を払ってでもやって貰いたくなるくらい。…もっともクレーターができるのでそれどころじゃないだろうが。当然そんな真似をした人が無事なわけ…運良く新しい肉体は頑丈なのでブシャァァと血を吹きあげながらぺったんこになることはなかったが日本に住んでいたただの社畜のメンタルは耐えれるようなはずがなく肉体の代わりにといわんばかりにメンタルは砕け散ったので悠は気絶したが。そんな衝撃的な地面とのディープキスをした悠はこの世界へと足を踏み出す?のだった。